Rainy Night in Georgia

Brook Benton


2005-05-16 MON.


真打ち登場(?)ってとこでしょか。
Amos ちゃんや Otis Rush も採り上げている「名曲」の元締め(?)でございますよ。
以前 Ray Charles の Georgia On My Mind のとこでも触れましたが

Hoverin' by my suitcase
Tryin' to find a warm place to spend the night

ってえ、この唄い出しで、もうグっとくるものがありますねえ。
なんたって

Heavy rain fallin' ...

の中で佇んでいるんですからねえ。
「君が呼ぶ声が聞こえたような気がした」というこの孤独。
もうどこもかしこも濡れそぼって

It seems like it's rainin' all over the world
I feel like it's rainin' all over the world

という描写の的確さ。
まばゆいネオンの中、バスやタクシーが夜の向こうへと消えてゆく街角、遠くからは列車のきしみが聞こえてこの夜の惨めさを演出する⋯

Tony Joe White の作になるこの曲、もちろん Rhino の ALL ABOUT SOUL などの V/A ものにも多く収録されておるのですが、市内某スーパーのワゴン・セールで 900 円で売っていた、別な V/A には、なんとこの Brook Benton の唄う Rainy Night in Georgia の「完全にちゃう」アレンジのが収録されておってビックリしたものでございます。
これって、なんでワザワザ入れなおしたんでしょ?
どーみたって、このオリジナル、かなり完成度が高いし、これ以上いじりようが無いと思うんだけどなあ⋯
ん?まさかそれがオリジナルってことはないよねえ? Discography とか見ててもそんな記述には出会わないしね(ま、辿り着けなかっただけかもしれませんが)。

まあ、それにしてもこの曲の「作り」の巧いこと。
オープニングのオルガンとギターから、ゆったりとした唄い出し。
途中から滑り込んでくるストリングスやリリカルなピアノ、次第にビートを強めるドラムにかぶってくるメロディオン(だと思うんですけどね。これもクロマチックだったりして・・・)が孤立感を際立たせてサビの高揚に向かって次第に切迫してゆく。
かって、これを唄いたい、ってひとがいて、ちょっとサラってみたことがありますが、ギターシンセでメロディオンの音をトライしたりもしましたが、やはり、他にストリングスにオルガンにピアノ、と「詰めて」かなきゃなんないパートが多過ぎてタイヘンでしたねえ。
ま、はっきり言って、このバッキングはスタジオ・ミュージシャン・グレードですから、普段、自由奔放にラフなブルースばっかり弾いてる面々がちょっとくらいガンバったって、「歯が立つ」よなもんじゃあございません。
資料によるとバッキングしたのは 1968 年に Baton Rouge で結成されたバンド the Cold Grits でメンバーは Bill Carter のキーボード、Jimmy O'Rourke のギター、Horold Cowart のベース、Ron Ziegler のドラムとなっています。バンドとしては 1971 年に解散してるんですね。
とゆうことでストリングスなどはあとから追加してるのかも⋯
それにしてもこのストリングスでグンと完成度がアップしてるような気がするね、

なんたってストリングスにしたって、「おとなしく」和音を流してるんじゃなく、一体となって「動き」、それがまたひとつのメロディ・パートとして活き活きと歌っているんですから。
ま、そんな意味でも、ある種「かなりブルースから遠いとこ」に位置する曲なのかもしれませんが(確かに、この曲を、狭いジューク・ジョイントなどで演奏し、それをまた近所から集まってきてる常連が「おとなしく」聴き入ってる、なんて図、ちと想像し辛いよねー)、でも Otis Rush がこの曲を採り上げたキモチは判るよな気がいたします。なんたって、ホントによく出来た曲なんですから。

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