Wabba Suzy Q

Ace Holder


2004-04-28 WED.
いつもの(?) London のオムニバス、Lonesome Harmonica にも、そのタイトルとなった Lonesome harmonicaHomeless Boy Blues、そして Leave My Woman AloneEncourage Me BabyI'm In Love With You の 5 曲が収録されている Ace Holder のナンバーでございます。

データがほとんどなく、バックなども一切不明でございますが、なかなかビートの効いたダンサブルなナンバーで、ハープ・ソロがなかなかいい音&フレーズで聴かせてくれます。
ヴォーカルはいかにも彼らしい(?)ややうわずった感じはあるものの、この手のアップ・テンポのナンバーもなかなかいいじゃないの!っつー(ま、Gus Jenkins とやってる 2 曲あたりがヘンなリヴァーブ効かせ過ぎみたいで、かなりスポイルされてたからよけーそう思うのかも)歯切れの良さがありますます。バックにはブラスも充実してて、あの Hal Paige のおバカな Going Back To My Hometown みたいなリフで賑やかしてくれてるんですが、ハープのバックとしちゃあ珍しいですよね?ワリと音質が干渉するみたいで、ハープのバックにはブラスのうるちゃいリフってあまりつけないんですが。

いえいえ、ご心配無く、Ace Holder のハープ、全然負けてませんよ。ハープにうっすらとかけてるリヴァーブがウマい!これで、バックと違う位置だ、ってのを際立たせています。
そこら、なにがどう、とは言えないのですが、やっぱ「ウェスト・コースト」の音なのかな?なんて気もいたしますが、ま、気のせいかもしれんので強く言いつのるものではございません。
また、その構成からすると Leave My Woman Alone と同じバックなんじゃないか?って気がしますが確信はございません。

これが収録された JSP 2146 の Rockin' This Joint Tonite( V/A )によれば、この Ace Holder、Los Angeles に来る前は Mississippi 州にいたらしいのですが、ザンネンながらそれ以上の詳しいことはまったく判りません。

ところで Los Angeles から南西にほぼ 10mile の Downey に、1950年代に Bill Wenzel という男が Music Town というショップをオープンし、やがて小さなレコーディング・スタジオも作って 1959年からはレコードの製作も始めています。
そのレーベルの最初の全米ヒットとなったのは(たいてーのヒトはヴェンチャーズの、だと思ってるよーだけど)、The Chantays(初期のシングル盤のセンター・レーベルではナゼか「 CHANTAY'S 」の表記になっていますが) の名曲 Pipeline でございます。およ?じゃサーフ・ミュージックのレーベル?とお思いでしょうが、Bill クン、R&B も録音してるんですよー。
Jessie Hill、Little Johnny Taylor、Chuck Higgins、それに T-Bone Walker Jr.とかね。あ、サイゴのは、ホントはムスコじゃなく「甥」らしいんですが。
そして Ace Holder も 1961年か1962年に録音していたんですねえ。ただ、その録音テープはいかなる事情があったのかその後、実に 35年以上も眠りについてしまい、ようやく発掘されてこのような JSP のオムニバス・アルバムとなったのですが、その間に付いた汚れやテープ・ベースの劣化、保持磁気のドロップ・ダウンなどによってその音質は「いささか」プアではありますが、それにしてもこのような貴重な(特に Ace Holder のように残っている録音が少ないブルースマンの場合など)テイクが世に出たのはまことにもって「喜ばしい」ことでございます。

なお、これも資料が少ないため、類推の域を出ないのですが、そのオリジナル・レーベルは Vanessa だったのではないか?と思われます。London GXF 2002 の Leave My Woman Alone( Vanessa 100 )と同時期、いやひょっとしたら同じ日のセッションの可能性もあるのではないでしょうか?
ただし、他の曲のレーベルを見ると、 Encourage Me BabyI'm In Love With You は Lulu 1124 というシングルで出ていますが、 Lonesome harmonicaHomeless Boy Blues は Pioneer 1004 となり、もしかすると、そーとーいろんなレーベル名をテキトーに(つーかデタラメに?)割り振っていたのかもしれません。

この Wabba Suzy Q については、 Leave My Woman Alone のカップリングではなく、その曲調からも、むしろ同じ Rockin' This Joint Tonite (同名のタイトル曲は 1970年にわずか 35才の若さで殺害されてしまった Kid Thomas のナンバーです)に収録されている Happy Anniversary とのカップリングではなかったか?と推理しておりますが、そこらもちょっと資料不足のため、特定することが出来ませんでした。

Leave My Woman Alone( Vanessa 100 )のカップリングとしては When You Are Around のほーじゃないかな?

・・・さてこれでシングル 4枚分、ってことになりますが、実は他にも未聴ながら MOVIN' 142 Sorry I Had To Leave (カップリングは不明)ってえシングルが存在するらしいんですよ。ま、もしかすっと、もっとあるのかもしれないんですがね。
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