Mojo Hand

Lightnin' Hopkins



2003-12-06 SAT.
Mojo Hand と来たら、そりゃもうみなさま1960年に New York City で録音されたオリジナルを思い浮かべることでございましょう。
でも、今日のブルースで採り上げるのはそれじゃなく、Yazoo 502( VHS & DVD、日本ではvap VIDEO から供給されてたハズ)『the Masters of the Country Blues Mance Lipscomb & Lightnin Hopkins 』に収録された、The Seattle Folklore society のために撮影されたフィルム( Kinescope )からヴィデオ化されたもので、とーぜんカラーではございません(画面全体がセピアに調色?あるいは褪色しちゃってますけどね)。

と言っても、かって両国フォークロア・センターから借りて上映し、当時の The Juke Joint Society のメンバーをノック・アウトした 16mm フィルムは、これとはまた別テイク(?)で、そちらは the University of Washington の民俗音楽学を専攻する学生のために演奏したものです。

ところで、この The Seattle Folklore society のために撮影されたフィルム、正確な日付が判っておりません。おそらく1960 年代の後半であろう、てなもんですが、なんで判らんのかねー?ずいぶんズボラな Society だこと。
ま、そりゃともかく、Mojo Hand はそのイントロのブーギを刻んだだけで、こちらの脈拍が速くなります。
Guitar Magazine によると Gibson J-50 に DeArmond の Soundhole pickup を装着し( 2 弦に相当するポール・ピースだけハッキリ見えないけど)ているようですが、音を聴く限り(かつ画面で見る限り、どっからもシールドが出てないし)、このフィルムではアンプは使用せず、ナマ音をヴォーカルともどもマイク一発で録ってるんじゃないでしょか?

以前にも書いたことありますが、まずビックリすんのが彼の左手の爪の長さでしょ。
ワタシも、周囲のギタリストたちも、そりゃもう神経質なくらい、左手の爪はツネに短くしとくもんじゃ、と思ってますが、まあ、どーでしょ、Sam Hopkins 氏の爪ときたら・・・
アンビリヴァボーとはこのことです。なにゆえ、あんな爪でへーきで弾けるのか、画面で注視してみますってえと、ふむ、ハナから弦を「おさえる」っちゅう概念自体が「ちゃう」!
指の短い日本人は(ってタンラクテキに言っちゃいましたが、非黒人は、ってのが正しいのかな?)指先のかなり爪に近い部分で弦をおさえてるハズです。ご自分でもギターをお弾きになる方でしたらちょっと指先の堅さをチェックしてみてくださいませ。いっつも弦をおさえてるとこが「明らかに」堅くなっておるハズでございます。それがかなり爪に近い、ってのはナットクしていただけましたでしょうか?
ここでまたヴィデオの Lightnin Hopkins 氏の指先をご覧ください。すると、どう見ても指の腹を使っておさえておるよーに見えませんか?いやいや、まずマチガイ無く爪の真裏あたりでございましょう。つまり指先なんぞ使っとらんのよ。
ううむ、ライトニンおそるべし。

E からの「軽々と」カットしていくブーギの低音弦は右手親指に取り付けた白いサム・ピックが受け持ち、大雑把なストロークはどうやら伸ばした人差し指が担当しているように見えますが、一緒に添えられた他の指もカンケーしてない、とは言い切れませんね。
ところどころで入る 1 弦のオブリなどは同じく人差し指によるアップで弾かれています。
ところが、Mojo Hand でもっとも有名な(?) 1 弦12フレットからのトリルとプリング・オフの「あの」フレーズでは、人差し指ではなく、サム・ピックをつけた親指が担当しておったんですねえ。もひとつのフィルムはどーだっだっけ?うう、あまりに前のこととて思い出せない・・・ おぼろげな記憶では、親指以外の指 4 本(か、うちのどれか一本?)でアップ方向に書き上げてたよな気がするけど「なんか賭けてもいいほど」の自信はないですね。

Sam "Lightnin" Hopkins は他にもやや小ぶりな Harmony のフラット・トップと、時には Fender Stratocaster も使用していましたが、なんと言ってもズッコケ・・・うっぷす、感服させられるのはピアノ・ソロでしょうねえ。ま、それは本題から離れるので、またいつか機会を改めまして。
ところで、彼のブルースは時として12小節より長くなったりすることがちょいちょいあって、それも特に最初のトニック部分など、お約束(?)の 4 小節が過ぎてもサブ・ドミナントに上がらない場合が多く、バックを務めるベーシストあたりが、「ここで A じゃないですか?」なんて尋くと、「バカモン、ワシゃ変えたくなったら変えるんじゃ!」と一喝したって話は有名でございます。
とは言ってもそこは Gatemouth じゃないんですから「激怒」ってほどじゃないよーだけど。
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