It Hurt's Me Too

Elmore James


2004-03-04 THU.
抑制の利いたスライドが静かに導入部を奏で、重心の低いステディなブーギが悠然と滑り出す。
かっての Tampa Red の It Hurt's Me Too に比べ、全体に低空飛行だけど破壊力有りみたいな(なんじゃそりゃ?)、1957年の Chief 原盤でございます。
他に 1962年の Enjoy 盤というのもあるのですが、そちらは(確かにヴォーカルに掛かっているリヴァーブも深いのですが、そればかりじゃなく、心理的に)やや遠くから「客観的に」歌っているような印象があり、聴き易いかもしれないけど、ワタクシはこの、やや荒っぽい Chief のが好きなのよねん。

この曲は Tampa Red* のオリジナルなのですが、おそらくたいていの方々はこの Elomre のを聴いて記憶されているのではないでしょうか?

*Tampa Red ─ 本名 Hudson Woodbridge( Whittaker )は、1900年の12月25日(本人は1908年生まれ、と称してるんだって。他に同じ1月8日ながら、1903年説もあります。さらに1903年ということでは、10月16日説も!)、ジョージア州の Smithville で生まれています。
しかし幼くして両親を失い、フロリダ州 Tampa の祖母のもとにひきとられて養育されました。Whittaker はその祖母の姓 だったようです。
シカゴに出た時期については諸説があり、1918年とするもの、また1925年あたり、とする解説もあります。でも Tom Dorsey( Thomas A. Dorsey=Georgia Tom )とシカゴで活動をともにし始めたのは1920年代の半ば以降ってことでは一致しているようです。
1928年のIt’s Tight Like That がヒットしたおかげで翌年には17枚の SP をリリースしてますね。そっから戦後の1953年までの間に(途中ミュージシャン・ユニオンのストライキによる空白期はあるものの)実に 300曲以上(!)の録音をこなしています。この、チョー多作なとこも、Tampa Red が渋好みのブルース・マニアから軽んじられる理由なのかもしれませんねえ。
1955年に愛妻が死んでからはヤル気を無くして第一線を退き、1981年に他界するまで、ついに隠遁生活(?)を通したようです。彼が残したままで「宙に浮いた」そのバック・バンドを構成していた、Little Johnny Jones、Odie Payne、Ransom Knowling にJ.T. Brown あたりが、そのまま Elmore James のバック・バンドとして活動しました。

とまあ、そのよーな因縁もございまして、Tampa Red から Elmore James という線も(かなり強引ってえ気もしますが)引けないことはない、と。
この It Hurt's Me Too は、かなりイロんなひとにカヴァーされてますから、もしかすると、そっちの「分家(?)」のほーでこの曲を知った、というかたも多いかと思います。もし機会がございましたら、ゼヒこの Chief 原盤の It Hurt's Me Too を聴いてみたくださいませ。そして Enjoy 原盤とも比較してみるのもまた面白いと思います。
さらに出来ますれば、1940年の Tampa Red にまで遡ってホントの原曲をたずねてみるのもまた一興でございましょう。ま、あまりハクリョクなんて概念はそこには感じられませんが、そこはかとない哀愁を漂わせる名唱ですからね。

ワタクシが演る場合にはやや(「やや」じゃねえだろう!という声アリ)ディストーションがかった Hound Dog Taylor 寄りの Heavy な Boogie でやってます。ご存知のとおり、この曲、コード進行がやや変則的なんですが、曲としての知名度が高いせいか、まあ大体のプレイヤーは知ってますんで、セッションでもなんとかなるのよねん。

夕食を「ぷ」さんと一緒に例の田澤食堂で摂っていたんですが、そこに出前を頼む電話が来て「肉たぬき一丁!」てな声が聞こえてました。
ナヌ?肉タヌキ?またまたメニューに載ってないオーダーやおまへんか!
肉そば、ってのがメニューにあって、もちろんタヌキそばもありますから、その二つをダイナミックを統合したものでございましょうか?まことにチャレンジャーじゃのう。ま、肉と揚げ玉じゃ、あまり違和感は無いかも。
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