Let Me Play With Your Poodle / Tampa Red

03-07-18
1941年の12月7日、Hawaii の Pearl Harbor がいきなり日本軍に奇襲され、海軍の戦力は大幅にダウンし、太平洋上の制海権をゴッソリ奪われてたアメリカで、ほぼその一年後にビルボードの Harlem Hit Parade(後の R&B チャートの前身)で4位まで昇ったナンバーです。大戦初期の、日本軍が図に乗ってた時期でも、こんなスウィンギーなアッケラカンとした歌が流行ってたんだから、やはりアメリカの国力っつーか余裕はスゴいもんですね。

ねえ、ちょっとキミのプードルと遊ばしてくんない?なんて無邪気を装ってますが、実は・・・なんてハナシは健全な青少年の育成をソガイしかねませんのでヤメといて、と。
Tampa Red のヴォーカルは聴き易い声質で、「ブルース」ってえともっとシブい声を期待する方には軽すぎるかもしれませんが、実にナチュラルで、ワタシは好きなんですよ。ギターもいいんですが、あのカズーだけは「あらずもがな」かな?って気がするときもありますけどね。
しかし、この曲をパワフルに支えてるのは Big Maceo のピアノです。力強い左のベース・ランに乗せた華麗な右手のトリル。さすが、でございますねえ。途中で呼ばれて弾き始めるピアノ・ソロだって、どっちが主役だか判んないくらい「派手」に登場いたします(もっともそのまんまで、あまし変化が無いんですが)。そして、Tampa Red によるカズー・ソロ(?)のバックのピアノもいいし、エンディング?と思わせて、もいちどムリに盛り上がるとこなんて、まるで後追い録音じゃねえの?ってくらい異常なテンションでガインガイン来るあたり、一瞬、SL のブラストっぽくなったりすんのがいいですねえ。

Tampa Red こと、Hudson Woodbridge( Whittaker )は、1900年の12月25日(本人は1908年生まれ、と称してるんだって。あ、ktate さんの人名辞典じゃ1904年1月8日説を採用しているようです。他に同じ1月8日ながら、1903年説もあります。さらに1903年ということでは、10月16日説も!)、ジョージア州の Smithville で生まれています。
しかし幼くして両親を失い、フロリダ州 Tampa の祖母のもとにひきとられ、Whittaker はその祖母の姓 だったようです。
シカゴに出た時期については異説があり、1918年とするもの、また1925年あたり、とする解説もあります。でも Tom Dorsey( Thomas A. Dorsey = Georgia Tom )とシカゴで活動をともにし始めたのは1920年代の半ば以降ってことでは一致しているようです。
1928年の It's Tight Like That がヒットしたおかげで翌年には17枚の SP をリリースしてますね。そっから戦後の1953年までの間に(途中ミュージシャン・ユニオンのストライキによる空白期はあるものの)実に 300曲以上(!)の録音をこなしています。この、チョー多作なとこも、Tampa Red が渋好みのブルース・マニアから軽んじられる理由なのかもしれません。

でも It's Tight Like That を始め、Anna Lou Blues(後に "Anna Lee" としてカヴァーされる)、Don't You Lie To Me、It Hurts Me Too などのオリジネイターであり、Lucile Borgan の Black Angel Blues も Tampa Red が採り上げたヴァージョンが契機となって Robert Nighthawk や B.B.King の録音が誘導された、と見ることが出来ます。その意味でも、ブルース界にとって、かなり大きな存在だった、と言えるのではないでしょうか?

1955年に愛妻が死んでからは第一線を退き、一時期、「再発見されかかった」りしてましたが、1981年に他界するまで、ついに隠遁生活(?)を通したようです。彼がヤル気を無くして「宙に浮いた」そのバック・バンドを構成していた、Little Johnny Jones( pf )、Odie Payne( ds )、Ransom Knowling に J.T. Brown(b)あたりが、そのまま Elmore James のバック・バンドとして活動しました。

収録アルバムは Tampa Red Slide Guitar Classics P-VINE PCD-5764など。



先日の ktateさんに続いて、江戸川スリムさんの BlueSlim ともリンクいたしました。
こちらには、例の「Y2K」クライシス対策(?)に一時帰国して入道とともに弘前でもライヴをやった WABI さんのページもありますが、なにより江戸川スリムさんの Profile が笑えます。
そして Sweet Home Chicagoでは「あの」Little Johnny Jones が詳しく紹介されてました!え?知らん?まー、ギター関係者がアットーテキに多い当サイトじゃあムリないか。エルモアのバックでピアノ弾いてたひとですよん。Dr.Yanya のお気に入りでございます。
さあ、お手持ちのエルモアに耳を澄ましてみてくださいませ。



TOUR de FRANCE 90e:第11ステージ(7/17)はなんでかプレゼンターにシュワちゃんが登場!
Narbonne-Toulouseは153.5kmの、休養明けとしちゃあ短いコースなもんで、どしたって差はあまりつかないやね。
次は個人タイム・トライアル。チームでのサポートなんかない、ホントに個人の力量がストレートに出るステージです。

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