Twilight Time

The Platters


2004-11-05 FRI.


今日のナンバーは、まったくもって異色でございましょ?
え?それほどでもない?
なははは〜、ふだんがふだんですからねえ、ちょっとやそっとじゃ驚かないか?

ワタクシ、ブルースをはじめとする「黒人音楽」を「意識して」聴き始めたのが 1960 年代の末からで、そっからは次第に聴く対象も昔に遡り、遂に 1920 年代まで行っておりますが、モチロン、そのよーな自分が生まれる前の(ん?ダレだ、もー生まれてたんじゃねえのか?なんて言ってるのは?)ブルースなど、リアル・タイムで聴いていたワケもなく、すべて「後で知ったものばかり」なワケなのですよ。

ところが、まだブルースやらブラック・ミュージックなどとゆー「概念」すら知らぬ「がんぜないガキ」の時に、まさにリアル・タイムで耳にして、実に小学校の 4 年生にして、「ああ、なんて素晴らしい曲なんだ!」とトリコになっておったのが、この The Platters の一連のナンバーであったのでございます。

当然のこととして、当時は歌詞のイミなど判るワケもなく、それでもその曲名、「夕陽に赤い帆」と聞けば、夕陽に赤く染まる真っ白な帆を張ったヨットを思い浮かべ、「煙が目にしみる」と聞けば、そうそう、カマドに火を点ける時(いつの時代だ!)、くすぶってると、あの煙、目に来るんだよなあ、なんて、ときにはまったく見当違いな誤解などしつつも、それらのナンバーはココロに染み込んで行ったのでございますよ。
時は 1958 年か 1959 年、まず触れたのはその Smoke Gets In Your Eyes で、これは二軒隣にいた親戚の「洋楽に詳しい」お姉さんが聴かしてくれたものです(電蓄ってヤツですね)。

それを聴いたワタクシの反応をみて、コイツは脈がある、と思ったのかどうか、次に聴かせてくれたのがこの Twilight Time で、題名が「たそがれどきの、空が金色に変わっていくころのこと」というのも教えてもらったのですが、ゆっくりと歩むような速度の「煙が目にしみる」よりも、この流麗な Twilight Time のトリコとなってしまったのでした。

そのせいかどうか、「歌う」ということに意識が行き、それまで、小学校の音楽の時間でも、いいかげんに歌ってたものが、ちゃんとメロディをイメージして「丁寧に」歌うようになったらしく、それまではそんなこと言われたこともなかったのに、当時の担任、K 先生に、「君はとてもいい!合唱部に入りなさい!」とスカウト(?)されてしまいましたっけ。
オトコのコはワタシともひとりで、あとぜ~んぶオンナのコってえ状態となったのでしたが、まだ幼かったワタクシは(こら!そこ、笑わない!)、その恵まれた(?)カンキョーのイミも理解することなく、6 年生になって声変わりが始まるとともに、ヒッソリと身を引いたのでございました。

中学校では、熱心な音楽の先生がいたせいで古今の名曲を暗譜したり、と今のワタクシにはな~んの貢献もしてないよな脇道(え?クラシックが「王道」でこっちが外道だ?フン!)に迷っていた時期で、それでもポピュラー好きな級友たちと「今週のベスト・テ〜ン!」なんてのを作り合って遊んでおりましたが。

高校でこれまた新しい「洋楽好きの」級友たちと出会い、そこで再会(?)したのが懐かしい the Platters のメロウな歌の数々だったのです。
そして、すでに英語の教育も受けて来てますから、多少の歌詞のニュアンスは理解できる「こともある」てな程度(?)にはなっておりましたゆえ、あらためて惚れ込んだのが、この Twilight Time でした。


Heavenly shades of night are falling; it's twilight time
天国の帷(とばり)が夜を地上にもたらす黄昏どき

Out of the mist your voice is calling; it's twilight time
霧の向こうから貴方の呼ぶ声がする黄昏どき

When purple colored curtains mark the end of day,
I hear you, my dear at twilight time

紫紺の闇が今日の終りを告げる、そう、黄昏どき

これは例によっての強引な意訳ではございますが、当時は、なんて美しい歌詞なんでしょ!と感動した記憶がございます。

あ、当時はまだワタクシ「純真」(またまた爆笑してけつかるな?)でございましたので、もっとマジメに訳しておったとは思われますが。
そして月日は流れ、純真だった(ことにしちくり!)少年もいつしかススけ、夢見る頃も、人生のなかばもとうに過ぎて、悔恨の涙にくれる夕暮れ(ウソです)、黄昏の黄金のとばりが遠いあの日を甦らせてくれるのでございます。 1944年、Morty Nevins と Al Nevins の作です。

と流してオシマイでもいいんですが⋯そう!ご存知の方もおられるでしょうけど、この曲って実はアメリカ映画「誇り高き男」のテーマ曲 The Proud Ones を演奏していた The Three Suns のナンバーでして、当初は歌詞のない、完全なインスト・ナンバーだったんですねえ( 1944 )。
それに Samuel "Buck" Ram とゆうユダヤ系の音楽プロデューサーかつ作詞家がプラターズのために(?)歌詞をつけてくれたのが 1958 年の大ヒットとなったものなのでございますよ。

てなワケで、本日はちといつもとちゃうセンで行ってみました。

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