Please Don’t Leave Me

Rockin’ Dopsie


03-08-21
なんでか今日の弘前は文句の無い「夏」でした。気温だって29度まで上がっちゃって、いやあ暑い暑い!こんな時にゃあ Zydeco だべ(?)と、選んだ今日の一曲はザディコとは言いながら、かなり洗練された仕上がりのこの曲でございます。
あ、ザディコってのは、本日の演奏者、Rockin' Dopsie の息子、Dwayne Dopsie の説明によれば、『一日中すごい汗をかいて働いていますから、塩をきかせて料理することが大事だったんです。で、その決り文句をいつもハミングしている好きなメロディに 乗せて「 Les Haricots Sont Pas Sales(豆をさやから出したら、塩をしっかり入れなくちゃ)」って 唄いながら料理していた。( Dwayne Dopsie の自宅にて 1999年4月26日、Kevin Friedrich によるインタビューから。邦訳は http://members.aol.com/yhironari/DwayneDopsie.htm による)』てなワケで、「 Les Haricot 」の「 Les 」は単独では末尾が発声されないので「レ」ですが、後に単語がつくとリエゾンして「レザリコ」に近付き(ここでも末尾の「t」は発声されません)それがクレオール表記の「 zydeco 」となったもののようです。したがって日本でカタカナで表記するなら「ザディコ」となります。「 zydeco 」と言う綴りだけ見ると「ザィデコ」と言いたくなるでしょーが、エスノグラフィカルに考察すれば「ザリコ」に近い方が正解でしょう。
このへんについて、さらに詳しいことがお知りになりたければ、「虎の穴」ならぬ「類似穴」ってのがありますから(ま、正式にはそんな名前のサイトじゃないんですが)、当 Blues After Dark のリンク・ページから武者修行に行ってらっしゃいませ。うぷぷ

おっとっと前置きが長くなっちゃいましたねえ。さて、Please Don't Leave Me、けっこー重心の高いスゥインギーな仕上がりですよ。彼の「Ooh, Uh」っちゅー合いの手(?)もチョーシ良く、ソロの August Charles Jr. のテナー・サックスもなかなかスタイリッシュ!
ま、ヨーロッパ受けしそうな作りになってるせいか、あんましエスニック色は強くありません。ムカシ、初めて聴いた時には、おっ!これがザディコっちゅーもんだべか?とかなりエグいよな気がしたんですが、それから 20年を経たいま聴くと、あれえ?こんなに洗練されてたっけ?と思うよになったのはワタシが「汚染」されたせい?

たしかに、エスニックなものって、ま、言い方は悪いけど「もの珍しさ」と「違和感」のせめぎあいで「受け容れられるかどうか」が決まるよな気がするんですよね。
ワタクシ、どっちかってえとなかなかの「ヒコクミン」ゆえ、このよーに行ったコトも無いアメリカの音楽について、さも観て来たかのように書きまくってみたり、様々な異郷の音楽にココロを沿わせる(あ、でもダメなのもあるのよねん。ノルマンディー半島のケルト系民俗音楽や、サーメのヨイクなんて「R」音を「巻く」系統にはナジメません)日々なのでございますが、ブルースひとつとってみても、キョヨーハンイが、ソーシャル・ダンスのブルースまで、とか、クラプトンまで、とかワリとその「香り」がする程度のとこまで、っちゅー層の方が多いんじゃないでしょか。

それってエスニック・フーズとも共通してるよな気がするんですよ。
たとえば、スリランカやインドの、あるいはタマリンドを使ったタイなどのカレーを、いきなり食べて「美味しい」と感じる日本人はどのくらいいるでしょ?ま、なかにゃ初めて喰ったにもかかわらず味覚器官のレセプタ全開で、「旨い!」ってゆーヒトだっていますけど、大半の方は「ウゲっ」だと思うんですよね。
でも、そこからヒントを得て、日本人向けにリファインさした一般家庭の「いわゆる」カレーってものを「嫌いだ」っつーひとって滅多にいませんでしょ?
それはカレーを「堕落さした」とも言えるけど、逆に、それによって世界に出てったとも言えるワケで、そこら、最近ニューヨークで流行ってる「スシ」ってのを我々日本人が見て、グェ~!神聖な寿司にナナナなんとゆーことを!てなジョータイと一緒なワケ。

やはり、初めてザディコを聴く、なんてヨーロッパの聴衆にターゲットを絞れば、この程度のテイストが良かったんでしょうね。てなワケで、初めてザディコを聴いてみよかな?なんて方には口慣らしにゃちょーどいいかも?

さて、Rockin' Dopsie こと Alton Joseph Rubin Senior は、Louisiana 州の Lafayette に近い小さな町、Carencro で、1932年 2月10日に生まれました。彼の父は週末など、ハウス・パーテイでアコーディオンを弾いていたようで、時々彼も連れていったようです。面白いことに彼もまた自分の息子をライヴに連れてきてたようで、その息子、Dwayne Dopsie こと Anthony Rubin も父の跡を継いで Rockin' Dopsie Jr.となって行くんですから「 Rubin 家の掟(?)」おそるべし。

14才になった時、父は彼に小さなアコーディオンをくれました。
左利きなのに、そのアコーディオンは右利き用だったんで、以来、彼は上下逆さまにして弾くようになったのです。ま、それもあってこりゃ「教えようがない」とでも思ったのでしょうか、父から教わらずに、弾き方は自分で覚えろ、ってワケで、どうやら彼はラジオから流れて来る曲に合わせて弾くことでどんどん上達し、その父を凌ぐ腕前になるのに、そんなにかからなかったそうでございます。
1950年代に入ると、イトコでラブ(ラ「ヴ」じゃないぞ)・ボード奏者の Chester Zeno と一緒に Lafayette に出てブルース・クラブなどで演奏するようになりました。
このころの彼は煉瓦あるいは漆喰を運ぶシゴトに就いていたようです。

彼はまたダンスにも才能があったらしく、そのせいか、シカゴから来たダンサーから「 Dopsie( Doopsie と綴ったりもしてますが)」って名前をパク・・・ うっぷす、いただいてるよーでげす。
やがて、彼のステージでのハジケっぷりから、その前に「 Rockin' 」がつくようになり、そこで「 Rockin' Dopsie 」っちゅうステージ・ネームが完成したワケですね。
一方、バンドのほうは the Twisters だったり the Cajun Twisters だったり、このアルバム、Sonet SNTF 718(アナログ・ディスクだよん)のジャケ写のバンド・ワゴンには、どー変わってもいーように(かどうかは「?」だけど)カンタンに and His Band と書かれてます。
1950年代から1960年代を通して、マイナーな独立系レーベルに吹き込みも経験してたよーですが、彼が世に出ることとなったのは、1976年の the New Orleans Jazz and Heritage Festival に出演(他に Lightnin’ Hopkins や Professor Longhair なども出てます)したことがキッカケとなって、スウェーデン資本のレコード会社 Sonet(プロバイダじゃないぞう)と契約が成立し、同年 Louisiana 州の Baton Rouge の Deep South Studio で録音され、イギリスでは Pye Records から配給されたこの Doin' The Zydeco によるものです。
ま、そんな背景ですから、やはり、それまでザディコを聴いたことないヨーロッパの聴衆を念頭に置いた作りとなっているのはしゃーないんでしょね。

ま、それはともかく、1979年、1980年と連続でヨーロッパに渡り、そっち方面では広く知られる存在になってはいたようですが、ことアメリカ国内では、1985年に Paul Simon のアルバム Graceland の録音に参加したことでやっとブレイクした、と言えるのかもしれません。
それからはシンディ・ローパーやディランと共演したりスーパー・ボウルのハーフ・タイム・ショーに出たり、Louisiana Community Coffee のテレビ CM にも出演し、映画( Delta Heat )にまで出てるんですねえ。

そのバンドには、やがて息子も加わるようになり、三男の David が Washboard、次男の Alton が Drums として共演することとなりました。四男の Anthony( Dwayne Dopsie )によれば、彼は1970年代からずっと、パール・レッドの、ベースボタンが12個、トレブルキーが31個のアコーディオンを使っていたようですが、後期には同じパール・レッドながら、 80ベースボタン、37トレブルボタンのも使っていたようです。
その Rockin' Dopsie は1993年の 8月26日に死んでしまいましたが、ほぼ 4年後に、四男の Anthony のアコーディオンをフロントに、Dwayne Dopsie and The Zydeco Sont Pas Sale というザディコのバンドを結成して跡を継いでいます。なお、このバンドは後に改名し、Rockin' Dopsie Junior and the Zydeco Twisters となりました。いまや、ファン・クラブのサイトもありますので、キョーミがおありの方は覗いてみてくさい。

http://www.neworleansproducts.com/fanclub_dopsie/dopsieabout.htm



さすがにツッコミすぎたか、多少エディ・テイラー・ボケの気があるようでございます。だもんで、本日はやや「脱力」の一曲をば。(ってホントは暑さのせー?)
ところで、またアヤしーメールが来ました。
おたくの Blues After Dark がこのままでは、XXXXXXサイトのサーチに引っかからないコトが判明いたしました。300,000ヒットも夢ではないこのサイトに登録いたしませんか?
費用はたったの Xドルです。だと。(つまり海外からの英文のメールです)
な~にを考えてんだかなぁこのタコは!
うちは商業サイトじゃないし、広告収入も無いとこだから、ヒットなんざ増えなくてケッコウだあ、べらぼうめ!
まったく、こゆチマチマと小金を大勢からダマし取ろうってえ輩が出て来て困ったもんでげす。
アダルト・サイトの閲覧料金を請求するとビビってホントに払うヤツがいるから、こんなのがのさばるワケなのねん。
permalink No.487

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