The Days of
Screamin'
Jay
Hawkins


Strange Steps.7



2003-11-12 WED.
さて、Screamin' Jay Hawkins の英国ツアーをセッティングし、いわばビジネス・パートナーでもあった Don Arden だったのですが・・・

1965 年 6 月 4 日、それは突然の「訣別」でした。ここで一体なにが起きたのかは判りません。ともかく激昂した Screamin' Jay Hawkins はその日のうちに帰ってしまったのです。
その後、彼の自宅と Flamingo Club の Donnie Elbert との間で紆余曲折を経た電話での交渉の末、ようやく彼が残して来た荷物─お馴染み、骸骨のヘンリー、ケープ二枚、ゼブラ縞の靴、貴重な彼のレコード・コレクション(彼自身の最初のアルバム『At Home With Screamin' Jay Hawkins 』を含む)、小銭の詰まった壷(?)、さらにスーツ・ケースにギッシリ入ったマグネシウムの粉末(危ないなあ・・・)に発火装置─を取り戻すことが出来たのでした。

このようなカタチで英国を去った Screamin' Jay Hawkins は、とーぜんまた New York に帰り、Little Joe Cook と Titus Turner( R&B シンガー。1933-1984、Atlanta 生まれ。1951年 Okeh からデビュー。のち Mercury に移りチャート・インし始める。リトル・ミルトンがGrits Aint Groceries としてカヴァーしたAll Around the World を Little Willie John と出す。唱法は Lloyd Price の影響を受けている、と言われる。RCA が彼の「Tell Me Why 」の Elvis によるヴァージョンを発売したことにより上向きだしていた)と暮らし始めたようです。

1965 年 9 月、New York で EMI Records のためにレコーディング。バックは Walter Young Orchestra。
Poor Folks 」( Providence 411 ) SKAM-3326
Your Kind Of Love 」( Providence 411 ) SKAM-3327
この二曲は本来、例の「憂鬱な」I Put A Spell On You をこの年の始めにトップ 30 にまで昇らせたあの Nina Simone のために、と作られた曲だったのですが、彼女が「辞退」(あるいは「拒否」だったかも?)したために、彼自身が吹き込んだものです。
ところで、彼と妻の Ginny は、Lady Iris Mountbatten の婚儀に招かれ、Greenwich の The Goldbug で演奏をしているようです。

1965 年(日付不明) Laurie Records に録音。バッキングは不明です。
I Put A Spell On You 」( Laurie )
Alligator Wine 」( Laurie )
Angel Of Hell 」( Laurie )
このときの録音についての資料は、ちょっと見当たりませんでした。リリースされたのかどうかも不明です。

1966 年には一度ハワイを訪れているようですが、その日付は判りません。

1966 年 3 月30日、London Airport 到着、4 月1 日から、ほぼ一ヶ月に及ぶ二度目の英国ツアーを開始します。(ただし異説では 4 月1 日にロンドンに到着し、その夜から公演があった、としてますが、ちょっと信じ難いよね)
今回は Roy Tempest の Global Promotions によるパッケージで、バックには Herbie Goins and the Nighttimers─イギリスのロック・バンド。1964-1966。アメリカ生まれの黒人で、米軍属として英国に駐留し退役後そのまま英国に住んだ Herbie Goins は1964年に Alexis Korners Blues Incorporated のアルバム『Red Hot From Alex 』の何曲かでヴォーカリストとして参加。1964年の末あたりに Night-Timers を結成、以後18ヶ月間活動しています。メンバーは彼の他に Mick Eve の saxophone、Mike Carr の organ & vibes、Harry Beckett の trumpet、 David Price の bass guitar、Bill Stephens の drums。1966年 7 月の二枚目のシングル「Number One In Your Heart 」( Parlophone R 5478。カップリングはCruisin 、収録アルバムは Parlophone PMC 7026 )がヒット。─がつき、 Brixton の the Ram Jam で幕開けとなりました。
ロンドンでの日程は 4 月22日の、お馴染み Flamingo Club で完了しています。

1966 年 5 月 3 日、Holton Records のための New York 録音。このときのバックは不明です。
Slumtown 」( Holton )
この録音も、その後リリースされたのかどうか、またほんとうにこの一曲だけだったのか不明です。この後 Screamin' Jay Hawkins は Decca Records と契約。

1966 年 7 月 8 日、New York でその Decca Records のためのセッション。
[accompanists─William Butler: guitar/ Albert Lucas: bass/ David Panama Francis: drums/ Ernest Hayes: piano/ Zane Paul Zacharoff&Arthur Clarke: tenor sax/ Hayward Henry: baritone sax/ Edward Barefield: alto sax/ Joseph Newman&Reunald Jones: trumpet/ Wilbur Bascomb&Richard Harris: trombone/ Leroy Kirkland: leader of chorus/ Dick Jacobs: produce,July 8,1966(17:00-20:00),Associated Recording Studio, New York]
Im Not Made Of Clay 」( Decca 32019 / CD: Bear Family CD15530 ) 117676( 009)
Im Not Made Of Clay 」( Decca unissued / CD: Bear Family CD15530 ) 117676( 009A)
All Night 」( Decca 32019 / CD: Bear Family CD15530 ) 117677( 010)
All Night 」( Decca unissued / CD: Bear Family CD15530 ) 117677( 010A)
Mountain Jive 」( Decca unissued / CD: Bear Family CD15530 ) 117678( 011)
Mountain Jive 」( Decca unissued / CD: Bear Family CD15530 ) 117678( 011A)
Ill Be There 」( Decca unissued / CD: Bear Family CD15530 ) 117679( 012)
Ill Be There 」( Decca unissued / CD: Bear Family CD15530 ) 117679( 012A)
さて、上のレコーディング・ナンバーの末尾のサブ・ナンバーで判る通り、それぞれに Alternate Take があるように「見え」ます。しかし、これは Bear Family Records BCD 15530、『SPELLBOUND 1955-1974 』に付属している英文ライナーの記載「では」なのでございます。フザけたことに、カンジンの CD の方には一曲づつしか収録されておりません。そればかりか同年12月29日に録音されたI Put A Spell On You Two Can Play This Game Shattered Youre An Exception To The Rule の 4 曲こそ、そのようなサブ・ナンバーが必要な別テイク(というよりは、コーラスの有無などオーヴァー・ダブの違いによる「リミックス」的ヴァージョンか?)が存在し、2 タイプが収録されているのでございます。
ま、それはさておき、Mountain Jive という曲はLittle Demon の「書き直し版」とみなされております。
また [accompanists]の欄の最後あたりにレコーディング「時刻」までが記載されとりますでしょう?どーやら、このレコーディング・スタジオは、そのヘンのデータ管理が実にキッチリしておるようでございますね。

1966 年12月29日にも続いて Decca のために New York 録音が行われています。
[accompanists─William Butler& Eric Gale: guitar/ Jouis Mauro: bass/ Bernard Purdie: drums/ Warren Smith: perc.(conga)/ Ernest Hayes: piano/ Joseph Grmaldi: tenor sax/ Buddy Lucas: baritone sax/ Ernest Royal& Joseph Wilder: trumpet/ Benjamin Gordon Powell: trombone/ Norbert De Coteaux: leader of chorus/ Dick Jacobs: produce/ DEC.29,1966(19:00-22:00),Associated Recording Studio]
I Put A Spell On You 」( Decca 32100 / CD: Bear Family CD15530 ) 118364-?
I Put A Spell On You 」( Bear Family CD 15530 ) 118364-? [stereo mix without chorus]
Two Can Play This Game 」( Bear Family CD 15530 ) 119365-2
Two Can Play This Game 」( Bear Family CD 15530 ) 119365-2 [stereo mix without chorus]
Shattered 」( Bear Family CD 15530 ) 119366-2
Shattered 」( Bear Family CD 15530 ) 119366-2 [stereo mix without chorus]
Youre An Exception To The Rule 」( Decca 32100 / CD: Bear Family CD15530 ) 119367 (Bob Stone)
Youre An Exception To The Rule 」( Bear Family CD 15530 ) 119367 [stereo mix without chorus]
この最後のYoure An Exception To The Rule だけは Bob Stone の作品です。
またここでのI Put A Spell On You は、かなりチョーシいいヴァージョンで、かなり軽めの仕上がりとなっております。いづれも「別テイク」というより、オリジナル・マスターにコーラスを乗せる・乗せない、ステレオとモノラルの違いですから、いまで言うリミックスですね。

1967 年、お馴染みのアメリカの「ポップス・グループ(いいねえ!Bill Millar さん、ポップス・グループと言い切るとこがいさぎいいや)」 Creedence Clearwater Revival が「I Put A Spell On You 」をカヴァー。後にそっから独立する John Fogerty もレパートリィにしてゆきます。
1968 年には、The Crazy World Of Arthur Brown がそのデビュー・アルバムで「I Put A Spell On You 」をカヴァー。
1969 年には(たしか 1 月だと思う)イギリスの「ポップス・グループ(こっちはワシが決めつけたんじゃ)」ビートルズが「ゲット・バック」 のメドレーの中で Screamin' Jay Hawkins の「Little Demon 」を登場させてるらしい。

さて、Screamin' Jay Hawkins 夫妻は1960年代後半、ちょくちょくハワイを訪れていたようで、その影響(?)で吹き込んだのでは?と思われるトラックを残しています。それが1969 年 4 月に契約した Philips に Los Angeles で吹き込んだ 2 曲で、
Makaha Waves 」( Philips 40636 / CD: Bear Family CD15530 ) 2-45273
Theres Too Many Teardrops 」( Philips 40636 / CD: Bear Family CD15530 ) 2-45274
で、Makaha Waves は Joseph Ryan( Screamin' Jay Hawkins のハワイでの弁護士または代理人、と Bill Millar は書いていますが詳しいことは判りませんでした。アクターで John Joseph Patrick Ryan ってのがハワイがらみで出てくるんですが・・・)の作でモロ「ハワイアン」ですが、後者はハワイアンというより C&W で、California Symphony Orchestra(詳しくは http://www.acso.org/ )のペダル・スティール・ギター奏者が参加したそうですが、その名前は判りませんでした。ま、シンフォニー・オーケストラにペダル・スティール奏者?っつーツッコミはおいといて、と。(つづく)

いよいよ大河ドラマみたくなってきちまった!もー、こーなりゃヤケざんす。とことんやってやろーじゃねえか!

本日、江戸川スリムさんが寿家においでになった!こすりむちゃんも味を気に入っていただけたようで、なんだかとっても嬉しいざます。江戸川スリムさんは、Chicago Blues の公文書館みたいなサイトを運営しておられ、ワタクシの気ままなブルース日記でシカゴ系のアーティストを採り上げる時は前以ってチェックしとかにゃならん重要なポイントなのでございます。いやあ、ワタシもお会いしたかった!土曜日もおいでにならないかなあ?
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