Give Me Back My Wig

Magic Slim


2003-12-27 SAT.
もしかして有るかも?と思って BLUESN のコレクションから Magic Slim をチェックしてみたんですが、おまへんどした。
え?ナニが、って?例の Cummins Prison Farm でんがな。
その替わり、「あの」方でお馴染みの Give Me Back My Wig を発見した、というワケでございます。アルバムは Grand Slam その B サイド(つまりアナログ・ディスクなのじゃ)。

彼のギターは珍しいコトに、Fender の Jazzmaster の最後期モデル、つまりワタクシの嫌いなサイド・バインディングのネックに、ブロック・インレイのポジション・マークっつうダサいモデルね(あ、これはワタクシの「勝手な主観」でございますよ、もちろん)。
そいつでもってケッコー「いい」ブーギのリズムを切ります(たぶん?ね。バンドにはもひとりギターがいて、Guild の「 SG 」シェイプのギター使ってるんですが、そっちはちょっとサチった音で引っ込んだとこで聞こえてるほーだと思うんですよ)。
Jazzmaster でも(ハムバッキングとはさすがにちょっと感じは違いますけどね)ケッコー飽和感のある、ややヘヴィーな音も出るんですねえ。とは言え、それはあくまでも「やや」ヘヴィーであって、ズシン!と来るレスポールみたいな「腰の据わった」線の太さとは一線を画するものなのではございますが。

でもってその Jazzmaster で弾むようなリズムを切る Magic Slim、リードをとるとイマイチ(?)ながら、サイドとしてはケッコーいけてます。我が敬愛するリズム・マスター Eddie Taylor 師の「タイトさ」は期待できませんが、その替わり、独特なホップ感覚で、これはこれでシカゴの「ルースなほうの」良き代表かもしれませんなあ。
他の曲( Rough Dried Woman とかね)でも、そのドライヴ感は充分に活かされておりまして、そのリズムが快いのですが、やはり、この曲でございます。
リズムを聴いただけでソク、あっ!High Heel Sneaker か?ってえイントロにチュワ〜ン(?)と入って来るインチキくさい(!)擬スライド音が入ったとたん、ちゃう!これは Give Me Back My Wig だっ!と(ハウンド・ドッグ・フリークなら)スグ判るってヤツですね。

ほとんどハウンドドッグのパクリのスライドチック(?英語としてマチガイです)な音を時々聴かせてくれますが、歌はなかなかゲンキがあってよろしい。
ギターはオリジナリティーがいまいちながら、良くマネが出来ております。もちろん後継者となれる程のレヴェルじゃあございませんが、ま、先人の偉業をいささかなりとも後世に伝える「ギターの語り部(なんじゃそりゃあ?)」としてなら、まあ見逃してやろう、ってえ程度にはハウンド・ドッグへの「愛」が感じられはするのですが。

Magic Slim こと、Morris Holt は 1937 年 8 月 7 日に、Mississippi 州 Grenada( alt. Mississippi 州 Torrence )で生まれたとされています。
最初、彼はピアノを弾いておったそうなのですが、農作業中の事故で手の指一本を失い(おそらく右手の。alt. 綿繰り機で作業中、小指を失った)それでピアノを断念してギターに転向したもののようです。1955 年にシカゴに出た彼にイロイロと教えてくれたのは Magic Sam で、そこで Magic Slim という名前をもらい、さらにベースとして一緒に演奏しています。
しかし、そこから順調に来たワケではなく、一度ザセツして(?)ミシシッピーに戻ってるんですよね。どうやら薪を作って売ってたらしいんですが、1960 年代の初めにはまたシカゴに出て来て、今度はブルースマンとして身を立てるぞっ!と決意したもののようでございます。
そこで彼は Robert Perkins のバンド、Mr.Pitiful & the Teardrops にリード・ギターとして入り、そして Robert Perkins が去った後、そのバンドを彼が率いることとなりました。
1965 年には兄弟の Nick Holt と Lee Baby を新しいリズム・セクションとして採用しています。
そして 1966 年には初シングルをリリースし、ハウンド・ドッグの「シマ」でもあった Florences Lounge にも出演するようになりました。

1978 年には、Alligator の『Living Chicago Blues Vol. 2 』に登場しており、これがキッカケになって、ヨーロッパのレーヴェルなどに録音の機会を得ることが出来たようです。
その時フランスの Isabel labelに吹き込まれたものが 1982 年に Alligator から Raw Magic としてリリースされました。
その 1982 年に Rooster Blues(ってのがレーベルの名前です)に吹き込まれたのが、今日の Grand Slam なのでございますよ。
で、このアルバムはミゴト W.C. Handy Blues Award を獲得したのでございました。

それ以来、彼は録音の機会には恵まれており、Blind Pig や Evidence、そして Wolf などに作品を残しています。
2001 年には日本にも来ておりましたねえ。
なお、http://emol.org/music/artists/magicslim/ に彼のインタビューがアップされてるよーです(ごめん、ヒマなくて内容をまだチェックしてません。もち、英文ざんす)。
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