SO-BA report

2003-03-18
とあるスジから依頼(?)があり、せんだって、建物そのものから大改築して、イメージを一新した稔町(西弘から桔梗野に向かう道で踏切を越え、坂を下る手前左側)の蕎麦屋、"T"をチェックしてまいりました。
以前はツユが味気なく、フダンはゼッタイ薬味を使わないワタクシがネギを入れなきゃ喰えないほどでございましたが⋯
さて、店舗ばかりか、味も変わってますでしょか?

踏切から行くと、お店を過ぎてスグ左に入る小径に駐車場があります。おそらく10台ほどは駐められるのではないでしょうか?そこから少し歩いて戻り、お店に入ります。
二重になった引戸を抜けると、ケッコウ大きな空間となっており、右(外の道路に面した側)と左(坪庭風)は大きなガラスの窓なのですが、なんと、右のガラスの前にはグランド・ピアノが鎮座ましましてるじゃないの!なんじゃこりゃあ?
ん〜?ジャズのライヴが 4 月 3 日?それ用なの?
そして店内にはジャズが流れておりますねえ。どっかでこんなジョーキョーに出あったよーなキオクが・・・ま、それはさておき、正面は座敷になっておるらしく、なにやら宴会でも始まるのか、賑やかな声が聞こえておりました。

と言うワケで、残る一面、つまり入り口のある面の左にカウンターがあり、それに直角に大きなテーブル(カウンター側の半分は天カスやいろんな資料などが置かれ)の座敷に向かって伸びる半分が向かい合わせ 6席の客席。さらに左の庭に面したガラスの窓側からは、ピアノに向かって三つのテーブル(各4席?)そして、ワタシが座ったのが座敷の前にあったテーブル(4席)です。カウンターが見えるように、座敷に背を向けてね。
ただ、店内は禁煙じゃあないようで、座敷から流れてくるタバコの煙が極めてキブン悪い!

手元のメニューを開いてみると、基本的には以前と変わっていないようです。
もり→中もり→大もり、がフツーのもり→大もり→もり二枚、に匹敵する、ってえシステムも前と変わってないなあ。どれ、ひとつ「大もり(つまり、もり二枚ね)」で行ってみましょか?
注文を済ませて、店内の細部(?)に目を配ると、ピアノの横にはオーディオ・セットがあり、「おされなBGM」としてジャズをかけてるみたいざます。ありがち。
イス・テーブルはややモダーンかつシンプルなもの。「民芸風」よりゃいいよね。

さて、蕎麦が出てまいりました。
鍛冶町(かじまち)の「やぶ」や、一番町(いちばんちょう)坂上の桜大通り「さらしな」ほどじゃあないですが、もり二枚にしてはツユが少なめ、ってスグ判っちゃう小さめの蕎麦徳利、薬味はわさび、ネギ、おろし大根の三種でした。
最初に一枚で、追ってもう一枚と蕎麦湯桶が。
見て、真っ先に気付くのが、蕎麦の丸さ、でしょうか?
普通、蕎麦を打って、薄く打ち延ばし、それを畳み込んで細く切り落として行きます。そうなると、蕎麦の断面は「必ず」四角になりますよね。
そのシャープさを「エッジの利いた」と表現するのですが、この蕎麦には、その「エッジ」が見当たらないのですよ。ふうむ?北朝鮮の冷麺みたく、高圧ピストンから小さい穴で押し出して作ってるのかなあ?ナゾじゃ。

ツユの方は「もろみ」系の醗酵臭が強く、これは好き嫌いが分かれそうですよ。
そのツユにひたし、蕎麦を口へ。
ん?んんん?ここの店主がかって修業してた下町のK亭ほどじゃあないけど、やはり似た傾向の蕎麦って感じ。
蕎麦を茹でる際の理想ってのが、「ちゃんと茹でて、キリっと冷やす」なんですが、それ、ちゃんとしてると、蕎麦の断面で言うと、周囲は締まってて、やや歯ごたえはあるものの、中央部は柔らかい、と言うものです。
ところが、この蕎麦の場合、周囲はやや「ニチャ」で、なのに中心部にゃあ芯が残ってる、って感じ。香りなどはちゃんと活かされておりますし、市内にある別な「T」のような舌に残るヘンな苦味なんてクセも無いのですが、この茹で方は、それなりの哲学があってのコトなのでしょうか?
ま、これが好きだ、という方もおられるのでしょうかね?

こうして口に入れてみると、ツユのクセが一層ハッキリします。醤油の「もろみ」系か?と思われる醗酵臭がやや鼻につき、後味があまりよろしくないような気がするのでございますが。
「かえし」の丸みがあまり感じられず、「だし」の旨味も控え目(すぎ?)で、「キレ重視」と言う次元ではなく、「塩辛い」と言う表現がピッタリかも。
全体にややモサモサした蕎麦になっていますね。

どんなに「キレ」に走った江戸風の蕎麦つゆ(並木藪とかね。台東区雷門 2-11-9/Tel 03-3841-1340)でも、最後に蕎麦湯を注ぐと、鰹の香りが「立つ」ものですが、このツユでは例の醗酵臭が強く、呑んでみても、あまり旨味が感じられませんでした。
たしかに七戸(しちのへ)の婆古石(ばっこいし)も同じような醗酵臭がありますが、同時にダシの旨味も活きておりますから良かったのですが、このお店の場合はかなりクセが強いですね。
ま、温かい蕎麦についてはチェックいたしておりませんので、そちらが気に入る方もおられるとは思います(いえいえ、それどころか、この「もり」だって気に入ってる方がいるかも知れませんからね)。

さて、こと蕎麦屋に関する最終評価、ワタシの場合は大曲のとめごろおさんを連れて行きたいと思うか?ってので言えば、答えは「ゼッタイ No!」でございます。
ま、タマにゃあ変わったの喰おっか?なんて流れになったら判りませんが。
ただ、このお店、ピアノを使ったパーティやライヴ、各種宴会なども受け入れてくれるそうなので、そっちの方では案外オモシロいかもしれませんよ。
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