Kitchen Sink Boogie

Brewer Phillips


2004-10-17 SUN.


この曲は 1972 年の Ann Arbor Blues & Jazz Festival でのライヴと、スタジオ盤の Hound Dog Taylor Natural Boogie( Alligator ALCD-4704 )に収録されたものがございます。
その勢いちゅうか「やっつけ」っぷりでいくと Ann Arbor でのもなかなかいいし、むしろ好き、てなとこもあるんですが、 しびあ〜(?)なかたがたからしたら、 ちょっとチューニングがルース、なんぞと言われそうなんで、今回はスタジオ版のほーで。

彼のテレキャスターによるメッチャ「接近」した感じの音は、リヴァーブを始めとする「空間系」を殆ど使ってないらしい、やたらとダイレクトなテクスチュアを持っていますが、さりとて、それが不快と言うことはなく、かえって別な次元(?)の音世界を対比させているようで、やたらリヴァーブ(どころか、それにプラス「ディレイ」やら「フェイザー」に「コンプレッサー」、さらに事もあろうに「フランジャー」まで使いたがるどっかのバカとはエラい違い⋯)などの付加機器の効果に頼ることなく自分の世界を作り上げてますよね。

モチロンこの Brewer Phillips、一般には Hound Dog Taylor の盟友として 1959年から 1975年まで、the HouseRockers のメンバーとしてサポートした存在として知られているのですが、それ以前には Roosevelt Sykes に Joe Hill Louis、さらに Memphis Slim とも交流がありました。
その Hound Dog Taylor との間にはタイヘンなエピソードがございまして⋯

当時 Hound Dog と Brewer Phillips は「仲が良すぎて(?)」なかなかタチの悪い冗談を言い合っていたらしくって、それはもっぱら相手の奥さんと「お前が留守の間によろしくやったぜ」みたいなジョークを(かなりタチ悪いジョークだよね)アイサツがわりにしてたらしいんですが、ある日、ムシの居所が悪かったのか、Hound Dog がいきなり、いつものジョークをクチにした Brewer にハラを立ててピストルで撃ってしまったのでした。
脚を撃たれた Brewer は当然 Hound Dog と交際を絶った(当たり前だよね)⋯
ただ、この件で Hound Dog がタイホされキソされ云々ちゅうハナシは出てこないとこみると、あくまでも脅すつもりで銃を向けたら「暴発しちまった」ちゅう「過失」ってことで起訴を免れたんでしょか?Brewer Phillips も脚の怪我だけですんでるから「事故扱い」???

なんにしても Brewer Phillips としてはアタマに来てるのはあたりまえでしょうから、そりゃもう Hound Dog には近づかねえ!いわば絶交!ってヤツだったんでしょね。
しか〜し、その Hound Dog の癌が悪化して死が近づいていることを知った Brewer はついに彼を見舞っております。ようやくの「和解」ということですねえ⋯
その和解の二日後、Hound Dog Taylor は還らぬひととなってしまった!

Hound Dog Taylor が亡くなった後は、ドラムの Ted Harvey ともども the HouseRockers として J. B. Hutto をフロントに活動を続けようとした時期もあったようですが、Hound Dog Taylor に比べると J. B. Hutto じゃ明らかに力不足で(ま、世の中にゃそー思わないひとだっているんでしょうが)結局、そのプランは実らなかったようです。

正直、それで良かった、と思うのはワタシだけでしょか?

試験的に、日記で採り上げた曲にサンプルのサウンドを付ける、っちゅー試みを行って来ましたが、ほとんどアクセスされていないようなんで( 4日間通算でも僅か 9 アクセス!しかも初日の Clarence "Gatemouth" Brown、Rock My Blues Away なんて、たった 1 アクセスでございました)、容量を喰うワリにはさほどの効果も挙げていないようなんで、こりゃ、ヤメたほーがいーのかもしれませ〜ん。
それにケンリ関係が絡んでくるとメンドーだしね。
え?いえいえ、どっからもなんにも言ってきてませんよ。だってそんな知られてないようですからね。
とゆーワケで、今日の Kitchen Sink Boogie にはサウンド・サンプルは「無し」。それに、これは Hound Dog Taylor のアルバムに収録されてて、ケッコー持ってるひと多そうだし。

逆に、これまでに採り上げた中で、これ、聴いて欲しいなあ、なんてのがタマにあるんで、そゆのをどっかに潜ませるってのを企んだほーがいいかも。
ま、どんな形になるのかはまだ言えないけど、サウンドは続けて行きます。
見慣れないマークが出現したら要注意ね。(ケッキョクその後もあまり利用されている形跡も無かったため、廃止しております⋯)

ところで ↑ の文中で J. B. Hutto の名前が出てきてますよね?
まったくカンケ〜ないハナシで恐縮なんですが、ワタクシ、アメリカ国内の各地をつなぐメッチャ長〜い貨物列車の「どっか」に飛び乗って無賃乗車で旅するっちゅうトレイン・ホッピングってジャンル(か?)の動画が好きでよく見てるんですよ。
おそらくいっちゃん遠いとっからってのじゃアラスカからシカゴまで六日くらいかけて走る貨物列車っての(動画で)見たことあります。
さすがアメリカ、めっちゃ広い⋯

あ〜、第一次世界大戦が終わったあたりのシカゴでの労働者不足の噂を聞きつけて南部から北上した黒人たちも「おそらく」このような貨物列車に飛び乗って、ちゅう旅をしてたんだろなあ、と往時を偲ぶ(ウソつけ!)のでございますねえ。
もっちろんその頃は「無蓋貨車」なぞももっと多かったんで「潜り込む」ポジションなども今とはかなり違ったんだろな、とは思いますが⋯

そうゆう動画を見てますと、とある運送企業のコンテナがやたら目に付くんですねえ。
なんで目に付くのか?ゆうと、まず「多い」ってのもありますが、そこには [ J. B. Hunt ] ゆうブランドが描かれておるからなのでございます。
え? J. B. Hunt ? もっ、もしや J. B. Hutto ゆうのが本名じゃなく、芸名をコンテナにインスパイアされてその名前にしたとか?と勢いこんで調べ出したら⋯
え? [ J. B. Hunt ] って設立が 1961 年?しかも Hutto のほうは墓碑銘にまで「ちゃんと」Joseph Benjamin Hutto って刻まれてるじゃん。レッキとした本名なんですよね。

とゆうワケで流通会社名からパクった芸名?ちゅう妄想は消えてしまいましたねえ。

ところで Hutto さん、初代 Hawks が破綻したあと葬儀屋にお勤めになられたらしいんですよ。
なんとな〜く彼のブルースに「覇気がない」と感じちゃうのはもしかしてそのような職業経験のせいでは?な〜んて思いかけましたが、それってここらで目にする葬儀社のかたがたの地味ぃな様子から思いついただけで、アメリカでの葬儀屋さんってのが「それと同じ、と決めつけちゃいかん!」のじゃなかろっか?とその不謹慎な連想もそこでオフっております。

まあ、結局は Hound Dog っちゅうトンデモなオッサンと比較しちゃうからパっとしない、とか辛気くせえ!なんて思っちゃうワケで、別にブルースマンってのがみんなメチャクチャなワケないですからねえ。

え?ワ、ワタシ? そ、そうですねえ⋯密かなメチャクチャ⋯かな?

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