All Your Affection Is Gone

Dion Payton


2004-05-06 THU.
より正確には Dion Payton and the 43rd Street Blues Band によるこのナンバー、一聴して判るとおり、通常のブルース進行ではございません。
また細部にいたるまで「過去の」ブルースなら「当たり前」な苔むしたクリシェとは異なった、かな〜りコンテンポラリー(あ、録音当時の、ね)なフィニッシュが煌めいて、それこそ古臭〜いブルースには物足りなさを感じてた若いジェネレーションに歓迎された、その意味ではエポック・メイキングなナンバーだったかもしれません。
まあ、ちょい意地悪くこれをリトマス試験紙みたく使って新世代と旧世代の識別に使えるくらい!
こんなんブルースじゃねえ!っちゅう化石系マニアは放っといて「ブルースのポテンシャル」を楽しめるかどうか、だな!判ってるか?そこのジジイ!がははははは〜

まあ、化石なみなさまが金科玉条のごとく奉りくさっとる「ブルースっちゅうのは」ゆう諸条件なんぞ知ったこっちゃありません。
そんなムカシのハナシされてもねえ。廻すダイアルが無きゃ電話じゃねえ!ってのといっしょ。イノヴェーションは日々じわじわ進行してるワケで、間を抜かしてこれ聴いたらキョヒハンノ〜出ちゃうのもさっすが「年の功(?)」ですねえ。
ちょっとカルロス・サンタナを思わせる(?)パースペクティヴに溢れたこの曲、Gm をキーとして、Gm-Cm の繰り返しをベースに、そっから B♭-D7-Cm-D7 という展開部へとなだれ込む、という構成です。
そこに、シルキー・スムース(は言い過ぎか?)な伸びやかなヴォーカルと、この曲で存在をアピールし、そこに絡んで来るロック系のクリシェを昇華させたようなイキのいいギター!
そう、これが 1980年代の Chicago Live Scene の音なのだ・・・

もうね、このイントロをもろパクって、でもコード進行がちゃう?ってとこで始まる I Put A Spell On You!てな遊びがしたいねえ。
さらに途中のギター・ソロじゃ「なんでか」マーク・ノップラーの悲しきサルタンのあの手クセ悪〜い細切れリフ!
まあ、Screamin' Jay Hawkins のナンバーなら化石系のみなさまも「あの曲なら仕方ねえ」と諦めてくれるかもな。

てなことはともかく、この曲のライヴ版、聴いたことありまっか?
1993 年の Kingston Mines でのライヴ、実に 12分半を超えるライヴなんですが、客のヒートアップぶりが録音を通して伝わってきますよ。
なんかもう「いよっ!待ってましたっ!」てな反応がざわめきとして歓声として充満いたしておりますよ。
果たして、これと同じよな反応を引き出せる旧来のスタイルのブルースがあるでしょかね?
あ、客席ほとんどジジイばっかなら '50 年代のナンバーでも盛り上がるかもしれんけど、ここで飛び交ってるココロが参加してるぜ!的な盛り上がりってのは望めないだろな⋯

ところでこのナンバーには Blind Pig から自らのリーダー・アルバムも出すようになった Joanna Connor*も参加してるそうで。

*Joanna Connor ─1962 年 8 月31日 Brooklyn で生まれ、母の聴いていた Taj Mahal や Jimi Hendrix に影響を受けて 7 才からすでにギターを手にして、歌も唄い始めています。
1981 年にはプロとなり、ギターの Ken Pino とともに Pino/Connor Band を結成し、地元紙には「 Best R&B Vocalist of the Year 」に選ばれました。
Chicago に出てきてからは John Littlejohn のバンドに加わってクラブに出演し始めています。そして 1985 年には、この Dion Payton に招かれて彼のグループ、the 43rd Street Blues Band に参加、Kingston Mines や Checkerboard Lounge に定期的に出演していました。
この All Your Affection Is Gone はその時期( 1987 )の録音で、この直後、彼女は自らのバンドを結成し、サックスの A.C.Reed も加えたツアーも行っています。それ以降の彼女については Blind Pig のサイト http://www.blindpigrecords.com/artists/Connor,+Joanna.html で。


ただ⋯主役の Dion Payton のほーですが、どーも情け無いことに Joanna Connor みたいな Biography、ダレも書いてくれてないみたいで、The New Bluebloods のライナーしか情報が無いんですよ。
で、それによると、Mississippi 州 Greenwood 生まれらしいのですが、生年月日は不明でございます。Chess でのレコーディングも経験しているようですが、Lonnie Brooks が 1983 年に吹き込んだアルバム Hot Shot でのアレンジのサポートと、ギターでのサイド・ワークで注目されて Alligator のこのコンピレーションに収録されることとなったもののようでございます。
彼のヴォーカルとギターに、前述の Joanna Connor のギター、キーボードは Rockin' Tom Heimdal、ベースが Murphy Doss、ドラム Earl Howell というのがこの 43rd Street Blues Band のメンバー。
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