Cry'ing Won't Make Me Stay Back Home

Sammy Blann

2004-06-29 TUE.




アタマで一瞬、Messin' With the Kid みたいな(でももっと「ほのぼの」してますけど)イントロが入って、そこから始まるロックン・ロールの影響も受けてそうな腰の軽いヴォーカルは、ブレイクを多用しつつ、ケッコー元気よくトバしてきます。バックに流れてるのは Billy Riley のハープですが、それ以外のレコーディング・メンバーは不明です。

さて、このひともまったく資料が無いんですねえ。

お馴染み London GXF-2002 の Blues Obsucurities のシリーズ Vol.2、Lonesome Harmonica に収録されているのですが、そこに記されているレコーディング・データ関連以外のデータがいまだに、っつーか、タブンこれからも発掘されることは無さそうなんで、どーやらこのブルースマン、ナゾのまま終っちゃいそうでげす。

1964年に Progress Records に、この Cry'ing Won't Make Me Stay Back Home(カップリングは Lovies Love Groove ; Progress 206 )と、もう一枚 Love Me or Loose Me と She's Got the Jive on Me のカップリングの Progress 207(ここまではいずれもバックに Billy Riley のハープ)、そして、これはどうやらリリースされずにお蔵入りになっちまったらしい You Can't Hide A Heartache ってゆう全 5曲の録音が「あったらしい」ってのが判っている「全て」でございましょう。
ケッキョクそれ以外は「???」。

たしかにねえ、たとえば日本の演歌あたりにしたとこで、シングル一枚出して、名前はそれで残ってるけど、出自やらその後などについてはまったく判らない、なんて歌手がかなりいるそうですから、もっと広い(ん?そんな問題じゃない?)アメリカで、それも、なかにし礼がどう言おうが、「重視されてなんかいなかった」マイノリティの音楽と来ちゃあ、よけー追跡は困難っちゅうもんでしょ。

でもこうして、その録音が残り、タマにはそれを聴いたワタシのよなモノズキが、「こいつ、どんなヒトだったのかなあ?いつどこで生まれたんだろ?どしてブルース演るよになったのかしら?どんな暮しをして、どんな人生を送ったのかなあ」なんて心に留めてくれたりするんですから、まだいいのかもしれませんね。
レコードというカタチでその音を残すことが出来なかった、それも、録音の機会が無かったひともいれば、録音はしたけどリリースされなかった、さらにその前にレコード会社がツブれちゃった、僅かでも出したけど、みなほかされちゃった、なんて様々な意味合いで、イマに残っていないブルースってのも相当あったハズでございます。

せめて、どんなヒドい音質やら出来だろうが、それでも録音さえ残っていたら、いま、定説となっている、「XXXは◯◯◯◯◯が始めた」なんてのも、あらかた覆っちゃう可能性が大いにあるワケで、特に戦前の、ブルースおける "In the Beginning"を「決めつける」ことはダービーの馬券なみの「ハズレ」の確率を含んでるよーな気がいたします。

でまた、この曲の「明るい」、まるで成功が約束されているような確信に満ちたイキの良さ、ってものと、それが今では、彼の生没年・出身地すら知られていない、という現実との「ギャップ」。この対比がヒシヒシと胸に迫ってまいりますなあ・・・なんちて、そりゃケッカロンだろ!とツッコマれそう。

もう明日は 6月30日!
つまり、この BLUES日記のスタイルになってから、ちょうど 365日目ってワケです。
あ、閏(うるう)が入ったから 366日か。
自分で言うのもナンですが、まさかこんなに続くとはちぃ~っとも思わなかったですねえ。

気楽にやってたから続けられたんでしょね。そしてなんでも楽しむ!がモットーのワタクシのこと、「調べる」ことも楽しんでるから「苦」にならないんですよ。
どころか、調べる&調べたことを整理して書く、これって時間さえあればいくらでもやってたいよな「パズル」みたいなもんで、ハマると、どんどん拡大してっちゃうんですね。
で、そんな調子でやってると、こんなには続かなかったでしょね、きっと。
途中から、調べる時間を自ら二時間まで!と制限したのが(たぶん)良かったみたい。
最初は判明したことゼンブ突っ込まなきゃ「もったいない」よな気もしましたが、でも、それだと、ワタクシの興味のありよう、ってものが不鮮明になっちゃうんですよ。
んなこたあ、ちょっと調べる気さえありゃ誰にだって辿り着けるんだから、むしろ、そっからワタクシの視界を切り取ってメインにするほーがいいでしょ。好きでやってる個人のサイトなんですからねえ。
なんてきれーごと言ってますが、ホントはゼンブ書いちゃうと、次に同じブルースマン採り上げるとき、もー書くことが無い!ってえことになっちまうワケでさあ。
だから、せっかく「残しといた」のに、そこ、板に「 XXXは XXXXXなんですよ」なんて御親切に書かれちゃうと、ホントがっくり来ますねえ。
なんだか、「イマ言おうと思ってたのにぃ」みたいな無念さ、でしょか。
そーやって「次」が無くなったの、何度もあります。
日記に書いたことについて考えた・感じたことなどをお寄せいただくのはとっても嬉しいのですが、「書いてないこと」を、教えてやろうというのは出来れば、いえ、ゼッタイにヤメてくださいませ。感謝するどころか深夜に五寸釘でございますよ。

ま、いいんですけど(メゲないとこが唯一のとりえ?)。

あ、例外もあって、それが江戸川スリムさんです。彼から寄せられるのは、ネットなんぞで調べたってゼッタイ出てこないディープ(!)かつデンジャラス(!!)なインサイド情報ばっかりなんだもの。
いやはや、今回、実際お会いして、ネット上には「伏せ字ですら」上げることが憚られるネタがまだまだおありなのをカクニンいたしました。
おそるべし、江戸川スリム!
permalink No.798

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