Mojo Workin'

Clarence "Gatemouth" Brown


2004-12-16 THU.


ワタクシにとっての The Best of "Mojo Workin’"、まさに究極の演奏ってのが、この Clarence "Gatemouth" Brown による Mojo Workin’ でございまして、やや離されつつも第二位が Frank Frost でしょうねえ。
それ以外のは「ど〜でもいい」ってヤツ。

その Gatemouth による 1995 年11月 9 日、ドイツは Stuttgart の Sudwestrudfunk の TV スタジオでの録画⋯ そ!DVD でございますよ。
スタジオとは言え、場内にはテーブルもあちこちに配され、いちおうステージ前はオール・スタンディングながら、飲物を置いとけるようにはなっております。
壁際には一段と高い回廊が巡らされてますが、そこにはテーブルと椅子が用意され、ゆっくりとくつろぎながら(?)ゲイトマウス翁のライヴを楽しめるっつーワケやね。
サイズ的にゃあ Blues Alley Japan のサイズを前後左右上下とも二倍にしたよなスケールでっしゃろか。

全10曲収録されている中で、この Mojo Workin' は Born In Louisiana に続くラストのナンバーでございます。
やはり TV 収録っちゅーせいか、じじ⋯うっぷす、翁、ちょっと「おとなしめ」じゃあ~りませんか。
これ、TV クルーが入ってなきゃ、こんな終始「にこやかな」お顔でやってるワケないよねー。

だって目黒じゃ客席をギロ!っとねめつけたり、かと思うと「天使のよな(?)」笑顔見せたり、といかにも「悪そう(あ、良いコのみなさんに言っておきますが、このおじいさんは「悪そう」なんじゃなくて、ホントに「悪い」おじいさんなんですよー。うっかり傍に近寄るとカミナリ落とされますから気をつけてね。前にもひとりカミナリを落とされて、かわいそうに、それっきり、アタマの上に毛が生えてこなくなったひとがいたそーです)」な目つきで場内を魅了(?)しておりましたっけ。

なんてなことはともかく、このドイツでのライヴですが、ちょっとザンネンなのがそのギターでございます。
あのノン・リヴァースの Gibson Firebird V じゃなく、Washburn HB35 なんですよねー。
一見 Gibson ES335~355 あたりと似通ったボディ・シェイプなのですが、そ、ホーンのマッスが Gibson とはビミョーに違うのよねん。ダイアゴナル・スプリッテッド・ブロック・インレイは 355 よりクドいし、その割りにゃあちょっと潰れ気味(?)のヘッドのバインディングはケチり気味ざます。
ヘッドのインレイはフローリッシュのシンプルなものです。
各パーツはモチロン、ゴールド・プレイテッドつー地味なんだか派手なんだか判断に迷うギターね。音的にはあまりセミアコ臭くないよな気もしますが、ま、ケッコー控えめな音量でばっか弾いておられましたので、アンプの初段で天井にアタマ打ってないせいか、さほどハムバッキング臭くもございません。

最初のはジェット・ブラック(かなり黒に近いグリーン)っぽかったんですが、途中で持ち替えたサンバーストも、まあ、だいたい同じよな音でした。
この Mojo Workin' ではそのサンバーストのほーを使っています。
目黒でも感じましたが、彼の左手の運指がやはり「もの凄~い」ユニーク!
テキサスの伝統なのか(んなワケないか?) Lightnin' Hopkins にも通じる長く細い指で、爪先近くじゃなく、モロ指の腹で「あんなんでよく押さえられるなあ⋯」と感心しちゃうよなフィンガリングしてるんですが、ワシらだったら中指で押さえたとこより上のフレットを薬指で押さえて、っちゅうフレーズでも、指を替えないでネック上を素早くスライドさせて弾いてるんですよ!

これはまあ、実際に見ていただくのが一番なんですが( INAK 6520-1 DVD C."GATEMOUTH" BROWN in Concert )ともかく、ワタクシのギターのジョーシキがここでもまたガラガラと音を立てて崩れて行きます。

Eddie Taylor を目の前で見たときの凄さ、ってのもあるんですが、それがどちらかってえと、さほど違うことしてるようには見えないのに、出て来る音が凄い!だとすると、Lightnin' Hopkins にしても、この Gatemouth にしても、なんと、演奏してるとこを「見ると」、えええ~?そんなことして弾いてるの?っちゅうまったくちゃう種類のショックなんですよ。
そんな爪でちゃんと押さえられるのかよ?とか、うげっ!水平にスライドさせてちゃうとこ押さえるワケ?なんで?どーして?ううう⋯ってショックなのよね〜。

なんにしても、シカゴあたりのギターの弾き方ってのは、ま、ギターの世界でのワールド・スタンダードからさほど逸脱してないよに思えるんですが、やはりディープ・サウス(?)のローカル・パワーでしょか、テキサスやらルイジアナあたりになりますってえと、時たま、なんつー弾き方しとんねん?てなのに遭遇いたしますね。 

さて、このライヴでのバッキングですが、このサックスのデブは毎回のよな気がするなあ。
Gatemouth 以外はキーボード、ベース、ドラム、サックスと全員白人なんですが、中でも、ドラムのまだ若そうなのが実によく健闘しております。Tight で Light で Shure!これですよ。ブルースのドラムはこうでなくっちゃあ!
Loose で Loud で Rough なバカスカ・ドラムにはウンザリですからねえ。
キーは G で 3 フレットにカポタスト。Gatemouth は右手の小指以外の全部の指を使って弾いてるよに見えますが、ま、ゼッタイと言い切る自信まではおまへん。
アンプはたぶん Fender の Twin Reverb でしょ。
ベースのおっさんが持ってるのはボディは Jazzbass っぽいけどヘッドがぜんぜんちゃいます。ベース・アンプは TRACE ELLIOT。

ただ、この Mojo Workin'、やたら短いんですよ。これってケツの 2 コーラスをトバしちまったんじゃねえの?っつー疑惑が消えませ〜ん。

ま、なにはともあれ、Clarence "Gatemouth" Brown 好きにはたまらん映像ですわ。

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