んですてすぉん

2003-03-25
ひさしぶりに、文庫版ながら坂東真砂子の小説を読んでいます。このひとの作中で登場人物たちが使う高知弁がいいんですね。
それ以前に、さいばらりえぞうセンセの「恨ミシュラン」や、「ぼくんち」で馴染んでいたせいもあるんですが、なんだか自分でも使ってみたくなります。
「〜のし」の使い方や「見えゆう」、「〜ぞね」なんて、いい味出してまんなあ。
言葉が「生きてる」って感じで。

そうそう、むかし、サイドカーで日本全国をツアーしてた「ギンギン」って言う、アコースティック・デュオでオリジナルのブルースを演ってたバンドに、後から加わったベースのひとがなにかっちゅうとやたらに使ってた、広島弁だという「ほうじゃけぇのう」ってのも心に刻み込まれてますよ。
そして、それとは別に、たしか静岡のひとだと思ったけど、「行こうぜ」みたいなニュアンスで、「行かざぁ」って言うのがいましたっけ。「行かざぁ」と来たら「なるめえ」って続くと江戸弁かな?
「ほだなっす」ってのは山形だったっけ?なんかいろんな断片が記憶のあちこちに分散して残ってるんですが、ま、山形と言っても広いですから、山形県内のどの辺りで使ってる言葉なのか、までは判りまへん。

だって、津軽弁でも、相手のハナシに相づちを打つのに、「そーだよねー」的な意味合いで「んだっきゃ」とか、カンタンに「んだ!」。
田舎だと「んだんじ(んだず or うだんず。「じ」と「ず」の中間かな?)あるいは地域によっては「んでば」さらに「んってばよ」まである!
さらに、上流階級(?)ネィティヴの丁寧な言い方として「んですてす(ここでも正確には「す」と「し」の中間、やや無声化しつつあるので、やや「す」寄りか?)」なんてのまであります。
ま、こうして書いちゃうと宮崎弁(でも、そまっちによると、九州全域で使われてるんだそうです)の「これ、とっとっと?」、「とっとっと」なんて会話(これキープしてあんの?そう、キープしてるんだよ。ってやりとり)と同様に字面で見る限りウケ狙いみたいにも見えますが、「んですてす」さらに修飾が加わって「んですてすぉん」なんてコトバは、実際に耳にすると(って、この辺りを使えるひとは激減しちゃったような気もしますが)、それなりに「自然」な響きを持っていて、さほど違和感はありません。

ただ「地方文化の復権」やら「確立」を目指す、なんてえ観点から、土地のコトバを見直そう、つー姿勢はいいのですが、それに便乗してる「品の無い津軽弁」タレントもいて、そいつの「きたならしい」、ガサツな津軽弁を、TVCM に平気で使ってる地方局もあって、リッパなお題目とは裏腹に、結果として津軽弁をおとしめてるんだよね。
特に「野津こうへい」とかゆうヤツの津軽弁が汚いし下品で、こいつが騒ぎ立てる家電店の CM を偶然テレビで見た東京から来てた友人は、意味が判る判らない以前に、口調や音の響きがすごく感じ悪い、と指摘しました。
一方、これまた番組中でもナチュラルに津軽弁で通しちゃう、黒石八郎ってタレント(?ホントは民謡歌手らしい)を見た時には、ああ、この言葉なら耳に快い、とまったく正反対の評価でした。同じ津軽弁でも、威張った感じと愛嬌のある感じ、ガサツな感じと丸い感じ。
なんだかパーソナリティの選び方によっちゃ、せっかくの津軽弁も逆効果となるもののようですね。その友人によれば、野津には「敵意」や「排他性」を感じるけど、黒石八郎ちゃんには「親しみ」や「謙譲の美徳?」が感じられて「いい」そうです。

ケッキョク最後は、それを使うひとのパーソナリティに大きく左右されちゃうのね。
感じ悪いヤツが使ってると、「津軽弁離れ」を促進させるだけなんじゃないかなあ。
あ、そうそう、なんだか TBS で青森県の森田村にタレントを連れて来て、典型的な「田舎の」津軽弁を話そうってえ講座みたいのやってたなあ。
ま、ネが「お笑い」企画らしーので、最後に有名ヒット曲の歌詞を津軽弁に翻訳して合唱団が歌い上げる、なんてくっだらねえ試みもやってますが、番組側の言う「若者の津軽弁離れをくいとめる(?)」役にゃあ立たんと思うけど、むしろ、他のとこに住んでいる、ワタシみたいなタイプのモノズキが、津軽弁にキョーミ持っちゃう、なんて可能性はありそ。
なんだか、とんでもないトコでヘンな津軽弁が流行ってたりしたら笑っちゃうね。
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