One Room Country Shack

Johnny "Guitar" Watson


2004-10-16 SAT.


Sittin' here and thousand miles from nowhere⋯ で始まるとってもレイジーなブーギでございます。
ンッチャ・ンッチャっちゅうカッコ悪いサイドが多少耳障りではございますが、その程度は大目に見るといたしましょう。
このサイドって、ブーギの一種の変形なんでしょが、つい、ちゃんと 6 度の音を付け足すパターンやれよ!と言いたくなっちゃいます。

ま、この曲が録音された 1957 年、Los Angeles のスタジオでバックを付けたのは the Bumps Blackwell Orch.*っちゅう名前の「楽団」らしいのでございますが、オーケストラとは言え、その構成は複数本数のトランペットとサックス、ピアノ、ギター、ベースにドラム、っちゅうー、ようするに「よくある」バック・バンドだったらしく、ワタクシの考える「オーケストラ」に必需品(?)の「ストリングス」は入ってないよでございます。

*─ the Bumps Blackwell Orch. : 1918 年、Washington 州 Seattle で生まれた Robert "Bumps" Blackwell が率いる「楽団」で、自身のアルバム Bad Boy なんてのもあるようですが、数々のブルースや R&B 系のアルバムのサポートの仕事で知られています。早くからピアノに親しんだようですが、1949 年に陸軍を除隊してから、いったんは Seattle でイロイロな事業を始めたらしいですが、1953 年には Los Angeles に移り、各レコード会社に売り込み、1955 年春には Art Rupe の Specialty Records の A&R マンとしての職を得ました。
この年の仕事で重要だったのは、Houston の Duke Peacock Records の Don Robey が持ち込んだ Little Richard でした。彼は例の Cosimo Matassa の JM スタジオで(つーことは当然 New Orleans ね)Little Richard のバックに Huey "Piano" Smith を始め、ドラムの Earl Palmer、サックスの Alvin "Red" Tyler、ギターには Edgar Blanchard と Justin Adams、ベースの Frank Fields という、当時の、最高のバック・メンバーを投入し、結果的に数々のヒットを生み出すことに成功しています(と言うものの、最初のセッションは「不調」で、Blackwell と Little Richard、そしてバンドのめんめんは「お向かい」にあるバーでイッパイやることにしてワイワイやってたらしいのですが、その店のピアノで遊んでるうちに、どんどん音のヴィジョンが出来てって、それが次の録音でハジけたんだとか)。

他に Specialty では Guitar Slim の Sufferin' Mind も手掛けています。
続いて Blackwell は当初、ピュアなゴスペル一本だった Sam Cooke に、もう少しポップスに振ってみることを提案し、そこで生まれたのが Wonderful だったのですが、そこではこれまでのファンの反応を配慮(?)して、Dale Cook という偽名でリリースしています。
その曲は不発で終り、フツーなら「やっぱりダメか」で終りそうなものですが Blackwell は逆に、もっと Pop 色を強めようと、バックに Pied Pipers を配し、一般受けする音に仕上げてこれまでの黒人相手の放送局以外にもサプライして販路を広げようとしたのですが、その方針はレーベル・オーナーの Art Rupe の不興を買い、Specialty を去ることとなっています。やはりね、レーベル・オーナーがひとりのミュージシャンに対して持つイメージってのは「あくまでも主観」でございまして、大衆(?)のニーズ(??)とは「はぐれてる」ことってありますからねえ⋯

Specialty から Bob Keane の Keen Records に変えて発売した You Send Me はみごと 1957 年にチャート入りを果たし、ミリオン・セラーとなりました。
この Blackwell と Sam Cooke の関係は 1959年まで続きます。

この One Room Country Shack は 1957年の録音ですから、ある意味、一番「勢い」のあった時期だったのかもしれません。

さて、Johnny "Guitar" Watson ですが、これはもう彼ならではの個性「ムンムン」で、これが好きな方には、しのごの言う必要も無い「たまらん」世界でございまして、特にヴォーカルにカウンターかます「クワッ!」ちゅう短いフレーズ(とも言えないほど短いけど)なんざ、実にヤツらしくていいですねえ。
そして彼には彼の鬱屈だってあるのでしょうけど、このナンバーでのなにかから解放されたよな明るさ(?)あるいは軽さ(??)が「深刻」とはちゃう方向に触れてるような気がしてナゼか楽しい(?)のでございます。

市内某所で「中古レコード& CDフェア」ってのを行います、っちゅう案内をいただいたので、せっかくお知らせいただいた以上、カオ出さなきゃね。

まあ、ざっと見たところ CD はかなり数もあるのですが、こちらの必要と感じるジャンル分けってのがされてなくて探しづらい、ってのてとアナログ・レコードと違ってミョ〜に厚みのあるあのパッケージをパタパタ送って探すのって「なんか違う」⋯
そうやってマニュアル・スキャン(?)してっても楽しくない⋯いえ、ときめかないんですねえ。どうしてか判らんけど。
アナログのアルバムに比べ、ジャケットの大きさがちっさ!そのくせ一枚っつが厚い!てことでだんだんメンド臭くなってきます。
さらに、ど〜も CD ではワタクシの求める方向の趣味性が高くない「あ〜そういえばこんなのもあったなあ」程度の一発屋系(?)が多い⋯

そこいくとアナログのアルバムのほうは、おっ!こっち系が好きなひとには喜ばれるかもな?てなのが混じってますよ。ワタシゃ買わないけど。
それでもちょと「これならあってもいいな」ちゅうの見つけましたから一枚だけ購入。
それ買って帰ったらまず音溝のゴミなど除去するためそれ専用のパックを塗って乾くのを待ち、ゆ〜くり剥がして行きますが、およ?意外と汚れが付いてきませんね。案外よっくケアされてた盤なのかもしんない。

そしたらそれを「まだ持ってる」レコード・プレーヤーで再生して MD に落としていきます。
いったん両面を流したあとから曲ごとの切れ目信号(?)を打ち込むと「完成」!
そう!そうやっておけば実際に聴くのには MD で再生するのでございますよ。
MD 化すると曲全体をシャッフル再生しなさい!ちゅうのも出来るし、あまり好きになれん曲は「コレいいから無視してその次の曲へトビなさい!」なんてのもカンタンですからねえ。そこらディジタルの良さ、っちゅうものでございましょ。

な〜んて書くとバカモン!アナログの良さが判らんのかっ!とユゲたててトツゲキしてくるロートル臭、じゃなかった衆、もいるんですが、ワタクシ音質どうのこうの言うより「その曲が好き」だから再生するんですから、そんな能書きはまったく不要なのでございます。

どころか、その取り扱いやら摩耗のキケンなんて考えたらアナログで買ってもすぐデータ化して、以降はデジタルで扱うほうが好き!

オーディオ・マニアだと、その辺ウルサいんでしょうが、ワタシはリスナーであるよりプレイヤーなので、微妙な指使いの差とかがきっちり掴めるディジタルのほーが好きですねえ。

⋯というようなことを書いた ↑ のは 2004 年でございますが、2023 年のワタクシはさらにデジタル化が進み(っちゅうより、MD が各メーカーでも放棄されてしまったせいもあるな)アナデジ変換のアプリ使って mp3 とかゆうフォーマットに変えて iPhone に入れております。
そ!いわゆるヘッドフォン再生用、ってヤツですね。

そ〜やって再生してるとオモシロいことにスピーカーから出したほうがいいナンバーとヘッドフォン向きだな、ってのにケッコウ別れるんですねえ。
つ〜か、その分かれ目ってのが意外と「えっ!これが?」ちゅうのがイメージと逆だったりして面白いですよ。
たとえばスピーカー向きだろな、思ってた Lazy Lester の Five Long Years がヘッドフォンだとメッチャいい感じでワタシ好みだったり、逆(ってこともないけど)に Albert Collins の Honey Hush はスピーカー再生のほうがイイ!
うん、Frankie Lee Sims の My Talk Didn't Do Any Good も意外とヘッドフォンでいい感じだったしな⋯

ちゅうとこで「もしや?」と思ったのはその楽曲の録音に参加してる楽器の数が多いのってスピーカー向きで、Lightnin' Hopkins の Austin City Limits での Rock Me, Baby みたいのもヘッドフォンで聴くと「さらにイイ」って感じる原因が「それ」だったりして⋯

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