Live On and Sing the Blues

Byther Smith


2005-06-21 TUE.


なんと、ほぼ二年ぶりの登場でございますねえ。
あの Money Tree の Byther Smith の歌う、モロな(?)スロー・ブルースでございます。

ところで前回の Money Tree、ワタクシ、いま読み返して「しまった!」と思ったのですが、あれって、1985 年に Grits に新たに録音しなおして、しかし国内では販売されずに 1988 年にようやく Razor からリリースされたアルバムに収録されたテイクのことで、そのオリジナル、おそらくシングルのヒット(?)の勢いで押し切ろうと 1976 年にアルバム一枚分録音したハズなのにケッキョクついにリリースされることなく闇に消えてった(?)幻のアルバム以前に、これも同じ BeBe から発売されてその EP( 45's Single : カップリングは So Unhappy )が一部のコレクターには知られるようになったオリジナル Money Tree の方ではありません⋯っちゅうことを入れとくの忘れてました。
ま、どっちも基本は同じ(っちゃあ大雑把すぎるんだけど)なんですが、全体のスピード、細部のアレンジメントはモチロン違っておりまして、ま、そこらは今さらそんなこと言われても、その Money Tree / Byther Smith なんて手に入らんでしょ、と言われればそのとおりなんで、そこを突っ込んでもなんの役にも立たないと思いますからヤメときましょ。

ところで、これまた蛇足ではございますが、はるか昔、the Blues の日暮氏からいただいたシングルの中に(レッド・ツェッペリンがバッキングしてんじゃないの?っちゅう壮絶な Somebody Loan Me A Dime なんてのもありましたっけ。例の Seventy Seven ですよん)、まったく同じタイトルながら、こちらはパッパラパーっぽい「おねえちゃん」たちの陽気なコーラス

So much money, money tree !

ってえのが入ったのがありましたが、「それだけに」よけい Byther Smith の印象が、より「シビア」寄りに感じられたものでございました。
で、さらに蛇足をかさね、ヘタすりゃ百足なみではございますが、Money Tree ってタイトル、確か C&W 系の the Carlisles とかゆーのも演奏してるらしいんですねえ。
ただ、そちらはサンプルででも聴いたことはないのでどんな曲なのかはさっぱり判りません。

⋯なんて、今日のブルースとはあましカンケーないあたりでだいぶ使っちゃいましたね。
その Money Tree の 1985 Ver.とともに Housefire Bullseye 9503 に収録されたこの Live On and Sing the Blues、典型的なスロー・ブルースでございます。
ま、 Buddy Guy の First Time I Met the Blues ( at Radio City )を「スロー・ブルース」と言うときの「スロー・ブルース」でございますよん(⋯なんて言うと、「あんなのブルースじゃねえ!」なんてブルース・ファンダメンタリストからのカゲキな御発言も飛び出してくるかもしれませんが、そんなこと言い出したら、じゃ、どんなのが?って名前を出してもらっても、それにまた別なツッコミが入るに決まってますよね。ま、よーするにそんなこと言い出したらキリが無いのよ)。

どうもジャケットの「お写真」を信じるってえと、ローズウッド指板の Stratocaster をお使いのようで、歯切れの良いクリアーなギターは白人どもにゃウケなさそうだけど(なんでか、白人の考える「ブルース・ギター」って最低でもハンパに「歪」んでないとダメみたいですからねえ)、ワタクシ、この手のシラ〜っとしたギターって意外と好きなんですよ。
クールで、でもなにか底に秘めているよな「シラ〜」なんですけど。

いや、熱けりゃいいってもんじゃありまへん(って、もしかして、今日の弘前のバクレツな暑さのせいで「この選曲」っちゅうウワサもありますが⋯)。
それにはこの曲の歌詞をところどころ聴き取れたとこじゃ、

I Lost Every thing I Love in the World・・・

という一節でも判るとおり、母を生まれてすぐ失い、父もその後すぐに、さらに愛する姉を火災で失った、などという内容が続きますから、ま、それじゃ、こんな抑えたトーンで曲が進むのも当たり前だよなあ、っちゅう気はいたしますね。
そして、その、やや内向的な世界に、このギターのトーンは良くマッチしているように思います。

あ、ところで、彼って最初はベースだった、ってえのは前回に書きましたが、ギターは「いとこの」 J.B. Lenoir から習った、としている Biography もありました。
ただし、江戸川スリムさまのおっしゃっておられた、彼らの言う「あいつとオレはいとこだ」ってのが、「とんでもなく遠い」親戚だ、っちゅう意味で使われる場合が多いらしいので、日本で言う「いとこ=三等親」てのとはだいぶちゃうのかもしれませんが。

上ではシングル盤なんて持ってるひとあんまりいないよね〜てなこと書きましたが、現在( 2023 年)では YOUTUBE でそのシングルが聴けます。
よかったら下のリンクからどうぞ!
Money Tree / Byther Smith

もしそれが消えてても Byther Smith Money Tree で検索すると出てくるハズ。

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