The Days of
Screamin'
Jay
Hawkins


Strange Steps.4



2003-11-09 SUN.
ありゃりゃ、Eddie Taylor の 3 日連載、Robert Johnson の 4 日連載を抜き去って、こともあろうに Screamin' Jay Hawkins が怒涛の 5 日目突入だあ〜っ!
・・・とは言っても別に Screamin' Jay Hawkins がそんだけ「偉大である」なんてえワケじゃなく、ただ単にワタシの「お気に入り」だ、っつうだけなんすけどね。
ココロ清い「正しい」ブルース・マニアには決しておススメ出来ないよな Screamin' Jay Hawkins ではございますが、これがまたヤメられないんですよ。

あ、話は変わりますが、以前すかさんが教えてくれた Yahoo の Screamin' Jay Hawkins 掲示板、ホントに消えちゃってましたねえ。ま、彼のことだけで話題が続くためにゃあ、そーとーコアなファンでもいないと・・・でも、そーなると「あ、面白い」って思った程度で来るひとはついて行けないし・・・難しいとこやねん。

さて、まだまだ続くI Put A Spell On You でございます。Screamin' Jay Hawkins のマネージメントをしてた Stan Pat( Grand Records の A&R マン)のとっから昨日の日記は始まりましたが、今日はまた別のマネージャーの登場です。その名は lrv Nahan。1983 年の春に Radio London でのインタビューで Screamin' Jay Hawkins は最初のI Put A Spell On You だった Grand Records の録音について「 Herb Slotkin はパイの分け前を欲しがってた。でもマネージャーの Irv Nahan がマスターを持ち出して廃棄したんだと思う」と語っています。
つまり、Grand に吹き込んだあたりにゃあもう Stan Pat じゃなく lrv Nahan だったんでしょね。そしてその Nahan が Screamin' Jay Hawkins を Columbia 傘下の Okeh に連れてって Arnold Maxim に引き合わせたようです。
ただその Arnold Maxim は「 Grand でのI Put A Spell On You を聴いたけど、あれじゃマトモな Ballad だ。わたしは普通じゃないのが欲しいんだ。それにゃあどしたらいい?」と尋いてきたらしいんですね。誰も答えられないでいると、Maxim は「よしっ!みんながしがらみを忘れてハジケられるようにしよう!酒だ!喰いモノだ!パーティだっ!」
どーやらそんないきさつで録音は全員ヘベレケ( Screamin' Jay Hawkins にいたっては、曲中で聞こえる気色悪いバリトンは自分じゃない!と否定し続けたくらいに)でやった、と。

1956 年12月 9 日、Screamin' Jay Hawkins は、Brooklyn Paramount Theater で行われた Alan Freed による 1956 Christmas Rock n Roll Revue(他の出演者は Mac Curtis、 The Moonglows、 Shirley & Lee、 The Cadillacs、 Jessie Belvin、 Teddy Randazzo、そして George Hamilton IV など)において衝撃的な演出を開始します。ゴムで作ったヘビやスティッキの上にはドクロ、有名な Apollo Theatre の電気技師によって作製された発煙装置、そしてそのいでたちは黒いケープをまとい、炎に包まれた棺の中から登場する、というものでした。この棺は Alan Freed の演出だったようです。最初 Screamin' Jay Hawkins はそれをイヤがっていたらしいのですが、その演出に 2,000 ドル上積みする、という約束で同意したものです。
このような荒唐無稽なキャラはもはや彼と一体となったものとなり、逆に、それじゃないと客もナットクしなくなってゆくのでございます。 Los Angeles Times の Mike Boehm によれば「彼はショウを前にして、レコードを聴きながら呑んで Screamin' Jay Hawkins になって行く」だそうで、もはや(ま、曲の最初が最初なだけに)酒無しではやってらんない心理状態になっていたのかもしれません。
ところで、棺はそんな彼の演出に欠くべからざるものとなって行くのですが、それが有名になってゆくにつれ、the National Casket Co(つまり棺桶製造の会社です)はそのようなバチ当たりな用途に使われるのが判っていながら彼に棺を販売したり貸与(!)する末端の小売業者に、そのよーなコトをしないように、と警告を与えるほどになったのでした。
彼はシマウマ柄(!)の霊柩車で専用の棺を運ぶようになります。
その棺はロック部分に小さなマッチを挟んでカギが掛からないようにしてたらしいのですが、とあるアドヴァイスを信じたために閉じ込められ、窒息死しそうになったことがあるそうですよ。中で暴れたりして助けを求めたらしいのですが、観客はみんな演出のひとつだと思ってたようですね。ようやく脱出した彼はそんな目に会う原因となった奴等、つまり The Drifters に殴りかかり、次の 2 ステージは「無し」。彼らと再び口をきくようになるまで 7 年を要したそうです。

1957 年 2 月13日、New York での Okeh へのレコーディング・セッション。
[accompanists─The Leroy Kirkland Orchestra: Ernie Hayes: piano/ Jimmy Shirley: guitar/ Lloyd Trotman: bass/ David "Panama" Francis: drums/ Sam "The Man" Taylor: tenor sax/ Heywood Henry: baritone sax]

You Made Me Love You 」( OKeh 7084 ) CO-57391
Yellow Coat 」( Epic LP 3448 ) CO-57392
Hong Kong 」( Epic LP 3448 ) CO-57393
Darling, Please Forgive Me 」( OKeh 7084 ) CO-57394
3 曲目のHong Kong 、これはまさに怪作でございますね。
たぶん Screamin' Jay Hawkins が考える「こんなのが中国語だ」っちゅう、ま言ってみりゃあ、かってのタモリの 4 ヶ国麻雀みたいなもんですかね?え?それ知らん?
そっかあ、もーだいぶ経つしなあ。よーするにタモリが中国人やら韓国人になりすまし、でもデタラメな中国語もどきとハングルもどきを連発する、ってえ「芸」なんですが、この「ホンコン」、そこら Screamin' Jay Hawkins ですからねえ、も少し(少しじゃねえだろ!というツッコミもおありでしょうが)いーかげんでございまして、逆に、誰が聴いても、「あ、これはジョーダンなんだな?」って判るよーに仕上げてある、と言うのはうがち過ぎでございましょうか?

1957 年 5 月 6 日、New York での Okeh へのレコーディング・セッション。
[accompanists─Earnie Hayes: piano/ Kenny Burrell, Everett Barksdale & Danny Perri: guitar/ Lloyd Trotman: bass/ David "Panama" Francis: drums/ unknown: sax]

Frenzy 」( OKeh 7087 ) CO-57919
Person To Person 」( OKeh 7087 ) CO-57920
Screamin' Jay Hawkins は Alan Freed の映画『Mister Rock and Roll 』に出演しますが、彼はほぼハダカに近い格好で、顔には白い靴クリーム、というもので、やはりカットされてしまったようです(観てないので保証の限りじゃありません)。
彼が Washington Post に語ったところによれば「鼻に骨を通し、白い靴クリームでフェイス・ペインティング、腰布ひとつってゆーその格好は黒人を不当に扱っている、として上映には不適当、とされちまったのさ。おまけに NAACP( National Association for the Advancement of Colored People─全米黒人振興協会)と CORE( Congress of Racial Equality─人種平等会議)にも気に入られなかった。黒人を笑いものにしてる、ってね」
どーも彼くらい「おちゃらけて」ると、同じ黒人からも反感を買うのかなあ。

うひ〜、まだ 1957 年の前半だよ!先が思いやられる・・・

いつもならセッションの次の日の日記にはそのリポート、ってえのがパターンなのですが、昨日のセッションは都合がつかないひとが多かったのか、セッションつーよりは「エクササイズ」に近いもんだったんで、昨夜、帰ってからちょちょっ、と仕上げて、昨日の日記のケツに足しておしまいにしちゃったよ。
てなワケで Screamin' Jay Hawkins はノン・ストップで続くのだ!トーキョー行く週末までには終らせたいなあ・・・ところできむきむはブジじゃろか?
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