西と東

2003-06-17
青森県って、ご存知のよーに(って「ご存知じゃない」ヒトもいるとは思うけど)西に日本海、東に太平洋ってえ二つの海に挟まれ、しかも北は北海道との間を、その日本海と太平洋をつなぐ津軽海峡が流れる(え?海じゃないの?と思われる方も多いでしょうが、潮汐力から、この海峡は潮の流れが早く、地元では「しょっぱい川」などと言われておるのだそうでごじゃります)、と、三方を海で囲まれています。

西海岸の沖合を北上しているのは、遥か琉球列島のあたりで黒潮本流から別れ、日本列島と朝鮮半島を隔てる対馬海峡を抜けてほぼ本州の北側に沿って流れてくる「暖流」です。
その対馬は古くから日本と大陸との交易の重要なポイントとなっており、後に国書偽造事件がもとで同藩の柳川調興(やながわしげおき)が津軽に配流されるという「縁」が・・・ なんてことはさておき、一方の太平洋岸を洗うのは千島列島方面から南下してくる親潮、つまり「寒流」です。
西海岸側の暖流は、春から初冬にかけて、青森県西部(いわゆる「津軽」)に安定した温暖な気候をもたらしているようです。ただし、真冬には、その上を渡ってゆく大気の温度よりも高い水温が災いし、盛んな「湯気」として水分を大気中に補給するもんだから、飽和状態に近い湿度で上陸した後は、高度変化の刺激を受けて、耐えきれず「大量の雪」として、その水分を放出しちゃうんですよ。
ま、逆にその大量の雪が(なんちて、新潟あたりの豪雪地帯のヒトには鼻で笑われちゃうね。こんなん「雪じゃねえ!」って)山地に蓄積され、貴重な水資源となって「梅雨」までの水源となるんだからモンクを言う筋合いじゃあないんですが。
大体、日本の気候ってのは「基本的に」西から東に移って行きます。上空のジェット気流の影響もあって、ここ青森県でも、西寄りの風が吹くことが多いため、太平洋岸でも、大気が陸から海に向かって流れる状態であれば、沖合を流れるのが、たとえ「寒流」であっても、あまり気候に影響を与えることはありません。しかし、気圧の傾斜によっては、当然オホーツク海周辺の高気圧からの冷たい風が吹き込んで来るワケで、それを「ヤマセ」と呼び、昔から、数々の農業被害を出すものとして警戒されてきています。
実は、今日の昼の地方ニュースで、八戸市周辺が濃ゆい霧に閉ざされている様子と、気温も弘前より10度も低い(!)なんてえアナウンスを聞いて、思わず「冷害」というコトバが浮かんでしまいました。

順調な年でも、八戸側のいわゆる「南部」では津軽に比べると、やや作柄が劣るのですが、それは別に津軽の米作り農家が南部よりも優秀だ、ってなワケじゃあなく、もっぱら不順がちな天候によっているのです。
そのように、本来コメ作りに向いていない農地を、昔は蕎麦や、雑穀の栽培でしのいでいたのですが、発想の転換でプラス方向に振ったのが東北町や田子町のニンニク作りでしょう。いつの間にか青森県がニンニク生産日本一(たぶん今も、だと思うけど・・・ )になったのも、この地域の躍進が大きいと思いますよ。

同時に、南部で目につくのがタバコ葉の契約栽培農家です。
ワタクシの持論である「タバコ非合法化→人目につくとこでタバコ吸うな条例」はキョクタンとしても、どんどん禁煙のエリアが増え、いくら自動販売機をどんどん増やして未青年のコドモたちにも買ってもらえるよーにドリョクしても、タバコ吸う人口は確実に減少して行きます(そーならないようなら、この世は「闇」ざんす)から、この農家も、今後のヴィジョンを改めて考えてみる必要はあるでしょう。

ひところは蕎麦の産地として定着しかけたこともあった南部地方ですが、その後、北海道などに名声を奪われて、また、もっと換金性の高い作物に転換したりなどして、やや低調になっておりましたが、最近では再び蕎麦が見なおされているのではないでしょうか?
収穫した蕎麦をその状態で出荷するのではなく、製粉して直営の蕎麦店などで直接お客さんに供することにより、より収益性を高める活動が始まっています。
その中のひとつ、七戸町の「婆古石(ばっこいし)」は、ワタシもそうですが、津軽方面からわざわざ山越えしてまで訪れるお客さんも出ていますよ。
この手のお店は(確か、岩手県北部にもあったハズ)、これまでの「街のお蕎麦屋さん」、そしてそれに飽き足らず自分で始めてしまったマニアックな蕎麦店主、この二つのどちらでもない「第三の」勢力になりそうですね。ま、当たり外れも大きそうですけど。
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