Somebody's Watching You : 2004-11-24 WED.
1969 年 5 月 3 日にリリースされた Sly & the Family Stone の 4 枚目のアルバム、Stand!こそ、彼らの前半(?)におけるコンセプトおよびサウンドの両面でのブレイク・スルーだったのではないでしょうか。

There's a midget satanding tall
And the giant beside him about to fall

という一節がとても印象的だったタイトル・チューンの Stand! をはじめ、これまた
Make your prices,
I wanna take you higher

でお馴染み、(そして B.J. Emeryと Maurice John Vaughn が共演したイタリア盤でも採り上げてましたねえ。いささか「なん」でしたが⋯) Higher、さらには
Living' with a fat one, tryin' to be a skinny one
Different strokes, for different folks

という全米チャートおよび R&B チャートの「両方で」 1 位をとった Everyday People などの、まさに彼らを代表するような名曲が勢ぞろいしています。

しかし、後の Greatest Hits(まだアナログ・ディスクの 1971 年の発売)や Anthology( CD化されてからの同様のアルバムですが、当然、1971 年以降の作品からも選抜されております)にも収録されてはいない、きわめて重要なナンバーがそこには存在しています。
Higher にしても Stand にしても、もちろん「自分を見直せ、前向きになれ」というメッセージで溢れており、それは人権法案が法制化されてからだってやはり差別され続けている黒人たちを力づけ、反ヴェトナム戦争を唱える反体制の活動家にも「小人たちが立ち上がり、その横では巨人が倒れる」ことを夢見させる、という、なんにせよ「圧力下にある」者たちへの、ある種のアジテーションでもあり、一方では Everyday People の

黄色いヤツは黒いのが気に入らない
黒は赤いのが気に入らないし
赤は白いのが気に入らない
歩みが揃わなくても
違う人種だ、と感じても
それでもいいじゃないか

という、「違い」の上での「共存」を呼びかけて、ま、それだからこそ Pop と R&B の両チャートを制したのでしょうが、っちゅうナンバーもありいの、というこのアルバム、その中にあってひときわ異彩を放つナンバーがあります。

それが Don't Call Me NIGGER, WHITEY です。

互いの「憎悪の貨幣」として流通している「蔑称」を「並立」させることでそのナンセンスさを際立たせていますよね。
このフレーズには、そのカウンターとして Don't Call Me WHITEY, NIGGER という答えが後を追い、そしてまた最初のフレーズ、という無限連鎖のようなロンドが続いて行くのですが、もしかしてそれらの無益な応酬の合間でコトバを持たずに繰り広げられるワウ(ワタシは、これワウじゃなく、例のスピーカーからの音が送られてくるホースをくわえて、ヴォーカルをとるみたいにマイクで拾うアレだと思うんだけど)系のギターが、それこそコトバにならない声を上げているような気がします。
はたして、この曲がアメリカでどのように受けとられたのか?を一概に言うことは難しいでしょう。たとえば白人にしても、差別して当然だ、なんて思っているガチガチのトンチキと、黒人の差別撤廃デモに積極的に参加しているような、黒人に対する「理解ある」白人との間には、ものすごい開きがありますよね。
さらには黒人にしたって、差別されても構わん、なんてのはいないと思いますが、なるべくマイルドに生活が改善されてってくれたらそれでいいや、なんてのはいそうですし、一方には、武闘派とも言える差別撤廃をジャマするヤツは白黒問わずいてこましたる、なんてラディカルなのもいるワケです。

この曲はいったいどんな波紋をもたらしたのでしょうか・・・
日本で暮してたワタクシなんぞにはとても想像も出来ませんわ。

ところで、この年、どんなことがあったか、ってえのを音楽カンケーをメインに拾ってくと、1 月末には例のイギリスの四人組が屋上でライヴやって「お苦情」でストップ⋯ってダジャレはいかんぞう。
3 月のアタマにゃドアーズのジム・モリソンがマイアミでのライヴで XXXXを露出してタイホされてます。ホント無益なことを・・・
あ、音楽じゃないけど、この Stand! が出た 5 月の後半にはヴェトナム反戦デモに州兵のヘリコプターが上空から皮膚をシゲキするスプレイを散布しています。まだそんなことをしてるのね。あ、この頃の大統領は「あの」ニクソン。
8 月15日には伝説の Woodstock!ついでだから、出演者のリストでも、と思ったけど、メンドーなんで、知りたい方はこちら へ。

また、この年のヒットは、ってえとフィフス・ディメンションの Aquarius や、Meters の Cissy Strut 、ツェッペリンは Good Times Bad Times 、ストーンズでは Honky Tonk Women 、また Diana Ross & the Supremes の Love Child もあったし、C.C.R. の Proud Mary もそうです。
アルバムでは Aretha Franklin の I Say A Little Prayer がこの年ですし、「アビー・ロード」もだし、クリームの「グッドバイ」、「クリムゾン・キングの宮殿」、マイルスの「ビッチェズ・ブリュー」なんてのもこの 1969 年でした。
やはり、こうして見てくると、同時代の音楽の流れの中で、やはりこの Sly & the Family Stone の Stand! は「かなり」異質ですよね。

ところで、このアルバムの中でワタシが一番好きな曲ってのは、上に記したどの曲でもなく、実は Somebody's Watching You でございます。

ちょっと薄曇りでしたが気温はさほど低くなく、自転車で走るにはちょうど良い加減でしたよ。いつもならクルマで行くよなところにも HARO F-1 でカっとばして行ってきました。
やはり汗だくになりましたが、キモチいいですよ。
この季節になると、自転車で走れそな日はとても貴重で、一日たりともムダに出来ないよな気がしますね。

でも確実に「雪」は近付いています。

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