Everytime I Get Drinkin'

Sunnyland Slim


2003-10-25 SAT.

American Folk Blues Festival 1964 での落ちついたしっとりとしたブルースでございます。
抑えたハイハット・ワークに時たまスネアのクリーン・ショットを挟んでビックリさせたりもするけど、基本的にはフロントをスポイルしないように低空飛行を続けるドラムの Clifton James を唯一の例外として、残りのメンメンはとっても個性に溢れてます。
Sunnyland Slim のイントロのピアノにしてからが、華麗にコロがす、ってえよりは曲のタイトルにふさわしく(?)モツレ気味に聞こえるのはワタシだけでしょうか?ま、Hubert Samlin がソロとってる間の右寄りでのトリルはケッコー滑らかなんで、リキみ過ぎただけなのかもしれませんけどね。
あるいは右に比べて左手がちょととっちらかってるだけ、っつー可能性もありますが。
でもこのひとのヴォーカル、ケッコー好きなんですよ。クセの無い、ナチュラルな歌いかたが判りやすくていいです。
たとえば Lightnin' Hopkins あたりだと、ヨーロッパの聴衆、とりわけ英国あたりじゃ、とても同じ(?)言語を使ってるとは思えないほどキョーレツな訛りがあって、それが「味」であることも確かなんですが、独特の距離感を醸し出してしまうんじゃないでしょか?
それがこの Sunnyland Slim だと丁寧に歌ってくんで、非英語圏の聴衆でも「なんとなく」内容が伝わり易いよな気がすんですが、ま、別にオランダ人やドイツ人に知り合いがいるワケでもなく、両方聴かせて感想を訊いてみた、っつーコトも無いので、単なる「思いつき」なんですが。

オープニングあたりじゃ、次に耳につくのが Willie Dixon のウッド・ベースでしょか?
やはりモダーン・ブルースに馴れた耳にはかえって新鮮でなかなかいい感じでございます。とは言え、よっく聴くと、それほどたいしたフレーズ弾いてるワケでもないんですけどね。
そして、すぐそれから意識を逸れさしてくれるのがモチロン、偉大なる Hubert Sumlin センセのギターでございます。ま、彼のギターだけを云々するなら、その前のサニー・ボーイのバックでのギターがまた「白眉」なのではございますが、ここは Sunnyland Slim が主役。ピアノに主役を譲って、やや引っ込んだ録音が歯がゆいっちゅうか・・・
しかし、それにしても、このギターもいい音してますよ。クリアーでソリッドで芯のある音ですねえ。この独特の音の「揺れ」がまたたまりませ〜ん。
ま、ヒカクするなんざ、まことにもってオコガマしいのではございますが、ワタクシの場合、ソロの時、トメた音をダウン・スライドしちゃうクセがあるのですが、Hubert Sumlin センセの場合アップ・スライドを多用なされておられます。ご自分でもギターをやってればお判りになると思いますが、ダウン・スライドでは弦の振動エネルギーが「長波長化=小振幅化」つまり音は小さくなる方向であるため、ほっといてもフェイド・アウトいたします。それゆえ、テキトーにナットに向かって指を滑らせればいいのですが、アップではその逆で音量がアップいたします。でありますからして、いー加減なトコで指を止めるワケにはいかず、キチンと「理由ある音」まで引っ張ってかなくちゃなりませ〜ん。そこら、まさに熟練のワザでしょう。
途中のソロでも Hubert Sumlin センセはムダに激することなく、もちろん「ワシこそスターじゃあ~!」なんてカン違いもせず、サポートの立場を「楽しんでおられる」ようにさえ感じられます。
・・・と、これじゃあ Hubert Sumlin のほーにスポットが当たっちゃってますねえ、いかんいかん。

え~、Sunnyland Slim のピアノにつきましては、ワタクシのワケ判らんゴタクなんぞより、ゼヒとも江戸川スリムさんの Sunnyland Slim についてのページを御覧になってください。そのピアノの「よってきたるところ」など、誠実に追求しておられます。

Sunnyland Slim、本名 Albert Luandrew( alt.Laundrew )は 1907 年( alt.1905 ) 9 月 5 日、Mississippi 州の田舎、Vance で生まれています。
いつもなら、その後を様々な資料から抜き出して、その時点で判っているプロフィールを書いていくのですが、シカゴ系ではこれまでにも何度かございましたが、既に江戸川スリムさんのサイトにスゴい詳細に書かれてあり、それに付け加え得る「ミニ知識」ひとつ見出せないジョーキョーでは、いさぎよく全面降伏したほーがよろしゅうございます。
前の文節中にあるリンク・スイッチで行ってみてください。Sunnyland Slim のことばかりか、おおまかなピアノ・ブルースの流れのようなものまでが一望できる「労作」です。門外漢がたった一日で集められる資料などでは到底かなうハズもありません。
とゆーワケで、いささか手抜きのそしりを受けそうですが(ま、言い訳するんじゃないけど、これでも Sunnyland Slim の Biography 5 種類を読んだんざます。でも江戸川スリムさんの記述に追加できそな事実あるいはウワサですら見当たらないのよねー)、こと Sunnyland Slim についちゃあ、そちらを参照していただいたほーがゼッタイいいです!

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