Zydeghost

C. J. Chenier


2004-05-27 THU.



これはまたタイトルもフツーじゃない!
あの Clifton Chenier の息子なんですが、ありきたりのザディコちゃいます。
それにファンクを練り込んだみたいなヘヴィーな仕上がりとなっておりまして、確かにアコーディオンが主役でラブボードも入ってるし、リズムのベースそのものは親父さんがやってたのと基本的に変わらないのですが、なんたってカッコいい(あ、逆に、これがウルチャい!って嫌うひともいそう)のが Nick Daniels III のベシビシベチバチガリンゴリンの重低音ベース!う~シビれますねえ!
ドラムの Brian Brignac 以上に全体のビートを支配してますぜ!
途中、ちゃんとベース・ソロも与えられてますが、とーぜんでしょ、こんだけ弾けたらもー言うことナシでございます。うちらのセッションにも参加してくれるファンキーなベーサーMもこゆの得意なのよねん。今度、これみたいに全編、ベースが歌い続けるよなナンバー、やってみよかなあ?

と、一見メッチャ派手なテクスチュアにダマされそになりますが、れーせーに聴いてると、C. J. Chenier のアコーディオンは、しっかりと「王道(?)」を往く演奏で、しかも、それがまたこのスーパー・ファンキーなリズムと合っているんだから素晴らしい(と思ってるのはワタシだけか?案外、ピュアなザディコ・ファンにはウケが悪かったりしち)。
でも、ザディコをあくまでもダンス・ミュージックとして捉えたなら、こんな躍らせる曲こそ、まさに本来の姿、ってえことになるのかも?

この Zydeghost の収録されたアルバム Step It UP!( Alligator AL 4882 )は Louisiana 州 Maurice の Dockside Studios で録音され 2001年にリリースされたものです。

上でも書いたとおり、 C. J. Chenier は 1957 年に、あの有名な Clifton Chenier の息子として生まれています。当然、父のバンドに加わり(サックス・プレイヤーとして。後にアコーディオンも弾くようになります)音楽と関わりを持つようになるのですが、その前に Texas 州 Port Arthur にいた頃には、さらなる音楽的素養を他のジャンル、例えば James Brown や Funkadelic(!)、さらにジャズでは John Coltrane や Miles Davis を聴き込むことで培っていったようです。また学校でも音楽を学び、ゆくゆくはジャズか、ファンクのミュージシャンに、と考えていたようです。
その Port Arthur のブラック・ミュージックのヒット・ナンバーを演奏するバンドでサックスを演奏していたのですが、彼が 21才となる誕生日の一週間前に、父の Clifton Chenier が、サックスを持って The Red Hot Louisiana Band に入らないか?と尋ねたのだそうです。
彼は、「そのバンドがやってる音楽には馴染みが無かったし、どうしていいか判らなかったんだけど、みんなが助けてくれたし、そのうち、その音楽に打たれたのさ。これこそ、俺が求めていた音楽だ!と判ったんだ」というワケで 1978 年に参加しましたが、1985 年にはバンドの中での音の配分などから、アコーディオンに転向することを決意し、父に言わせると、最初はアコーディオンをプッシュ・プルするだけでもタイヘンそうだったようですが、その父が亡くなった 1987 年には曲がりなりにも、その後を継ぐようなアコーディオン・プレイヤーと言えるレヴェルには達していたのでしょう。

父亡きあと、彼は次第に Port Arthur 時代に心の中に棲みついていたらしい、かっての多彩な音楽を浮上させ始めることとなります。
そして Arhoolie や Slash にレコーディングし、New Orleans Jazz & Herritage Festival に出演したことでポール・サイモンの目に止まり、アルバムに参加し、さらにツアーにも同行したりしています。

1994 年には Alligator と契約、翌1995 年にリリースされた Too Much Fun はたちまち Living Blues Magazine の Best Zydeco Album of 1995 に選定されました。また同年、CNN の the John Stewart Show に出演したことで、彼の知名度はまた一段とアップします。
1996 年の New Orleans Jazz & Herritage Festival、Texas 州 Austin の SxSW Music Conference などで彼の音楽は、多くの聴衆を踊り出させた、と言われています。
続く 1996 年のアルバム The Big Squeeze では、さらにジャズやファンクの要素を導入し、ロックや R&B のテイストも持たせたこのアルバムは翌 1997 年の Living Blues の Critic's(批評家による)Poll Award と AFIM による Indie Award( for Best Zydeco Album )を獲得しました。

今回の Zydeghost が収録された Step It UP! さらにパワー・アップして破壊力も充分です。
それだけに、古き佳きザディコを期待して聴くと、ショックは大きいかも・・・
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