Catfish Blues

Bobo "Slim" Thomas


2004-07-25 SUN.


検索するときに、ブルースマンの名前がカタカナ表記だったりすると、英語のサイトを拾えないので、ワタクシの日記では極力、氏名や地名など、英語表記のままにしております。
もしかすっと、カッコつけてんじゃねえよ!なんて「ご立腹」のお方もおられるやもしれませんが、一度でも本気で検索してみれば、スペルが判らないとハナシにならない、っつーのが判っていただけるはずでございます。

なんてことはともかく、それとはまったく「ちゃう」イミで、カタカナじゃなくて良かった!と思うのが今日みたいな場合なのね〜。
ま、みなさまもご存知のとおり、「Bobo」ってのはニホンの「某」地方ではヒジョ〜にモロ!な「禁句」でございますから⋯
他にもBobo Jenkins とか、あと、ちょっとちゃうけど Vo Vo Tau なんてのがありましたけど、あの地方じゃ、その名をアナウンスしづらいのかもしれませんねえ。

さて、そんなことはともかく、この Downhome Delta Blues 1949-1952 ( Blackhawk 109)に収録された Catfish Blues、Sonny Boy ll のハープをパックに、ごく自然に、なにげなく(?)歌っていくところが実にナチュラルでいいんですよ。
ワタクシにとっての Catfish Blues はこれ!って感じかな。

そもそもは 1928 年の Vocalion に吹き込まれた Jim Jackson の Jim Jackson's Kansas City Blues が起点かな?
それはおよそ100万枚売れた(?)とも言われる大ヒットとなったのですが、その中の三番の歌詞

I wishes I was a catfish, swimming down in the sea
I’d have some good woman, fishing after me…

そっから出てきた Catfish の一節が独立して「曲」になった、と言われております⋯
ただし、ここでのキャットフィッシュがモロ「なまず」だとすると、swimming down in the sea ってのが「ンなワケねえだろ!」物件(?)なんですねえ。
だってナマズってのは、アメリカナマズであっても「淡水魚であって、稀に汽水域にも出没することがある⋯」ってえ生態なワケですから deep down in the sea なんて「ありえな〜い!」のでございますよ。そこら安易にサカナなんだから、ちゅう決めつけでもってそんな歌詞になっちゃったんでしょかね?

もっともあるサイトでは『(ナマズは)淡水域と汽水域の両方、内陸の河川のみならず、メキシコ湾沿岸の各地で黒人の漁師によって水揚げされ主にフライとして食されていた。主にミシシッピー川の流域で⋯』と記載されておりましたが、別に漁業の専門家の記述ではありませんので、ガルフ沿岸漁業で、ってのは伝聞による、あるいは単なる思い込みの可能性もあります。

もっとも、Tommy McClennan は Catfish Blues のヴァリエーションで歌詞を Bullfrog に変えたのも

Now, I wished that I was a bullfrog, swimmin’ in that deep blue sea.

と歌っていたそうですから「定形句として」Sea が「ついてくる」部分もあったんでしょうね⋯
な〜んて、そっちにハナシを誘導しよとしてるのはナゼか?っちゅうと、カンのいい方ならお気付きかもしれませんが、そ、アナタのご想像どおり、この Bobo Thomas は、あまり⋯どころか、ほとんど資料がありませ~ん。
唯一、その本名は Andrew Thomas らしい、ってのが discog にあっただけ。
BLUES on stage の Big Joe Williams のところで「 Bobo Thomas については、まだ殆どなにも判っていない」とあるくらいで、さっぱり判りませ〜ん。そして、ナゼに Trumpet 146 の Elmore James の Dust My Broom で、そのカップリング曲となったのか?
そこらも⋯
時は 1951 年の 8 月 5 日、Mississippi 州 Jackson のクラブに Sonny Boy のバックとして出演していた Elmore James は、Lillian McMurry のレーベル Trumpet に吹込む Sonny Boy に付き合ったついで(?)に、あの Dust My Broom を録音しています。
バックには Sonny Boy Williamson II のハープ、そして Leonard Ware( bass )と Frock O'dell( ds )。
ただし、これは2004 年 7 月25日に採り上げましたとおり、シングルの裏面が Bobo "Slim" Thomas の Catfish Blues となっており、一部の資料ではそれを、録音した Elmore がそのプレイバックを聴いてるうちにイヤになったのか帰ってしまって裏面の分が無かったからだ、なんて伝承もございますが、そこら真相は不明でございます。
しかもこの Bobo Thomas ってのがどんなヤツなのかさっぱわからんのですから、ミステリーでございますねえ。
でも、このカップリングで発売されたレコードは Dust My Broom がかなりのヒットとなり R&B チャートの 9 位に入る(一週だけでしたけどねん)出来となっています。
ところで、とある資料では Dust My Broom はリハーサルを録ったもので、最初それがリリースされたが翌年もういちど録り直したリメイク版の I Belive がヒットした、なんてあるんですが、これについては、どっからそんな話が出てきたのかまったく不明です。
確かに Trumpet での録音ではリハーサルもテスト録音した可能性はあるが、それは本番で上書きされて消滅している、としている資料もあります。
また当初の Trumpet 146 の後、Ace 508 としてリリースする際に、カッティングをし直し(これが当時のリマスターリング!)、タイトルも I Believe My Time Ain't Long と変えていますが、これをカン違いしてるんじゃないでしょか。

ってのはワタクシのホームページで Elmore James の記載からの転用(あ、そっちも当然ワタクシが書いた文章ですから「盗用」にはあたりません。まあ「手抜き」と言われれば「そのと〜り!」なんですけどね)でございます。

さて、他に Catfish Blues というとワタシなんぞは John Littlejohn のを思い出すんですが、もちろん、これだけの名曲になりますってえと、実に多くのブルースマンが採り上げております。また、この曲の成立などに関しましては↓がとても詳しいです。よろしかったらどうぞ!
https://www.earlyblues.com/essay_catfish.htm


Artist List / Biography
permalink No.825

Search Form