One Room Country Shack

Buddy Guy


2005-04-01 FRI.


昨年の 10月16日に採り上げました Johnny Guitar Watson のヴァージョンとは、ちょっと同じ曲とは思えないくらいの違いでございますよ。

あちらは良くも悪くも、ある種パッパラパーな Johnny Guitar Watson ワールドで、まあ、どっちかってえと、殆ど深刻さみたいなもんは漂っておりませんでしょ?

そこいくと、この Buddy Guy の Vanguard でのアルバム、A Man and the Blues での One Room Country Shack は(とことわるのは、他にも Junior Wells とだけど Live in Montreux 、そしてワタシゃ聴いたことないけど Six String Frenzy とかって「蔵布団」も参加してるらしーこれもライヴでのヴァージョンがあるからなのねん)、こりゃもう、こってこての「ど」スローでございまして、ま、いささか Jack Myers のベースが小ウルサいものの Otis Spann の低音弦も利かせたピアノを全体に配して重心の低いダークなブルースを思いっきり演出してますねえ。
Fred Below のブラッシュ・ワークによる「三倍速(?)」ドラミングが独特なプレゼンスで空間を埋めておりますが、それが意外と煩くないんですよ。

CHESS を後にした 1968 年での録音(ただし手元にあるアナログ・ディスクの Date を見ると、アルバムがリリースされたのは実に 19 年後の 1987 年みたいですねえ)で、全体にどん臭い(なんて言うと、またまた叱られそうだなあ)CHESS での作りとは対照的に、ここ Vanguard では、特にスロー・ブルースで感じるのですが、とことん洗練された方向に振ろうとしたんじゃないでしょか?

この後の Hold That PLane なんかにも同じことが言えるんじゃないか、とワタクシは思っておりますが、 Junior Mance なんてピアニストを起用したり、Herbie Hancock の Water Melon Man なども採り上げるなど、そこはかとなくジャズのテイストを持ち込もうとした形跡が見られますよね。

とは言え、この One Room Country Shack での最大の貢献者はピアノの Otis Spann かもしれません。全体としちゃあジャズっぽい流れにありながら、彼のピアノはどこか芯のところで強靭なブルースの粘っこさを見せて、観念的になるのを防いでおる、と。
ま、それ以前に、Buddy Guy のヴォーカルそのものがモロ、ブルースである、と言えるのではございますが。

その Buddy Guy も最近の日本のブルース・サイトのみなさまにはメッチャ不評なようでございまして、東京にいても彼のライヴにゃ「行かない」なんて言う声が聞こえてまいります。

スゴいですねえ。ま、東京にいて、いろんなライヴが選び放題なみなさまには、もはやなんのありがたみも無いってことなんでしょう。

別なとこでも書きましたが、それがふんだんにある地元では、さほど重視されてない、なんてものイッパイありそうですね。
だって弘前にゃ毎晩、津軽三味線のライヴやってる民謡ライヴ・ハウスが三軒もあるんですが、ワタシゃ滅多に行かないもんなあ。
ま、日頃、酒を呑むっちゅー習慣がないんでよけー夜は出歩かないし、そゆとこで奏でられる、いかにも、な津軽民謡(しかも、民謡とブルースは共通したものがある、なんて言う浅薄な「思い込み」はま〜ったく無いもんで)自体にそれほど共感できないこともあるのですが、「それ」のマニアからすりゃ、せっかく津軽にいるのにもったいない!ってことになるんでしょね。

でもね、能書きで武装したファンダメンタリストどもにはどうか知らんけど、Buudy Guy のライヴに来るのはブルースのマニアの何倍もの「 Buddy Guy が好きなひと」あるいは「興味あるひと」なんだよ。
しのごのリクツばっかエラそうにぬかしくさってるアタマでっかちなブルース・マニアより、ひたすら喜んでくれるバディ・ガイ・マニアを大事にすんのはあったりまえだろ。

バディ・ガイじゃイヤだ!ゆうんなら誰がいるんだよ?
呼んでくる以上、ギャラ払わなきゃいけないし、現場じゃ経費もかかるけど、そのブルースマンの自尊心に見合うカネ払って、しかもチケットがバンバン売れて経費まで「ペイする」ってなの、誰?

ブルースマンを呼ぶ、ってのは営利企業がやってんだから最初っから赤字になりそ、ってのは対象外なんだよな。
ニホンのフアンがどれほど高く評価してようと、それと動員できそな人数はカンケ〜無いの! マニアからの評価イコール動員可能人数なワケないだろが。

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