Sometimes I'm right, and I Can Be Wrong : 2004-11-27 SAT.
1969 年の Stand! ( Epic 26456 ) から 1971 年の There's A Riot Goin' On ( Epic 30986、ギターに Bobby Womack も参加 ) までの長いギャップを埋めたのは昨日の the Greatest Hits ( Epic 30325 )でしたが、そのアルバムだけに収録された「あの」三曲にしたところで、先行して 1969 年にはシングルとして既に発売されていたものですから、現実には「空隙期間」の中にあったことは変わりありません。

1971 年11月20日、しばしの休止(?)からひとつのアルバムが浮上してきました。
Luv N' Haight / Just Like a Baby / Poet / Family Affair / Africa Talks to You "The Asphalt Jungle" / Brave and Strong / (You Caught Me) Smilin' / Time / Spaced Cowboy / Runnin' Away / Thank You for Talkin' to Me Africa からなる There's A Riot Goin' On ( Epic 30986 ) です。

しかし、そこには紛れもなく、それまでの Sly & the Family Stone とは異なる「なにか」が混入していたように思います。
特に大ヒットであった Thank You Falettinme Be Mice Elf Agin のリメイクとも言える Thank You for Talkin' to Me Africa での変貌、そこに Sly の「変化」が見とれるのではないか⋯
明るく、無邪気に希望を持って、シンプルに周囲に語りかけ、きっと良くなる、という願いにも溢れていたかっての陽気な Sly & the Family Stone のサウンドが、ここでは鬱屈した暗い情念の中で、内省的なモノローグのように閉鎖した世界へと沈降してゆく重い絶望が圧倒しています。
1970 年代に入ると Sly は予定されていたコンサートを勝手にキャンセルするなど、マチガイなく彼の精神世界には「なにか」が起きていたのでしょう。
もちろん、それを彼の薬物依存症のせいにするのはカンタンです。ですが、それを「招いた」ものは一体なんだったのか?そこにはなにかしらの「絶望」があったのではないでしょうか?

かって Malcolm X はジョンソン政権下で「曲がりなりにも」成立した人権法案について、「人種によって差別することを誤りだ、という常識が定着するのならともかく、法案で差別を禁止することなど効果はないだろう」という趣旨の発言をしていましたが、まさに、その「予言」は的中し、アメリカは 21 世紀になった現在ですら、大半の白人は黒人たちを「対等である」とは見ていません。
むしろ、R&B チャートよりも全米チャートで評価された彼の作品ですが、それゆえに、ライヴに集まる白人の客も圧倒的に多かったことでしょう。
そして、そこで目の当たりにした自分のファンというもの、その実態(?)に触れたことがなにかしら、彼に与えた、あるいは彼を揺さぶったものがあったのではないか?ということも考えています。
もちろん、そんなことは本人でなきゃ判るこっちゃないし、あくまでも憶測でしかありませんから「うんにゃ違う!」ってえ反論はゴマンとありそうですが、ま、これはワタクシ個人のあくまでも「印象」でございますので、そこら軽くハナで笑って見逃してくださいませ。

この There's A Riot Goin' On ( Epic 30986 ) からは、それでも(それでも?) Family Affair が Luv N' Haight とのカップリングでリリースされ( Epic 10805 )、全米ナンバー・ワン・ヒットとなっています。そして、これが Sly & the Family Stone の最後の大ヒットでもありました(同じ 1971 年には Sly Stone 個人名義のシングル Woodcock 001、Rock Dirge Pt.1 / Pt.2 がリリースされているようなのですが、これは聴いたことがないのでなんとも言えません)。
この Family Affair のシングルは良かったのですが、アルバムとしての There's A Riot Goin' On は、そこに嗅ぎ取れる攻撃性、暴力的な側面、いえ、はっきり言うと「ブラック・パワー」という、白人にとっては忌み嫌うキーワードが見え隠れするように感じられたからでしょうか、これまで Sly & the Family Stone を支持してきた多くの白人ファンたちが、この作品から距離を置くようになったことも確かなようです。

ま、その大ヒットとなった Family Affair にしたところで、メイン・ヴォーカルは明らかにモノローグ化しており、メッセージ的なベクトルを放棄してますよね。
求心的なサウンドは出口の見えない迷路の中に舞い降りてゆくばかりで、そこから周囲を照らす光はもはや見えてこない⋯
これは、ま、ワタクシもそうでしたが、それまでのファンが期待していたものとは「かなり」違うワケです。
よーするに、Sly & the Family Stone というものが、これまで描き出して来た「こうあって欲しい」世界像というものに得られていた人種を超えた支持が、残酷な言い方をするならば、「愚痴なら聞きたくないね」、ということで支持を失ってしまった、とも言えるのじゃないでしょうか。
この「失速」がさらに一層 Sylvester Stewart の精神面に影を落としたせいなのでしょうか、1972 年になってからの彼の行動は次第にバンドのメンバーにまでストレスを与えるほどのものとなっていったようで、Stone ファミリーの分解が始まってしまいます。
1972 年にリリースされたシングルは Runnin' Away / Brave & Strong ( Epic 10829 ) と Smilin' / Luv N' Haight ( Epic 10850 ) の二枚ですが、それらのシングル・カットが世に出たころには、すでに Larry Graham と Greg Errico の二人が Family Stone から抜けて、代わりにベースに Rusty Allen が、そしてドラムには Andy Newmark が加わっています。

その Larry Graham を欠いた Sly & the Family Stone の初のアルバムが次の 1973 年の Fresh で、そこには、これまでのサックス Jerry Martini の名も見当たらなくなっていたのですが、それはまた明日ね。

今日はブルース・セッションです。

ギター、どれを持ってこうか悩みましたが、やっぱり Red Hot かな?
言ってみりゃ、これが基本で、その周囲に、よりアタック重視で、サイドでのコード・ストロークに向いてるサンバーストや、もろハムバッキングでナチュラルなオーヴァー・ドライヴが得られるブラック、ハード・テイルでスライド向けに弦高を上げてあるブルー、内蔵のアンプのおかげで( 006P 電池の続く限り)フィード・バックが楽しめる ST チャンプっちゅう 5 本のストラト・グループが構成されてるワケで、Red Hot の音のそれぞれ「ちゃう」ブースト版になってるのですよ。
んなワケですから、どれもミョーに過激で、どっちかってえと、曲ごとに取り替えて弾くのには向いてますが、当然ながらそれ一本でなんでもこなそう、ってのはキツいんですわ。
以前はクルマでギター三本とか持ってったんですが、最近じゃ一本だけ持って歩いてくもんだから、やはり Red Hot がいちばんいいのは確かですね。

さて、ではそろそろ用意しましょ。

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