Crying Won't Help You

Tampa Red


2005-02-12 SAT.


1 月 3 日、It's Tight Like That 以来の Tampa Red の登場です。
オープニング、インテンシティのある(ま、場合によっちゃあ「やかまし!」なんて言われるかも?) Big Maceo のピアノでガツン!と始まるこのナンバー、その発端が暗示するがごとく、全編を通して Big Maceo のピアノが暴れまくっております。

録音日時が 1946 年 2 月19日となっておりますから、Big Maceo が卒中で右半身不随となってしまう少し前、ということになりますか。
ここでの彼のピアノときたら、もう向かうところ敵なし、ハジケきってるように思います。
こんなんが accompanist じゃ Tampa Red もたまらんよなあ。
だから聴いてると、もうギターが圧倒されっぱなし!

ま、確かにこの時期の Tampa Red のギターを「やや精彩を失いかけている」なんて評するひともいるのが判るよな気もいたしますが、でも、誰だってバックでこんだけパワフルでプレゼンスのあるピアノ弾かれたらギター(ま、ロックの世界じゃマーシャル二段積み ×4 なんてえ「天をも怖れぬバチ当たり」どもばっかですから、むしろピアノなんて影が薄いですが、この戦後すぐのころのブルース界じゃあ、ピアノの音量&音の厚さ、つまりピアノの単音ですら複数の弦で鳴ってる訳で、そこらがインテンシティの差になるんでしょうね)じゃあ勝てませんよ。

クレジットされてはいませんが、ヘッドフォンでモニターすると、確実に string bass 入ってますよねえ?Ransom Knowling でしょか?ま、若き日の Willie Dixon っちゅう可能性だってあるし、それとも 1930 年代末にクレジットされている(ただし probably っちゅうのがついてますが) Bill Gaither ってひとかもしれません。
ドラムは Chick Sanders。

曲自体の出来としては良くも悪くも Big Maceo のピアノが「全部持ってっちゃってる」よなとこがありますが、Tampa Red のヴォーカルそのものは Robert Nighthawk のものより滑らかに、「良く歌えて」いますよね。でも、それがイコール Nighthawk の出来を上回っているってことか?と言われれば、う〜ん、そこらちょっとビミョーなとこかもしれません。
確かにヴォーカルとしての「完成度」はこちらが優っていますが、そのことが「魅力」となっているかどうかは、かなり聴くひとの嗜好に左右されるように思います。
ただワタクシといたしましては、実はここでの Big Maceo のピアノが「好き」なんですねえ。

とかなんとか言ってますが、ショ〜ジキにぶっちゃけちゃうと、ワタクシ Tampa Red の曲ってケッコウ好きなんですが、彼のことを「ギタリストとして」はまったく見てないんですわ。
ブルースにおける「ギタリスト」のリストには入っておりません。
あ、ダメだ!とか、オレのほうがウマい!な〜んてことじゃなく、ワタクシが興味を持ちそなギターでは「まったくない」ってことなんですよ。
もっちろんワタクシなんぞ足元にも及ばないプレイヤーなんですけど、ワタクシ「こうゆうギター、弾きたいとは思わない」んですねえ。
聴いてるぶんには歌との整合性もあるしなかなかいいんですが、自分で弾くギターとしては「ほとんど興味が持てない」ってゆうタイプですね。

特にワタクシの場合、スライドっつったら Elmore か Hound Dog ちゅう「ラフなとこ」が好き(つ〜か、それしか出来ない、ってのが真相?)ですからね。やはり根が「お下品」なんざましょ。
やっぱミシシッピーのド田舎、トタン張りの掘っ建て小屋で夜な夜な騒ぐ、てなタイプのブルースに向いてるみたいよ⋯

さて、今日はこれから恒例のブルース・セッションでございます。
今日は久しぶりに Red Hot で行きましょ。
どうも Black MOSES( Blues After Dark トップページのテレキャスター)だと、なんでかプレイが「ワイルド」になるのね〜。
やっぱギンギンのハムバッキング・サウンドが原因なのかなあ?
案外、あのボディの角を丸めてないのがゴツゴツしてるってのが、なんかしら粗暴な弾き方を誘ってるとこもあるんじゃないか?ちゅうきはするんですが、たぶんそれって「ワタシはね」てなかなり限定的なインプレッションでしかないのかもしれませんから、大きな声では言えないよな気がします。

てなことはともかく、今日は「コツコツ」のフェイズアウト・トーンでメロウ(?)に迫ると⋯

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