Stormy Monday Blues

Elmore James


03-08-06
ブキミに這い寄る低い雲のように始まる、重たく湿度のあるブラスの音。それを一閃、斬り裂くように Elmore のヴォーカルが現れる。引きずるような緊迫感をたたえた「 D 」からのヘヴィーなスロー・ブルースは、諦念というのではない、むしろ清教徒的な禁欲に押し込められた情念が出口を求めているかのようにゆっくりと地上を徘徊し、その重圧感をはねのけようとするかのような単弦スライドによるオブリも虚しく空を切るばかり。ただ、ややかすかながら、遥か彼方で微光を放つかのようなピアノだけが厚く重い雲の上に広がる蒼空を予感させる・・・ なんちて、かくのごとくミョーにブンガクテキ(「的」ね、あくまでも)なキブンにさせちまうのが、この Elmore による Stormy Monday でございます。

みなさまは Stormy Monday っちゅうとそれぞれに「お好き」なヴァージョンがおありでございましょうね?
T Bone Walker、Bobby "blue" Bland、Little Milton、Albert Collins・・・ まだまだた〜くさんのヴァージョンが存在するでしょうが、ワタシにとっては、この Elmore James が「ベスト!」。
ワタシはセッションでも、ごくフツーのスロー・ブルースとしてやるのが好きなんですが、ケッコーみなさま、T-Bone スタイル(キーが G で、7小節目から G→Am→Bm→A#m って行くヤツ)がお好きなよーで、かえってブルースにはあまし詳しくない(しかもオールマンに汚染されてない)ロック系のメンバーとセットの時くらいしかストレートなブルース・フォームじゃ出来ないのでございます。

ま、T-Bone スタイルでやりたい、っちゅーんなら付き合えるんですが、自分がヴォーカルをとるんなら、あくまでも Elmore みたいにやりたいですね。あと、Stormy Monday じゃないスロー・ブルースで、あの「 7-9(いわゆるセヴン・ナインス)」で半音下げ→半音上げ、っちゅう揺らすのを(バックに)「勝手に」やられちゃうとアタマ来ますねえ。
でもまあ、曲の途中で「ストップ、ストップ!」と、止めちゃって、あらためてバックに注意する、ってのもナンでございますし。仕方なくそれ無視してこちらは「ソリッド」にコード切って抵抗することにしちょります。ヴォーカルから「指示」が無い場合は勝手に「揺らす」のはヤメましょー。

さて、Elmore に関してはワタクシなんぞがあ〜だこ〜だ言うまでもなく、もはやあまりにも有名な存在でございます。どころか、ここでヘタな講釈なんぞタレた日にゃあ、全国各地から「ドトーのようなツッコミ」がアメアラレと殺到するやも知れませぬゆえ、ごくカンタンに・・・ などと構えてしまうのも、実はかって大曲のとめごろおさん達とブルースの小冊子みたいなのを自分たちで編集し、配っておったのですが、そこで Elmore の特集を組んだ際に、「今さらエルモアがスゴい、なんてやってるとはズイブン遅れている」なんてぬかすバカがいたんだよ。

な〜に言ってやがるこのトンチキがっ!こちとら、「これからブルースを聴いてみようかな?」ってヒトのために作ってるワケで、マニアのためのヒョーロンやってるワケじゃねえんだよ!
なんとかしてマウントとりたいだけだろ!この唐変木がっ!
そんなテメエなんかより「遥か」前から Elmore を「愛して」るんだよ、こっちは!
いいか?いつだって「初心者」はいるんだ。そのためのガイドを書くのは我々のツトメだろがっ!
それをねえ、「今ごろエルモアの偉大さに気付くとは」、なんてバカ言ってるとこみると、「よほど知能が足りねえ」ようだな!
ま、こんなスットコドッコイはそーザラにはいない、とは思うけど、「ブルース好きな(あるいは「エルモアが好きな」でもケッコー)ヤツにワルいのはいない」なんて、ゼ〜ッタイ大ウソだな。

ま、そんなバカに出会ったせいで、Elmore にはあまり触れたくなかったくらいだぜ。
ワタシ自身は Elmore 大好きだけど、良くも悪くもエルモア・フェチが多いようで、キョーレツな「思い入れ」を持ってんのはソイツの勝手だけど、それをヒトに押し付けんじゃねえっ!

でげすから、いつもよりはグ〜ンとシンプルに紹介するだけにいたしましょ。
Elmore Brooks は1918年の1月27日、Mississippi 州の Holmes 郡 Richland で Leora Brooks の私生児として生まれて、10才の時にラード缶を使ってギターを作り、それを弾き始めた、と。
そして1963年 5月24日、心臓麻痺によりIllinois 州 Chicago のHomesick James 宅にて死去。

その間のことは、興味がおありでしたら自らお調べくださいませ。Yahoo USA で検索にかければドッサリ出てきます(あ、もちろん Yahoo Japan でもケッコーざます)。

Stormy Monday Blues は Whose Muddy Shoes CHESS CH 1537 に収録。
手元のデータでは、1960年の4月、Chicago にて録音、John A. Williamson ( guitar ) / Eddie Taylor ( guitar ) /その他不明となっとります。ご存知の方は教えてねん。
ところで、いまだにサイト上の紹介文で『さらにヴァン・ヘイレンの「アイス・クリーム・マン」も、もともとは彼(エルモア)の作品だ。』なんて書いてるのがあるのには驚きましたぜ。つい、コラエ切れずに訂正を求めるメール出しときましたけど。
こゆのこそ、ほっといちゃダメでしょ?解釈の違いなんかじゃないんだから。



つい先ほど(夜10時過ぎ)今年のネブタ祭が終りました(ま、明日の昼にも「なぬかび」とかゆってチョビっとあるっちゃーあるんですが、「昼の」なんてネブタじゃない)。
珍しく「ぷ」さんと一緒に仲良く始めっから仕舞いまで通して見ることが出来ましたよ。
常人とは体感温度が 5度違う、というウワサのワタクシはゼンゼン平気だったんですが、「ぷ」さんのほうは「寒い寒い!」と騒いでました。
そーなんですよ、ここ津軽じゃあネブタが終る頃には、夜になると「涼しい」を通り越して「寒い」(あ、ゴカイの無いよーに言っときますが、寒い、ったって「昼のクソ暑いのに対応した薄着でいると冷える」っつーイミでして、歯の根が合わなくなるよなガチガチガチ・・・ っちゅー寒さとはちゃいます)日も訪れ始め、ああ、夏も終っちまうのねん、と一同、感傷にひたるワケでございます。
でも、一度はそー思わせといて「お盆」あたりにまた暑さをぶり返させるバヤイが多いのですが。
弘前って、北の方はそのまま津軽平野につながって行きますが、それ以外は西に岩木山と白神山地、南は秋田県の米代川流域との間を隔てる矢立(やだて)峠、東を奥羽山脈の残党によって囲まれた「盆地」に近い地勢にあるためか、暑いときはメッチャ暑くなったりします。残暑もキビシかったりするんでユダンは出来ないのだ。

東京はまだまだ暑さホンバンなんだろなあ。みなさま、なんとかブジに乗り切ってくださいねん。
permalink No.472

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