Mystery ?

L.P.Custom??


2003-12-29 MON.
ダディ正井からまわって来た、例の「ぐるぐる」 Video ですが、Earl Hooker の使ってる(さらに、それを借りて Magic Sam が「超高速(?) Boogie 」を披露してる)ギターのとこで「?」発生!なんじゃこのギター?たしかに一見 Gibson Les Paul Custom でございます。がっ!細部を見れば見るほどにアヤしいざます。

さて、Les Paul Custom とは?ってことになると、まカンタンに言っちゃうと 335 に対する 355 みたいなもんですかね?
ボディ・サイドには(トップ、バックとも)マルチ・プライのブっ太いバインディング(いわゆる「セル巻き」でんな)がつき、ネックの指板の両側にもシングル・プライながらも、明らかに Standard のものよりは「こ〜ってり」とバインディングが施され、ポジション・マークもクラウン(あるいはディッシュ)インレイじゃなく、中 4 弦とほぼ同じ幅でフレット間近まで迫る四角いものになります。
しかもヘッドには菱型をスプリットした特徴ある大きな象嵌が施されとるのが特徴。

がっ、件のギターにゃあ、ワケ判らん「花」形?の模様が入っておりますねえ。
ま、それだけじゃあ、上からステッカーを貼っちゃったのかもしんないので「言い逃れ」はできます

1954年に初登場した Les Paul Custom は(ここダイジなとこでっせ!) P-90 を前後にマウントし、ブラック・バレル・ノブ(つまり透明なプラスティックの中に黒いストラトのツマミがモールドされてるよなツマミ)を採用し、ヘッド・マシーンはツマミがアイヴォリー・カラーのクルーソン・デラックス、シングル・リング・キーストーンでございます。ヘッド角度は 17度。
もはやこの時点で、P-90 じゃないんですから、この第一期 Custom では「ありえない」ことが明白ですよね?

ほな、ハムバッキングになった第二期 Custom はどーか?ってえと、1957 年の途中から PU-490 × 3 ってえモデルに移行いたします。え?× 3?
さよう。この時期の Custom は「ごく一部の例外を除き」すべて 3 ピック・アップなのよね。
ま、ムリヤリ、その数少ないほうの 2 ピック・アップのだ!と言えないことは無いかもしれませんが、どーだか?
ま、この時期の Custom はペグがクルーソンからグローヴァー( Grover )の 102G に変更されて、ツマミがクロームの丸っこいのに変わってますから、それは「合ってる」んですがね。
でも、Earl Hooker ギターはノブがゴールド・ソーサーになっておりますねえ(ま、Standard のに交換した、っつーカノーセーもあることはありますが)。

続く第三期の 1961 年からの Custom、これだけは、どんなことがあっても除外できます。ありえません!
だってこの時期の Custom はボディ・デザインがゼンゼンちゃう「 SG 」シェイプなんだもの。
これまたみなさまお馴染みの Buddy Guy が抱えてた、あの白い 3 ピック・アップにサイド・プル・スタイルのトレモロ・アーム付きのヤツ(アームはプロト・タイプだったよーですが)がそーでげす。

その SG シェイプから本来のレス・ポール形に戻るのが 1968 年でございます。 でも、オリジナルの 1954 Custom は 1 ピース・マホガニーのボディだったのが、2 ピースのメイプル・トップに 1 ピースのマホガニー・バックという構造になっていました。つまり、当時の Les Paul Standard と同じ構造にしちゃったワケで、ま、経費削減にはなりますわな。
ですから Standard が 1969 年にトップを 3 ピース・メイプルにすると、当然 Custom もそれになります。
そしてペグは再びクルーソンになるのですが、シングルではなくダブル・リング・キーストーン、つまりクロームではなく、またアイヴォリーの角ばったツマミになってます。ヘッド角度はさらに浅くなった 14 度に。他にネックで重要なのは「フレットレス・ワンダー」の異名をとった(つけた?)細〜いフレットが採用されたってこと。Earl Hooker ギターは「それ」になってませんから(それにペグもちゃうしね)ペケ!

・・・と、まず細かいとっからワザと「ほじくり」始めましたが、実はそんな交換可能「かもしれない」枝葉末節じゃないとこにアヤしいとこがあるんですわ、これが。
まず、アヤしい「その 1 」、セレクター・スイッチはカッタ・ウェイされてない方のショルダーについてますが、その丸みっつーか、ボディを両側から絞ったとこに向かうカーブがやや Gretch っぽいんですよ。しかも、下の、カッタウェイされた方のいわゆるホーンも、バインディングされて残ったトップのブラック・フィニッシュ部分がホンモノに比べると「ファット」です。

次に「その 2 」、ポジション・マークでございますが、一応でっかいスクエア・インレィが 1 フレットから始まってはおります。でもねえ、本来ならば 1-3-5-7-9-12-15-17-19-21 の各フレットに無ければいけないのに、19&21 フレットには「無い」じゃないの!おまけに「決定打」はネック・エンドなのです。

「その 3 」、Gibson Les Paul Custom は(って、斜めにカットされてる Les Paul Recording 以外は Junior も TV も Standard も全部そーなんだけどね)ネックのボディ側が「完全に」フレットと平行な直線で「裁ち落とされ」ていなければなりません。
しかるに、この映像ではネック・エンドが角を丸めた処理となっておるじゃあないの?これはもー決定的でございますよ!

ケツロン、これ Gibson じゃない!

なんて、ギターひとつでさんざん遊びましたが、それとゆーのも、これらの映像のカメラ・ワークがミゴトにツボを外しまくっているおかげなのですじゃ。
ギターのヘッド・マークが不鮮明にしか見えない(なんどもコマ送り&スロー再生でチェックしてもダメ。それでも字数が Gibson より少ないよに見えます。Greco だったりしてね)し、せっかくナイフ・スライドやってるらしーのに右手のほーしか写してねえし、ヒューバート・サムリンは確かにヴォーカルだからメインなんだけど、だからってサイド切ってるだけのサムリンにカメラ据えちゃって、その後ろでソロ弾いてる Eddie Taylor をいっこも写さないんだもんなあ。

ま、これは現代の TV のカメラ・ワークも一緒で、特に某国営放送局のカメラ・ワークは最悪です。
リードをとってるギターを抜かないのはとーぜんとして、ギターとベースを間違えたり、キーボードがソロとっても気付かないからヴォーカリストを漫然と写してたり、もー判ってるフリなんかしないで、必ず楽器が弾けるアドヴァイザーを横につけとけってえの。
おやじバトルとか、そーゆーアマチュア系だとよけーヒドいんだよね。
相手がプロだと、それでも一応、打ち合わせとかして(それでもドジ踏むんだよな)るんだろーけど、アマだと「軽く」見てるのか、ダレがソロとってよーが「お構いなし」なんて場面も見せられますねえ。

やはり、「その楽器の」ツボを判ってるカメラマンじゃないとダメねん。
知識があれば狙いどこ判るでしょ?あ、こいつ、ウィルキンソン使ってる!じゃペグ、なんだろ?フム、やっぱりね、シュパーゼルじゃん。そこも撮っとこ・・・
なんてえカメラマンいるワケ無いか?
まず欲しい絵はアンプだよね。できればメーカーだけじゃなくモデル名も判るよなショット!
エフェクターがある時はそれもアップで抜いとかないと。ギターだと必ずヘッドのマークや、ノン・スタンダードなとこ(かなりな知識が無いとダメだけどね)をピック・アップしてもらいたいよね。
弾いてる時はサイドのときのセレクターの位置と右手(フィンガー or ピック)、ソロに入ったらセレクター写してから左手の運指、右手もさっきと変わってたら写す、と。

う〜ん、こーやって考えてみると、ギタリストを撮るには同じくらい(あるいはそれ以上に)ギターが弾けるよなカメラマンが必要だっつーことやね?
なんかムジュンしてるよなー。
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