She's My Kinda Girl

Shy Guy Douglas


04-02-17 TUE.
さあ、久しぶりに Excello だぞう!なんて別にリキむこともないんですが、ここんとこ戦前ものの比率が「異常に」上昇しておりましたので、こうゆうフル・エレクトリック(?)なバンド・サウンドもまたええですなあ。
それも Excello っちゅう独特な(レゾナンス感のある)トーン・キャラクターのある音って、なんかノスタルジックですね。
今日の Shy Guy Douglas はん、期待に違わず、悠々たる歌いっぷりで(ま、ちとジャズィと言えないこともないのでございますが)「シャキッ」じゃなく「ポケッ」(なんちゅうたとえじゃ)とした仕上がりで「いい味」出してます。
バックのギターは T-Bone っぽいフレーズも随所に散らしておるのですが、やっぱ「おっしゃれ〜!」ってよりは「トッポい」感じでカッコ良くなり過ぎるのを防いで(?)おるよな気がいたします。他には Skippy Brooks のピアノもクレジットされてはいるのですが、しょーじきあまりよく聞こえません。ギター、ベース、ドラムの三人は氏名不詳!1953年、Nashville での録音です。

この Thomas "Shy Guy" Douglas は 1917年の11月 8日、Tennessee 州の Franklin に生まれていますが、その後の生い立ちなどをシメす資料に辿りつくことができませんでした。そのかわり、ディスコグラフィーはかなり判明しており
Work With Her Boy ( Sun 638 )
Detroit Arrow ( Sun 639 )
Hip Shakin' Mama ( Sun 640 )
の、いずれも 1953年 6月 1日の Sun へのレコーディングも知られていますが、おそらく彼の初吹き込みは Delta というレーベルでの
Raid On Cedar Street / I Should Have Known( Delta 213 )
1950年。名義は Tom "Shy Guy" Douglas ⋯ではないかと思われます、ただし、これはパーマネント・レコーディングではなく、今でいう「プリクラ」みたいな、セルフ・サーヴィスで 1枚だけ「切って」くれる盤じゃないか?という説もあります。
その説を信じるとすると、初の本格レコーディングは同じく 1950年になされた MGM 10769 のまったく同じ組みあわせの 2曲、ということになりそうですが、一方では Delta から MGM が「買ったのではないか?」という見方もあります。どちらも聴いたことがないので、どちらが正しいのか、が判断できないんですよ。
そして前述の Sunでのレコーディングを経て 1954年に Nashville で Excello のために入れたのが
Detroit Arrow / New Memphis Blues ( Excello 2008、Detroit Arrow は前述の Sun 639 と同じ曲だと思うのですが、再録かどうかは不明)
I'm Your Country Man / Wasted Time ( Excello 2024 )
そして今日の
She's My Kinda Girl / No Place Like Home ( Excello 2032 )
というワケです。
Excello にはこの後
Long Gone / No Point In Crying ( Excello 2279 ) 1962
を吹き込んでいるのですが、それがリリースされたのは 1966年になってからでした。
その 3枚目と 4枚目の間に、Shy Guy Douglas 名義で 1954年に
Yankee Doodle / Harvest Moon ( Bring Her Back To Me ) ( Chane 517 )
Little Shy Guy Douglas & The Hot Rods(マジか?)名義で 1956年に
Let's Rock And Roll / My Little Baby ( Calvert 107 )
ただしリリースは 1959年
ふたたび Shy Guy Douglas 名義で 1963年に
Let's Rock And Roll / My Little Baby ( Todd? )
を録音しています(っちゅう資料もあったのですが、裏付ける別な資料は皆無⋯)。
Calvert 107 は Champion のカタログにも載っていますからリース、あるいは原盤著作権を売却したのかもしれません。

ところで、Nashville でレコード製作に携わってきた W.C."Red" Wortham ってひとが 1940年代の終りころに Bullet Records で働いておったそうなのですが、彼は Nashville における戦後初くらいの「インディー・レーベル」を立ち上げていたようでして、そこそこ成功もしたらしいのですが、1949年には会社の規模を大きくした割りにはタマ不足、の状態となり、そこで Delta レーベルを買収しています。そこには当然 Shy Guy Douglas の原盤も含まれていた、っちゅうワケですねん。
そして W.C."Red" Wortham は、 Bullet / Sur-Speed と Delta Records というマイナー・レーベルの集合体のような企業を作り上げました。その一部門 Bullet / Sur-Speed Records のカタログには、Shy Guy Douglas を録ったテイクがどっちゃりあります。
Yankee Doodle / Harvest Moon( Chane 517 )
Monkee Doin' Woman / What's This I Hear( Todd 1092 )1963
Midnight Soul( take 1〜 4 )/ Shy( take 1、2 & Disc Dub )
リリースは Bullet 586 として 1969年
Don't Leave Me Girl / Stone Doin' Alright-take 1 & 2( Bullet 587 ) も 1969年にリリース
Miss Ilola - unissue?
Evening Soul / Haulin'( 1967 / Sur-Speed 221 )
というワケで、怒涛の 8枚組み CD、ドイツ Bear Family の BCD 15864 HL『A Shot In The Dark - Nashville Jumps 』にも収録されていない「Miss Ilola 」だけがもしかすると unissued?

お金がフンダンにおありの方はその Bear Family BCD 15864 HL をお求めになるのがよろしいかと思いますが、なにも、そこまで、とおっしゃる方にはイギリス Ace CDCHD 652『No Jive: Authentic Southern Country Blues 』あたりがよろしいかと。これでも「She's My Kinda Girl」はモチロン、Wasted Time / I'm Your Country Man / No Place Like Home の合計 4曲を聴くことが出来ます。

Thomas "Shy Guy" Douglas は 1984年10月19日、Nashville で死亡しました。

ここんとこ日中の気温が平年値を上回っておるらしく、周囲の雪がみるみる体積を減らしてってますよん。
でも、わ〜い、春だぁ!なんて浮かれてるとまたド〜ンと気温が下がって冬に逆戻りなのよねー(たぶん)。近年、とみにその振れ幅が大きくなってるんですが、それでも平均値で見てくとジワジワと上昇しているのかも。
permalink No.663

Search Form