Rainin’ in My Heart

Slim Harpo


03-08-02
別に、今日はせっかくの祭だってのに、雨になっちゃったなあ、というワケではないんですが、このダル&レイジーなハープに導かれ歌いだす温度の低い、モノローグみたいなブルースは、まさに湿度の高いジメジメじっとりの 8月2日にゃあピッタリでございます。
途中、入る「語り」がこれまた気恥ずかしいよなくすぐったいよな、いわく言い難いものがあるんですが、実はけっこう気に入ってます。
スワンプ、なんて言うと、なんだかドンヨリした、濁った水、ってえイメージ(注;実物を知らないのでそんなこと言ってますが、案外湿地帯の水そのものは「マディ」じゃなく、透明だったりするかも?)に傾きそーなんですが、でもね、彼の声は意外と澄んでいるんですよ。
シンプルでキャッチーなハープとその素っ気ないよな軽めなヴォーカルはいっとき、ココロを遥かなるスワンプへと運んでってくれるよな気がします。
なんちて、ま、実際にゃ行ったことも無いんで「あくまで」イメージだけなんですが。

しかし、Excello( 1951年に Ernest L.Young が創始した Nashboro Records の姉妹レーベルとして1952年に発足したナッシュヴィルのレーベル)の音って、なんだか独特の響きみたいのを持ってるよな気がしませんか?残響の付加にしても、なんだか北のほーのそれとは周波数帯域の配分がちゃうよな仕上がりになってますよね?
それって単に機材のモンダイじゃなく、ハートに関わっているのかも。

この Rainin’ in My Heart は1961年にヒット・チャートの34位まで昇っています。
キーは G ですが、12小節の普通のブルースのアタマ 4小節が無く、しかもドミナントからサブ・ドミナントに落ちてこないタイプで、7小節目はトニックとサブ・ドミナントで割り、8小節目のアタマでトニック一発でブレイクとなります。ギターは Rudolf Richard & James Johnson、ベースは?(音質からいって、ギターの低音弦かもしんない)でドラムが A.J.Edwards。
シカゴ的なブーギとはまったく異なる、軽いけど、装飾的なハイハット音を多用する独特なドラムは、ある種の寂寥感を醸し出しているよな気がするんだけど、考え過ぎでしょか?
1960年の録音で Excello 2194 として発売されました(カップリングは Don’t Start Crying Now )。

James Moore( Harmonica Slim あるいは Slim Harpo として知られる)は、1924年1月(あるいは2月)11日に Louisiana 州の Lobdell で生まれて、同じくLouisiana 州の Port Allen で育っています。
しかし第10学年(ちょっとアメリカの学制に詳しくないので、それが日本で言うところの高1に相当するものなのかどうか、よー判りまへん)の時に両親とも死んでしまい、彼は退学してドックで働き始めつつもハーモニカを独学でマスターし、1940年代を通して、州内のジューク・ジョイントやパーティなどを Harmonica Slim の名で回っていました。そして1948年には、後には作詞を手伝ったりもした妻の Lovelle と結婚し、それとともにフル・タイムのミュージシャンに。
やがて彼はプロのミュージシャンとして Excello に録音を始めますが、最初は Lightnin' Slim( Otis "Lightnin’ Slim" Hicks )の伴奏でした。そして、Excello のプロデューサー Jay D. Miller は、当時、ウェスト・コーストで同じ名前ながら、まったくの別人の "Harmonica Slim" がデビューしていたこともあって彼のステージ・ネームを、Slim Harpo に確定し、また音の作りも変更して、まず歌うキーを低くさせ、レイド・バックしたバッキングと組み合わせることによって、Slim Harpo をブレイクさせたのです。
1957年には I’m a King Bee / Got Love If You Want It を吹き込み。以後、ニューオーリンズで IMPERIAL に1962年に吹き込んだものを除けば、1969年まで Excello との関係は続いています。1960年代に入ってからは Louisiana 州内ばかりではなく、南部一帯をツアーするようになりました。1961年 Rainin’ in My Heart / Don’t Start Crying Now、1966年 Baby Scratch My Back( R&B チャート第一位)、1957年から1966年の間と思われる Moody Blues 、1967年には Nashville(他はほとんど Louisiana 州 Crowley での録音)で Tip On In を録音。
彼はまた1967年には Lightnin' Slim と Chicago のクラブに出演しており、同様にスポットで New York や Los Angeles のブルース・ロック・シーンにも登場しています。

Slim Harpo は’60年代中期のイギリスにおけるブルース系ロック・ミュージシャンに大きな影響を与えました。
ストーンズは I’m a King Bee と Shake Your Hips を、キンクスは Got Love If You Want It を吹き込みましたが、その曲はまた The Pretty Things も採り上げ、さらに Raining in My Heart も録音しています。ヴァン・モリソンは Don’t Start Crying Now 、Dave Edmonds & Love Sculpture は Shake Your Hips をストーンズより先に入れているし、あの Moody Blues はスリム・ハーポのインスト・ナンバーのタイトルからその名前をとったもの。
またロカビリーの Warren Smith は1957年に Got Love If You Want It を、さらにカントリーのハンク・ウィリアムス Jr.は Raining In My Heart をヒットさせています。

しかし、1970年の1月31日、彼は心臓発作のため、Louisiana 州 Baton Rouge の病院で死亡しました。そして彼の遺骸は出生の地ではなく、彼が育った Port Allen の墓地に埋葬されたのです。

ワタシのはアナログ・ディスクの二枚組み V/A、THE EXCELLO STORY excello DBL28025 ですが、現代のみなさまには RAININ’ IN MY HEART 1961 P-VINE PCD-2325 がよろしいかと。



「ぷ」さんが無印にお買物に行きたい、っちゅーことで、青森市に行ってまいりました。
無印、以前は弘前市にもあったんですがねえ。ま、ほな、ついでに久しぶりに「与けい庵」でお蕎麦にしましょ。青森のサンロードってえショッピング・モールの裏手にあるお店で、駐車スペースも 6台くらいあるんで、ちと早めに行けばラクショーでございます。
例によって「もり」の大盛りをオーダーいたしましたが、ふむふむ、ズバ抜けてウマい!っちゅーワケじゃあないけど、そこそこイケますねえ。
そこを出て無印のお店に向かいますが、青森のネブタ祭の初日とあって、街はもう、どこもかしこも「浮き足だって」おりますぞ。でもねえ、雨が・・・
弘前から国道7号線で青森に向かい、途中の大釈迦の峠のあたりからポツ、ポツッと雨が落ちてきて、この頃にはけっこうバラバラと降り出しておったのでございます。
夜店を準備してるおにいちゃんも、なんとなくゲンキがありませんん。そりゃねえ、雨がさらに強くなって「中止!」てなコトになったらエラい赤字ですよ。
うちらは午後2時くらいで帰って来ちゃいましたから、その後、雨がどーなったか気になるところでございます。だってねえ、ツアーで日程が決まってる観光客もいっぱい来てるワケでしょ?見ていけるの今夜だけ、ってえのが雨で中止じゃあムゴい!

ところで、青森の街中でヌマどんそっくりなヒトとすれ違いました!
えっ?と思いましたが、いやいや、たしかヘア・スタイルを「や」の字系(?)にモデルチェンジした、って言ってたから、別人ですよね?
permalink No.468

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