Mr. Freddie's Kokomo Blues

"Mr. Freddie" Spruell


03-09-30
この曲そのものは、Kokomo Arnold が1934年に出して大ヒットになった「あの」Old Original Kokomo Blues のカヴァーってことになります。
その曲はやがて Robert Johnson の Sweet Home Chicago として結実して、さらにはブルース・イグロアをして、太った黒人女性がスゥイート・ホーム・シカゴを歌うのがブルース、というイメージにはウンザリ、みたいに言わせるほどに愛唱歌(?)化してゆくワケですねえ。
それを Mr. Freddie はとっても「キュート」に歌っています。一聴したところ、女性ヴォーカルにも聞こえるクセのある声で、意外と淡々と歌ってますよ。
自分のギターの外に Carl Martin* のギターも加えたその演奏は、なんとなく Stop & Go みたいなミョーな「区切り感(なんじゃそりゃあ?)」があって、それなりにオモシロいんですが、あまり「重厚さ」はおまへん。
やはりどことなくワタシの好きな「おちゃらけ」の香りがかすかながらも感じられて(?)実にいいですねえ。

* CARL Martin 1906-1979、 Virginia 州の Big Stone Gap で生まれる。1930年、Knoxville で吹き込み。その後 Chicago に移り数ヶ所のレーベルに吹き込み。それからほぼ 30年間、活動を続ける。1935年の録音 Farewell To You Baby、Badly Mistreated Man、Joe Louis Blues が Yazoo 1016 の Guitar Wizards 1926-1935 に収録されている。
また1936年の録音( 1936.7.27, at Chicago )、Farewell To You Baby、Badly Mistreated Man、Crow Jane、Old Time Blues は ESSENTIAL RECORDINGS OF EAST COAST BLUES (1927-1941) で聴くことが出来る。


カンジンの "Mr. Freddie" Spruell(あ、P-Vine の PCD-2254のライナーでは「フレディ・スプルール」と表記していますが、Wild Jimmy Spruill の「Spruill」じゃないんだから、これ「スプルール」、あるいは「スプルル」じゃないか?って気がすんですけどねえ、日暮さん)についちゃあ、レコーディング・データ以外の資料が見つかりません。生年も不詳でございます。
でも、いちおー録音された「最初の」デルタ・ブルースマンの中のひとり、ってえことにはなってます(他は Bo Weavil Jackson と Blind Blake ね)。
ご存知のように、1914年 7月28日にヴァルカン半島で火がつき、全世界に拡大した第一次世界大戦に、アメリカが参戦したのが1917年です。そしてその 2年後にヴェルサイユ条約が締結されて終ったのが1919年の 6月28日でした。
まさにその反動でもあるかのようにアメリカは The Roaring 20's に突入していったのです。
当然その上昇ムードはアメリカ黒人の生活にも無縁ではなく、1920年には(資料に残っている限りでは、ね)史上初のブルース系の音楽として Mamie Smith の Crazy Blues が録音されております。それから1924年までは女性のシンガー*ばかりが録音されておりました。

*1922年までに Edith Wilson、Lucille Hegamin & Her Blue Flame Syncopators など、1923年には Ma Rainey や Bessie Smith がレコーディング・デビューし、Clara Smith に Rosa Henderson。さらに初のフィールド・レコーディングで Lucille Bogan も録音されています。ただ、この年には Sylvester Weaver も録音してて、その中の Guitar Rag はカントリー・ミュージックの Bob Wills & His Texas Playboys によって「Steel Guitar Rag 」としてカヴァーされたりもしてて、男性も録音されてるじゃねえか!なんて言われそうですが、この録音は「すべて」インストなんですわ。つまり女「声」のみ、というマーケットの状況は変わっていないのでございますよん。


1924 年になると、Old Southern Jug Band が初のジャグ・バンドとして録音され、さらに「初めて」男性のシンガー、Ed Andrews、Daddy Stovepipe そして Papa Charlie Jackson が録音されています。
そして、以前採り上げた Blind Lemon Jefferson に続いて、1926年に、初のデルタ・ブルースマンとして "Mr. Freddie" Spruell も録音されたのでございました。
したがって、少なくとも、レコード盤上に表れた「ブルースの歴史」としてはこの1925年前後をその「始まり」と見るのが妥当なのかもしれません。
この1926年 1月25日は「Milk Cow Blues」( serial 9793-A )を録音。同年の11月17日には Muddy water blues と Way back down home( Milk cow blues )を、1928年の 7月には有名な Tom cat blues と Low-down Mississippi bottom man を録音しています。
この1928年の録音だけは前者が Historical ASC-17で、後者が Mamlish S-3802に収録されていますが、それも含む全曲が RST BD-2014に収録され、最後の一曲以外は Yazoo L-1038にも収録されています。
1935年 4月12日には 4A Highway、Don't cry baby、Your good man is gone(ここまでの 3曲は RST BD-2014と Mamlish S-3802に収録)、Let's go riding( RST BD-2014、Roots RL 314と Origin OJL-18に収録)、そして今日のブルース、Mr Freddie's Kokomo blues( RST BD-2014と Mamlish S-3802に収録)が録音されています。
このように1928年から1935年までの空白の期間というのはもしかすると、1929年10年29日、Black Tuesday と呼ばれた株式市場の大暴落に始まった「世界恐慌」の影響もあったのかもしれません。1932年にはレース・レコードの大手だった Paramount Records が潰れ、レコード業界もその規模を縮小していってましたからね。
この低迷から業界が抜け出してくるのは1934年あたりだったのではないでしょうか。そして1935年には Jazz Gillum*や Washboard Sam**あたりが注目され、その流れの中で、"Mr. Freddie" Spruell もダウンホームな味わいからひとつ脱皮(?)してより広いマーケットを狙った音作りということでこの Mr. Freddie's Kokomo Blues を仕上げているんじゃ?ってえ気がするんですが、いかがなもんでしょ?

*本名 William McKinley Gillum。1904.9.11-1966.3.29。Mississippi 州 Indianola 生まれ。1923年から街頭で演奏しシカゴに移って Big Bill Broonzy と組み1934年から活動。ハープ奏者
**本名 Robert Brown。1910.7.15-1966.11.13。Arkansas 州 Walnut Ridge 生まれ。


というワケで、Mr. Freddie については、あまし良く判りませんでしたね。あ、ひとつだけ。彼は1956年 6月19日に Mississippi 州で死亡しています。



久しぶりにナポリタンが食べたくなって作ってみました。
ホントは由来さえ判んないアヤし〜プレス・ハムがあればピッタシなんだけど、あいにくウチにはロース・ハムのスライスしか無かったんで、それでダキョ〜いたしましょ。
あ、パスタもナポリタンやるにゃあ細すぎるなあ。ま、いっか?やるコトに意義がある(?)。
ここんとこあまり出番が無かった Delmonte のケチャップを出して来て、と。
ねえねえ、イタリーのナポリじゃ、ナポリタンなんてのは無いって知ってる?
あれ、どっからナポリタンなんて名前になったのかしらねえ?
どっかで見たスペルじゃ Neapolitanとかってなってたけど、それもアヤしいわねん。
ホンモノのバターにロース・ハムじゃあのチープさが出ないざます。なんてイヤミなコトをほざきながら作ってみましたが、フム、たまにゃあナポリタンもいいもんじゃのう。
でも、もちっとケチャップたっぷりにしたほが「お下品」でいい味になったよな気がするなあ。
そこら、ネがお上品なもんだから。うぷぷぷ
permalink No.527

Search Form