She Walks Right In

Clarence Gatemouth Brown


2004-03-27 SAT.
この曲、古い録音もモチロン有名ではございます。が、ここで採り上げておりますのは 1980年代後半の作品 Standing My Ground に収録されました New Version のほーね。
録音は Louisiana 州 New Orleans の Ultrasonic Studios、あるいは同じく Louisiana 州ながら Metairie の Southlake Recording Studios となっており、この曲の場合どっちなのか?は不明でございます。
どっちにしても、彼自身のヴォーカル&ギターはいいとして、この曲に限ってはドラムも Clarence Gatemouth Brown となっておる(!)以上、マチガイ無くスタジオでのマルチ・トラック・レコーディングをしとるワケで、なら、16チャンネルや 24チャンネルに収録した各楽器群を最終的な 2チャンネル・ステレオに落とすトラックダウン* 作業が必要となるのですが、レコーディングに使用した Ultrasonic Studios、と表記されておりますが、スタジオに「s」がついてて複数形になっておりますでしょ?
一般的なレコーディング・スタジオは、ミュージシャンが演奏するスタジオと、それを見ながらイロイロな調整が出来るようガラス窓でつながったミキシング・ルームがセットになっており、またスタジオ側も、さらにドラムなどの大音量の楽器からのカブリを防ぐほか、マルチ化するために、たとえばヴォーカルのトラックに他の楽器の音が混入してしまうと、その楽器のアレンジを後で変えたり、別な楽器に差し替えたりしたときにマズいので、その音以外をシャット出来るよう、アイソレーション・ブースなどを持ったり、またスタジオ内のマーシャルのフル・ヴォリュームの音が周囲に洩れないよう、そして外の交通騒音やら上空を通過するジェット機の音などが録音に紛れ込んで来たりしないよう、厳重な遮音対策が施されている必要があり、その高額な設備投資額から、そのレンタル料金も練習スタジオなどとは「ケタ」が違うワケでございます。

*=トラック・ダウン、あるいはマスタリングとも言うよーですが。最近は「オートマチック・フェーダー」のミキシング・コンソールになっていて、トラック・ダウン中には、フェーダーがメモリーによって誰もいじってないのに上がったり下がったり、っちゅうシュールな光景を見ることが出来ます。ま、オートマチックゆうても、別にコンピュータがこのくらいやったらどや?なんてやってくれるワケじゃなく、ミキサーのその時々の操作を正確に覚えてくれるシンクロ・トラックによって「動かされ」るのでございます。そーやってプレイ・バックしながら、あ、ここはブラスも少し引っ込めよう、なんて思いついたら、そこをフェーダーに手を添えて「修正」してやると、今度はその操作がメモリーに上書きされて、次からはその新しい操作がちゃんと反映されるのですねえ。
そーやって何十回もプレイ・バックして細かい修正を積み重ねて完成さしてくのでございます。
逆に考えると、そんなオートマチック・フェーダー付きコンソールなんてもんが無かった時代に、リアルタイムでミキシングしてたミキサーってのはホント「神業」ですよね。


トラック・ダウン専門のスタジオってのは、ま、ちょっと遮音のいいリスニング・ルーム程度でいいワケだし、しかも、ミキシング・ルームの部分だけでいいので、レコーディング・スタジオに比べれば、料金もグ〜ンと「お安い」のですよ。
てなワケで、この Ultrasonic Studios の複数形も、そゆトラック・ダウン用のスタジオもありまっせ、つーより、たぶんいろんなサイズ&タイプのスタジオをとり揃えた集合体なんじゃないか、と思うのですが、現地で確かめて来たワケでもないので確実ではございません。

と、またもや無用な脱線をしてしまいましたね。
さて、この曲ではバック・コーラスが「マスト」みたいなもんですが、ここでのみなさんはヴォーカル専門の方々らしく、バンドのメンバーが片手間に声を張り上げておるのではございません。
そして忘れてならないホーン・セクション!あのリフを息を合わせてキメないことにゃあ「この曲」になりませんねん。
R 社のギター・シンセでチャレンジしてみましたところ、この程度の早さのリフでしたらなんとか行けましたね。でもここらあたりが限界で、これより早くなると、ミスが増えて来るんですよ。ま、それはこの際どーでもいいんですが。

実はワタクシ、この曲を、およそ 1976 年の Cavern Blues Band でやっておった記憶があるのですが、最近までてっきり変則的なコード進行の曲だ、と思い込んでおったのでございます。当時、これ歌ってたのがハープの今(こん)ちゃんで、他にもサイド切ってくれるギターがいたので、例のリフにばかり集中してたからなのか、あまり確かな記憶ではないのですが、てっきりちゃうパターンだとばっか思っておりましたですよ。

いやはや、思い込みってのはケッコーあるもんなんですねえ。
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