Quite My Drinkin'

Robert Garrett


2003-10-24 FRI.

腰は軽いけどやや粘り気のあるギター(なんじゃそりゃ?)に導かれて、初期のモダン・ブルースって感じで始まるんですが、これホントに Robert Garrett ひとりでヴォーカルとギター両方やってんの?クレジットじゃあ、他に unknown としてピアノ、ベース、ドラムとなってるんですが、こんなに滑らかに声を張ってる最中に、こんなコったギター・ワーク出来るもんでしょか?
いえね、ゼッタイ出来るワケゃあ無い!とまでは言いません。言いませんが、ま、例えて言えば、セッションによくある光景で、ブルース経験の浅いギター小僧が、オブリをへーきでヴォーカルにカブせて来ることございますでしょ?そゆ感じのギターなんですわ。
はたして自分で自分のヴォーカルを無神経にジャマするよーなギターっての、弾けるもんなんでしょか?そこらおおいにギモンでございます。

ま、それはともかく、一瞬 Otis Rush っぽいギターになりかけたりもするんですが(あ、ところによっちゃ T-Bone っぽいとも言えますね)、ケッコウ味のあるギターではあります。ややウルチャいとこも年代からすっと( 1962年 at Nashville )、こんなもんかも?
いかにも Gibson 系のハムバッキングでトレブリィかつクリアにお上品なリヴァーブをかけて豊富なワザを繰り出し(繰り出し過ぎ?)そこらの過剰感がまた独特なムード作ってますねえ。・・・なんて、これ、ギターはちゃうひとが弾いてたりしてたらムダなコメントってことになる?ま、Robert Garrett がどう、っちゅうよりあくまで「今日の BLUES 」がメインですから曲紹介としちゃあそれでもいーんだけど、大体がそのブルースマンの紹介にナダレ込んで行くパターンなんで、ホントはこのギターがはたして本人かどうか?は大きいんだけど・・・ええいメンドーだ、他にはどんなに耳を澄ましてもギターの影も無いこったし、本人だ、っちゅうコトにしておこう!そ、自分じゃ出来ないからってひとも出来ないとおもっちゃイカンよね。
こんな風に自分で自分のヴォーカルをジャマするよなウルチャいオブリを弾ける才能(?)があるひともいるんでしょう。

カンジンのヴォーカルのほうは、ややクランチがかった声質ながらも、さほど耳障りではなく、このメロウ系(か?)のギター・ノートとの対比がよろしく、しかもテクをひけらかすかのごときメロの強引なアップ・ダウンもなく、意外と淡々と進んで行きますが、そのちょっとザラついた声質もあって、ケッコウ存在感はありますね。強いインパクトがある、ってえほどじゃないのが惜しいけど。
録音はこのヴォーカルがメインなハズなんですが、しょーじき、ギターの方が目立っちゃってる気がいたします。で、それ以外のピアノ、ベース、ドラムは「まるで隣りの」部屋でやってるよな引っ込み加減がまた実にいさぎよい。
主題をいやが上にも強調しよう、って音作りでしょうか?この判りやすさもウケる要素なんですね、きっと。

Robert "Bud" Garrett は Tennesse 州の Free Hill で 1916 年の 1 月28日に生まれています。
1830 年以来、自由を得たかっての奴隷たちの作った隔離されたコミュニティがあった Free Hill で殆どの生涯を過ごしたようです。
ただし、手持ちの資料ではそれ以上のことが判りませんでした。
どのような人生を歩んでブルースマンになったのか?などなにひとつ判りません。
その彼がブルースの歴史の上に登場するのは 1962 年に Nashville で録音され、Excello 2216 として発売されたシングル Quit My Drinkin' / Do Remember からです。
その後 Ted Jarrett( 1955 年に Excello の Louis Brooks & The Hi-toppers のために作った曲 It's Love Baby ( 24 Hours A Day ) で成功を収めたシンガー・ソングライター。その後、独立プロダクションに移り、 Champion、Calvert、Cherokee などという一連のレーベルを立ち上げました。そして Nashville の R&B をリリースしていますが、中でも Earl Gaines や Gene Allison、Larry Birdsong に Shy Guy Douglas などが有名なところでしょう。さらに手を広げて Poncello やその傘下の Valdot や Spar、Bullet/Sur-Speed などのレーベルも生み出し、最終的にはソウルの Ref-O-Ree レーベルも作っています)のもとで I Don't Wanna Be Sober と Mean Man(ただしこちらは未完成なまま)」の 2 曲をレコーディングしていますが、その日付は判明しませんでした。
その後、1980 年代にはコミュニティ内でのフェスティヴァルなどにも出演をしているようですが、Free Hill でも次第にディスコやケーブル TV の普及に伴ってそのような場も減っていったようです。

1987 年11月24日、Robert "Bud" Garrett は 71 才で死亡しました。場所はもちろん Tennessee 州 Free Hill です。

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