When Things Go Wrong With You

Tampa Red


2004-08-21 SAT.
あまり決めつけちゃうのはナンですけど、少なくともブルースに興味をお持ちで、過たずツボを押さえたリスニング経験を重ねてきた方ならば、名曲中の名曲(?)It's Hurt Me Too を知らないなんてこたは滅多ないでしょが、でも案外、それって Elmore James の、という接頭辞つきで語っておられる方が多いことと思います。
もちろん、それはそれでいいんですよ。オリジナルはエルモアである!なんて妄言さえ吐かなきゃ、ね。いえいえ、ときどきいるんですよ。そうゆうありがちな誤解を「決して改めようとしない」ヒトってのが!
Mojo Workin’ったらマディのオリジナルだ、と堂々とのたまってるスットコドッコイがどんだけいることか・・・
特に某楽天の広場たらいう自称ブログ・サービスで散見される「まともなブルース・サイトなどに出入りしたことがなく。いや、それどころか、オレはオレの感覚を信じる!なんて言い放ち、独りよがりなブルース観をまくしたててる(こじらせ)ブルース・マニア」あたりはもう「思い込んだ」らそれ一本!そうじゃないよ、なんて忠告、非難もモノともせず我が道を往く、ですからねえ。はいはい、まっすぐ行ってください。カーヴででも曲がらずに池にハマるなり塀に激突するなり、お好きなように⋯

てなことはともかく、今日のブルース、When Things Go Wrong With You こそ、タイトルこそ違え、その It's Hurt Me Too のオリジナルなのでございます。
聴いてみていただけばスグ判りますが、It's Hurt Me Too ってのは、各歌詞のシメの部分で毎回登場する部分なんで、それが題名化しちゃったんでしょね。
1949 年 3 月24日に Chicago の Bluebird Records の A スタジオで録音されたもので、やや控え目ながら、いい味を出しているピアノはモチロン Johnnie Jones。
未だに「 Jazz 系」と「ブルース」の分かれ目の直前にいるかのような、それこそ「 Giants Steps 」のような存在感のあるウォーキング・ベースは、これまた Ransom J. Knowlingです。いわゆるフル・エレクトリック化されて以降のバンド・ブルースにおけるベースがより「リズム楽器的側面」を強くしていくのに対し、 彼のベースは、もちろんリズムの一翼は担っているものの、それ以上に「メロディアス」な気がしませんか?
まさにワタクシが理想とする Light で Tight で Shure なドラムは、これまたお馴染みの Oddie Payne でございます。

ただ、Tampa Red っちゅうと毎度、登場するカズーがちとナンなのでございですが、上記のしっかりしたバックに支えられてのヴォーカルは淀みなく、唄い上げていきます。
おそらく全員によると思われる(?)コーラス部分もなかなかの「ご愛嬌」で、ホノボノいたしますねえ⋯って内容からいったらホノボノしてる場合じゃないんでしょうが。

さて、昨年 7 月18日に採り上げました Let Me Play With Your Poodle のとこでも触れておりますが、1955 年に愛妻が死んで、すっかりヤル気を無くしちゃったらしく、あまり演奏活動をしなくなり、それでヒマになっちゃった(?)バック・バンド(あ、この曲では参加してませんが、これに J. T. Brown も含めた Tampa Red のバック・バンド)が、そのまま Elmore James のバッキングに流れ、それが有名な the Broom Dusters になった、っちゅう図式が考えられますが、ギグのほうはともかく、少なくとも録音データ上で言うと、それでは時系列が符合しないんですねえ。
なんでか?っちゅうと 1952 年の Elmore James の Mississippi 州 Canton での録音で既に the Broom Dusters としてバックに参加しているからなのでございます。
ま、確かに 1955 年以降の Elmore の録音には J. T. Brown と Johnny Jones が「復活」してますけど、Tampa Red のバック・バンドがそのまま、って形容は 1952 年の11月の Chicago 録音までとなるワケです。

ま、それはともかく、そこではやはりヴォーカルが変わると、そのサウンドも劇的(?)に変化して、Elmore James の「あの」音になるんですから、オモシロいですね。
で、同じ流れでそれを語っちゃうのはまことに畏れ多いのではございますが、不肖ワタクシも Elmore James のスタイルで何曲か自分でも演奏いたしておるのでございますが、彼のスタイルで演奏したあとは決まってノドがやられちゃうんですよ。なんででしょうかねえ。
おそらく自分じゃ意識してないんですが、めっちゃリキ入ってるのかもしれません。

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