Hydramatic Woman

Joe Hill Louis


2005-11-13 SUN.




昨年 2 月15日の We All Gotta Go Sometime 以来ですから、これまたずいぶん間が空いちゃいましたねえ。

このナンバーもまた昨日の Pinetop Perkins 同様に Sam Phillips カンケーでして、SUN になる前の Phillips レーベルで 1950 年に吹込まれた、としている資料もありましたが、これが収録されている Varèse Sarabande Records では、その吹き込みを 1953 年、としております。

もし Phillips レーベルだとしたら、というか Phillips という名前がつくシングルで Joe Hill Louis と言えば、それは Gotta Let You Go / Boogie In The Park で、それは確かに 1950 年なのですが、もしかするとそれと混同しているのかもしれません。
なお、その頃の Phillips レーベルは 1952 年 3 月 1 日にスタートする SUN に先行するマイナーなレーベルでしたが、SUN 発足後 1958 年 1 月 1 日にはそれとは別に、子会社 Phillips International を作りそこからは 71 枚のシングルをリリースしていますが、そちらは Bill Justis など、非ブルースが主体で、もちろん Joe Hill Louis が録音した、という記録はありません。

⋯なんて、そんなことはともかく、Pinetop 同様、この Hydramatic Woman、SUN ではリリースされてないのですが、これも資料によっては Sam Phillips が Joe Hill Louis との「契約そのもの」を RPM-Modern に売却してしまったせいだ、としているものがあります。
なにしろ 1951 年に録音した Jackie Brenston の Rocket 88 が CHESS から発売されるや、たちまち R&B チャートの 1 位を獲得してしまったもので、それが Sam Phillips の注意を「ブルース系」から逸らしてしまい(?)、さらに 1953 年にはプレスリーと出会ってしまうワケで、それ以降は特にロカビリー(?)への傾倒を強めていくワケですから。

いささかプリミティヴと言えなくもない、シンプルでベーシックなブーギは、ハープに Walter Horton を迎え、他にはドラム、ピアノ(そして、あまりよく聞こえないけどもしかするとベースも?)をバックにつけて、ここではまったく One Man Band ではありませんが、バンド化したがゆえか、いっそう混沌としたエネルギーが感じられて、あの Maxwell Street 系の Money Taking Woman みたいな猥雑なパワーに溢れてて「いい」ですねえ。

ところでこの曲名の Hydramatic って単語は(たぶん)合成語でしょうね。
あの九つのアタマを持つ悪ワル〜い蛇ヒドラとドラマティックを無理やりくっつけた造語でしょか。






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