Bad Love

Luther Allison


2005-06-03 FRI.


2003 年 9 月 9 日に採り上げた Soul Fixin' Man がタイトル・チューンとなっていたアルバム、Alligator ALCD-4820 Soul Fixin' Man (ドイツ RUF 原盤ではアルバム・タイトルはこの Bad Love )に収録された、もろスローの「泣き」のギター(?)こってこてのナンバーでございます。

I'm Tore Down を思わせる「弾む」リズムに乗せて軽々と唄い上げる Soul Fixin' Man とはうってかわった「しんねりむっつり(?)」ぶりでございますが、この曲がドイツでも、また日本でもタイトル・チューンとなったのって、ちと判るよな気がいたします。
おそらく、ヨーロッパでも、あるいはここ日本でも、Luther Allison っちゅうと、そんなふうなこってこてのギターを「期待」する向きがそんだけ多い、っちゅうことじゃないでしょか?

Dm からのヘヴィなマイナー・ブルースでございますから、そこら当たりがお好きな方にはもう「猫に鰹節」状態(?)でございましょう。
バックには Memphis Horn が入って、ちょっとだけ Little Milton の Waiting For みたいなとこもございますが、向こうはさすがに「ソウル・グレード(?)」らしく、もっとスマートに、かつ、より扇情的(?)メランコリックな演出もバッキングのクオリティもさらに上を行っておりますが⋯

ま、この Luther Allison の Bad Love では、彼のギター自体が暴れ過ぎ(?)なとこに持ってきて、サイド・ギターの James Solberg のリフがハンパに「粗く」、いささか耳障りだったりもするもんで、そこらが逆に「ブルースだなあ」てなもんですが(?)、でも Luther 君は案外、もっとドラマチックにしてみたかったのかも⋯?

ただ、それを目指すには、彼のヴォーカルが「あまり」ディープではない、ってあたりがネックになるかもしれませんが。
したがって、その意味でも、やはり Soul Fixin' Man みたいなナンバーの方がホントは向いてるのかもしんないなあ、なんてことを実はヒソカに思っております。

バッキングは前述のサイド・ギターの James Solberg を含め、Soul Fixin' Man の時とまったく同じで、オルガンと Fender Rhodes が Ernest Williamson(言うまでもなくどっちかが後からのオーヴァー・ダブなんでしょうが、どっちか?と言われても判りましぇ〜ん!)。ベースは Dave Smith(ちょいヘボい?)、ドラムは Jamer Robinson でございます。

Memphis Horns は Wayne Jackson(トランペット&トロンボーン)、Andrew Love(サックス)ね。
あ、ついでながら、この Bad Love は Luther Allison とサイド・ギターの James Solberg の共作、となっております。
あの E.C. にも同じタイトルのナンバーがありますが、もちろんちゃう曲でございますよ。

ワタクシなぞきわめてカゲキな危険思想「音楽業界の関係者の稼ぎを保証するための音楽なんて滅んでもいい!」の持ち主ですから、どんどんダウンロードできる楽曲が増えてってるのもあったりまえ、思ってますよ。

自分の音楽の才能じゃなく、才能があるヤツを嗅ぎ分ける能力を使って「コイツでひと儲けしよう」なんてゆう寄生虫が「音楽産業」の根幹を為しているんだからシステムが風穴だらけになって青息吐息になるならそれはそれで「ザマミロ」てなもんだ、思っておりますが。

もっともその過渡期じゃ旧来のシステムに依然として縛られているミュージシャンが多いでしょうから、そゆひとたちが「どうやって喰ってくのか?」ちゅうモンダイがしばらくは解決されずに混乱をもたらすでしょうけどね。

確かに極端すぎる考えでしょうけど、そもそも自分の音楽をカネに替える、それで生活してく、って姿勢がワタシにしたら「すでに業界の悪弊に精神まで汚染され尽くされておる!」ってことになるのです。 
無論、それが「産業として確立される以前であっても」王侯貴族によるパトロネージを享受して「生活に追われる苦労から解放されて数々の楽曲を生み出した」とゆうことは出来るでしょうけど、でもそれって「結果論」でしかないよね。

とまあ、そのようなカゲキな考えに至ったのは、ブルースとゆうもののオリジナルってのを辿っていくと必ず立ち現れる「記録としては現在は残っていないけれど」とゆう「伝聞」の霧⋯

結局、近代の音楽の歴史なんて、どしたって残された「録音」という物理的な遺産を手掛かりとしている以上、録音には至っていないけれど、当時の真に革新的なムーヴメントを産み出したほんとうのイノヴェーターに肉薄なんて出来るワケはありません。

ロックンロールの始祖は誰か?なんてケッキョク、録音という物的証拠をいくら摺り合わせたって答えは出ないよ。
一応の決着は「史上初のロックンロール演奏を録音して販売されたのはコレ」ってことでつくかもしれないけど、この世で最初に「そうゆう演奏を産み出したのは誰か?」という「もっと大事な疑問」に対する答えじゃないよ、それ。 
なんでそれを「よく知られたミュージシャンのひとり」におっかぶせようとするのかねえ。 単に「浮上させた」だけなのに!

その浮上させたことが偉大なのだ、ってのが寄生虫どもの「拠り所」なんでしょう。

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