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the Elk's Rendezvous Band


2004-01-25 SUN.
例によって脱線つづきで、「とりあえず」の支線である Clarence Williams からさまよい出ちゃいそになりましたが、Okeh のレコーディングに関わった、ってえとこまででしたね?しかし、彼のそういった黒人のミュージシャンのコーディネイター手腕は他のレコード会社からも注目されるワケでして、当然、Columbia などのレーベルにも関与していくこととになります。
彼がまとめた(?)レコーディング・セッションには Louis Armstrong、Sidney Bechet、Bessie Smith などのビッグ・ネームもふくまれておりますが、1943 年に彼が所有していた一切の楽曲の版権を Decca Records に売り、そのカネで「いい物件」を買い、音楽の世界からは身を引いて「お店」をひらいたようです。え?なんのお店か、って?すいません、そこまでは調べてません。おヒマな方、どーぞ。

さて、Louis Jordan に話を戻しましょ。Philadelphia の後で、1936 年に彼は New York に「戻って」きました。
そして今度は the Kaiser Marshall band(異説; Kaiser Marshall と Joe Marshall のバンド)に加わり、the Apollo Theater、the Ubangi Club、the Harlem Opera House、それに the Elks Rendezvous などに出演し、シンガーとして、M.C. として、さらにバッキングで活躍していた、と言われます。そして Chick Webb の招きに応じて彼のバンドに参加したのが 1936 年で、そこで Jordan and Fitzgerald はこのバンドの重要なプログラムとなっています。
もうここまでのことを考えてみても、生まれてすぐ耳にしたであろう the Brinkley Brass Band、さらに父を経て身についたのではないか、と思われる(一部の資料では、実際にこの中で演奏した、としている) The Rabbit Foot Minstrels、そして the Silas Green Ministral、さらに Jimmy Pryor's Imperial Serenaders、これらと巡ったツアーでは Ma Rainey とも一緒になった、ともいわれています。彼は、これらのヴォードヴィル系のテント・ショーで、もっともベーシックな「エンターテインメント」の基本を学んだのではないでしょうか?

すでにこの頃のミンストレルにはもはや顔を墨塗りにした白人はもういなかったかもしれませんが、音楽だけじゃない、他の出し物のバックグラウンドにはまだ旧来のアイリッシュ系やスコティッシュ系の音楽的バック・ボーンを持った楽曲が「定番の」伴奏曲として残っていた可能性は充分にあるのではないでしょか?(ま、とは言っても、それはあくまでワタクシの推測でしかないので、ショーコはございません)
おそらくそこでは雑芸からスゴ腕のミュージシャンまで、あらゆるレヴェルのパフォーマーたちが交錯し、彼の音楽の「引き出し」にいろんなものを詰め込んでくれたことでしょう。
そこにはブルースはもちろん、ジャズの要素、さらに、ありとあらゆるポップスの影響があったものと思われます。そのようにして、特定のジャンルに押し込めることの難しい、彼の豊かな才能が育まれていったのではないか?と考えています。

さらに Chick Webb に the Charlie Gaines Orchestra、Louis Armstrong、Kaiser Marshall に Clarence Williams ・・・この滅多にない「メルティング・ポット」に投げ込まれた稀有な材料たちが反応し、融合して生み出されてゆく Louis Jordan ならではの音楽。
しかし 1938 年から健康を害していた Chick Webb は 1939 年の 6 月16日に死亡しました。僅か 30 年の短い生涯でしたが、彼と関わったことによって Louis Jordan が得たものは「とても」大きかったのではないでしょうか?
その死の直前 1938 年に Louis Jordan は Chick Webb のバンドから独立して、彼自身の 9 人編成のバンド、the Elk's Rendezvous Band を結成し the Harlem club に出演しました。
さらに「 Honey in the Bee Ball 」を Decca Records に録音もしておりますが、その前の Chick Webb 時代にも Gee, But You're Swell ( Decca 1115 )、It's Swell of You ( Decca 1213 )、Rusty Hinge ( Decca 1273 )と、ヴォーカルでのトラックを残しています。
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