偽円盤日誌
「一日一杖」


2003-05-21
2003年5月20日(火)

エリック・クラプトン「LIVE IN HYDE PARK(ワーナーヴィジョン・ジャパン/WPBR
90050)
ワーナーによるディスク・データは 
http://www.warnermusic.co.jp/dvd-v/gc2002/international02.html
てなワケで、おおかたの予想を裏切って(?)「映像」なのでございます。
1996年の9月に、チャールズ皇太子の名を冠した英国王室主催の『プリンス・トラスト・コンサート(他には、ザ・フー、ボブ・ディラン、アラニス・モリセットなどが出演)』がハイド・パークで行われたのですが、そこで、最後に出演したエリック・クラプトンのステージ、全14曲をそのまま収録したものです。(’97年にヴィデオ・テープで発売)
バッキングのメンバーは、ほぼ『クレイドル・ツアー』の顔ぶれですが、例のケティ・キスーンとティサ・ナイルズも加わってるとこが一味ちがいますね。
もちろん、「もろブルース」ってナンバーも5曲ほど入ってますが、ここでの主眼はそっちじゃあなく、非ブルース(?)の方でございます。
弘前のオレンジ・カウンティでのセッション仲間、「板どん」がクラプトン・フリーク(?)で、このワタクシが彼のバックをキーボードでサポートすることになり、キーボード演奏やらアレンジメントの参考にするため、各種持ち込んで色々なヴァージョンを見た中で、逆にこちらから、このアレンジでやりませんか?と指定したのがこの『LIVE IN HYDE PARK』でのテイクだったのです。

自分ではコピーはやりません。ですが、ひとさまのお手伝いをさせていただくときには、可能な限り「ご希望」に沿えるよう「トライ(そ、トライです)」いたしますです。ハイ。
特にキーボードで、となると、ハナからバックの和音環境を提供してくれれば充分、っちゅーコトなんでしょうが、もち、このワタクシがおとなしくコードだけ弾いてるワケはございません。「Tears in Heaven」などでは途中の転調部分など、MIDI音源を使った「あらずもがな」の女性コーラスによるハーモニィをつけたり、と、ありとあらゆるヨケーなことにチャレンジいたしております。
ま、完コピするほどの腕が無いんで、自然と編曲(っちゅーより「歪曲」じゃろが)されちまうワケですね。

<筆者の私的ベスト3>

3位「WHITE ROOM」
お馴染みのクリーム時代のヒットです。やはしワタクシ個人の音楽遍歴上の年代的なもんもあるんでしょが、この当時のナンバー(たとえば「Strange Brew」なんか)はいまだに「来ます」ねえ。でも、この曲じゃあイントロに合わせてヴァリライトが派手に客席をスキャンすんですが、場内も暗くなってるせいか、15万人もいる、ってえ聴衆の反応が、その割りにゃあイマイチなよな気がするのは「ひがみコンジョー」つうもんでしょうか?

2位「WONDERFUL TONIGHT」
お馴染みのパティへの想い(このヘンのイキサツは、もう o.jのナワバリですね)がドたっぷり、と言われるソフトでロマンチックなナンバー。時あたかも夕闇が迫るハイド・パーク、さいわい「雨」も降らず(ってのが歌詞への前フリなのよねん。って言って判るのは、o.jと板どんくらいのもんか?)、ユックリと始まるこの曲では、とーぜんブルースっぽいとこはカケラもおまへん。
でも、ワタシとしては、彼のブルースより、このテのポップ・チューンのほうが「いい」なあ。ブルースだと、かえって違和感ばかりが耳についちゃうんですよ。
これ、板どんとやる時は、キーボードのセッティングを、ピアノ&ディレイド・ストリングスに、サブ・ボードを CHOIRにセットいたします。もろ、メジャー・スケールでねん。

1位「TEARING US APART」
アルバム『オーガスト(o.jなら、ここでアルバム・タイトルが『AUGUST』になった由来を、そしてそこから始まるもうひとつの物語なんぞを、じっくり語るじゃろうなあ。つーワケで、そこは彼のためにとっときましょ)』に収録されていたナンバーで、ホーンセクションをバックに、ティナ・ターナーとデュエットした曲ね。
ここ、ハイド・パークのステージでは、ケイティ・キスーンがティナに替わってヴォーカルで参加しています(もひとりのティサ・ナイルズはバック・コーラスで)。
ガインガインのクラヴィネットが刻むD9thとCの繰り返しと、独特のリズム。ブルージイなとこがあるのは歌詞だけ、って曲ですね。
キーボーダーとしては、右手でオート・ワウかけたクラヴィネット、左手ではサブ・ボードからブラス・セクションってえ苦行を強いられるんですが、それがケッコー面白いのよねん。お馴染みのリフのときはサブ・ボードのブラスに集中し、MIDIでメインのクラヴィも鳴らすワケですねえ。
ただ、モンダイは2番なんですわ。ケイティ・キスーンのヴォーカルにレスポンスするブラスの下降リフが入るんですが、そのリズムがクラヴィと違うもんでブラスだけにしないとリズムが合わないのよねー。しかも、二度目のメロはまたちゃうし。さらに2番のあとは例のリフの次に、これまた「きらびやかな」ブラスのリフ(エンディングでもまた登場するヤツね)まで入るんだもの。
とほほほ、大体、キーボードとブラス・セクションを一人でやろーなんてえのが、そも、ムリなのじゃ〜ん!なんてボヤきつつも、ホントは楽しんでいるおバカなワタシ。
てなワケで、この曲が決まったときは、そらもう、イチバンの「快感」なのですよ。メッタ無いけど。

とまあ、あくまでもパーソナルな視点に基づく『LIVE IN HYDE PARK』でございますが、いささかテクに「難」があるキーボーダーから見ますと、やはりこのヴィデオがイチバン参考(?)になる、と言うか、これを目標にしたい!と思わせるとこがあります。
他にも、ロイヤル・アルバート・ホールでの『24 NIGHTS(WPBR-90038)』なんてえ、いろんなセットでの演奏が見られるものもありますが、なんと言っても「Tearin’ us apart」のカタチが「いい」ってことで、こちらをセレクト、でございます。
恐らく、o.jあたりに言わせれば「フッ甘いな」なんてことになるのかもねん。
ま、それはともかく、他にもヒット曲がいっぱい入ってますから、もちろんマニアにとっても価値あるディスクでしょう。レイラでのスティーヴ・ガッドのスティック2本使いなど、映像ならではの楽しみもいっぱいあります。ま、唯一、ベースがネイザン・イーストじゃないとこがつまんないかな?
それ込みで独断評価は★★★★☆
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