The Higher the Price, the Nicer the Nice : 2004-11-28 SUN.
1973 年 6 月30日にリリースされたアルバム Fresh のレビューを二、三見てみたのですが、その中に、ワタクシをいささか愕然とさせるよなホメかたをしてるものがありました。
つまり、そのサウンドがブラック・ミュージック、中でも、ファンクとゴスペルに「回帰してきた」として歓迎し、高く評価していたのですよ。

う~ん、考えさせられますねえ。ワタクシ、しょーじき言うと、ファンクにもゴスペルにも(もちろん敬意は払いますが)それほど興味があるワケじゃなく、ただ 1960 年代末までの Sly & the Family Stone「だけ」が好きなワケでして、そんなとっからすると、逆に「そっか~、それでワシ、いまひとつ乗れねえんだな?」なんてナットクしちまう始末でございます。
ですから今回の連載の第10回、BassBase 600*でも書きましたが、James Brown なんて(もち、すげえおっさんだ、とは思いますが)ワタクシの音楽地図上には、そもそも「存在」しておりません。またひところ一世を風靡したらしい Brother Johnson(でしたっけ?)とかゆーのも「パス」でございます。そりゃベースのワザとか、グルーヴとか、おそらくかなり凄いのでございましょう。
ですが、どーも「また聴きたい!」にならないんですねえ。

それほど Sly & the Family Stone が提示した「うたかたの夢」にプレゼンスがあった、ということなんですが、どうもブラザー系の方々はそんなこと「どーでもいい」ことのようでございます。いえ、それどころか、たぶんクラブ・シーンを主体にした「ダンサブル」なことに価値をおくせいなのかもしれませんが、「それがどうした」的あしらいまでされとるようですよ。

さて、同じく第10回において、ワタクシ、「 Larry Graham 無しに Family Stone 無し」と断言してしまいました。
その意味で、この Fresh は、もはや Family Stone では「ない」のでございます。
したがって Sly & the Family Stone を追った今回の長~い連載もホントは「昨日で終り」、今日はもはや後日談と言うことになりますね。
実際、このアルバムのどの曲を聴いても、まるでもうなんだってどうでもよくなったみたいに投げやりでシニカルな、情けないヴォーカルを Vaetta の Little Sister が必死でバック・アップしているにもかかわらず、そのパワーが「すでに死んでいる」ことを覆い隠すことが出来ずにいるじゃあ~りませんか。
このアルバムはその意味で、There's A Riot Goin' On ではかろうじて残っていた「希望の灯」さえも遂に消えてしまった後の「抜けガラ」です。
とまあ、好きなことを書いておりますが、それはあくまでも、「 1960 年代までの Sly & the Family Stone 」至上主義に立つワタクシの偏見であって、逆に 1970 年代に入ってからの Sly を「これならよし!」と認めた方にとっては、評価が完全に逆転することでしょう。

1967 年の A Whole New Thing ( Epic 26324 )、1968 年の Dance to the Music ( Epic 26371 )と Life ( Epic 26397 )、1969 年の Stand! ( Epic 26456 )、そしてリリース時期こそ 1971 年ですが、このアルバムにしか収録されていない Thank You Falettinme Be Mice Elf Agin / Everybody Is A Star / Hot Fun In the Summertime を含めその収録時期は 1969 年だった Greatest Hits と、ここまでを「上昇期」、There's A Riot Goin' On からは「下降期」とする論調も目立ちますが、ワタシ個人としては、「上昇期(特に Thank You の全米チャート制覇を最後に)」の後、「なにか大切なもの」を失ってしまった「喪失期」と捉えたほうがいいんじゃないか?と思っています。
一見明るそうな曲調であっても、もはやそのヴォーカルは無残なまでに輝きを失っている楽曲ばかり、という彼の 1970 年代は、もはや過去の遺産で喰いつないでいるだけ、と言ってはあんまりでしょうか?

なんてキツいことを言ってますが、逆に言えばそれだけ 1960 年代の彼の音が画期的だった、ってことなんでしょね。

昨日のセッションではベーサーMがドラムのひとを連れてきてくれました。
やはり初めてのひとってのは面白いですね。ま、ヘタじゃ話になりませんが、昨日のひとくらいキチンと叩けると、とても新鮮で、ベンキョーになります。
ところでギターではタクロンがまたまた新兵器を投入です。ラージ・ヘッドのストラトですが、いつもどおりセッティングしてる最中に、「ダメだぁ~!」と引っ込めてしまい、いつもの Jazzmaster にチェンジしてましたねえ。
どうやら歪み具合が気に入らなかったんでしょか?ま、慣れてないんで、まだ音が作れないだけだと思いますよ。彼のことだから、そのうちモノにするでしょう。その前の Jazzmaster だって、最初はよく「なんじゃこりゃあ!」ってブーたれながら弾いてたもんでしたから。

あ、新兵器といえば、松宮選手!なんとバッカス(でしたっけ?)とかのクリスタル・ボディのベースなんですよ。ここんとこちょいちょい面白いベースで驚かせてくれてたんですが、まさかクリスタルとは!
薄~いグリーンの透明ボディは予想を裏切って(だってカチカチっぽいじゃん)けっこうヴォリュームのある低音の鳴りをしてたようで、誰だったか、総ガラスのヴァイオリン作ったひといたでしょ?その音がすんげえキンキンしてたのと比べると、(たぶん)アクリル樹脂の内部損失のせいなのか、そこまで固い音にはならないようです。
なりちゃん( G&L )と佐々木クンはテレキャスター系、そして板どんも今日は白ストラトでスタートでしたから( History は第 4 or 5 セットで出てきてました)タチバナ君とワタクシ(そして上述のとおりタクロンも持っては来てたものの⋯)と揃ってストラトっちゅう Fender 系が圧倒的多数のセッションとなりました。

え?ブルースは Gibson、それもセミアコだ?
そりゃあなたの好きなブルースマンがそーなだけでしょ。何度も言ってますが、ギターなんて Fender だろが Gibson だろが PRS や Parker の Fly、B.C.Rich の Bitch でもブルースは出来ます!
特定のギターが無きゃ出来ないブルースなんてウソっぱちだっ!

アメリカ南部のジューク・ジョイントで「現に」ブルースやってるおっちゃんたちは、Sears 通販の OEM のギターや安物の代名詞 Peavey とか、そんなんばっか使ってブルースしてるんだぜ(あ、それにいっちゃん近いのってダディ正井の Y 社製ソリッドかもしんない)。
ブルースやるならギターはこれでなくっちゃあ!という「妄想」は各自の自由ですが、それ、他人にも押しつけないでほしいな。
そこらカン違いしないよにね。

permalink No.950

Search Form