Slow Draggin'

Wild Jimmy Spruill


06-01-15 SUN.




昨日の Lightnin'のギターを聴いてたら、なんでか連想しちまったのが、この Jimmy Spruill のギターでございます。
とは言っても、なんたって「Wild」がつく Jimmy Spruill ですから、弾きまくってるとこじゃかなりちゃうんですが、この曲みたいな「ダラダラ(?)」のナンバーじゃ、どことなく相通じるものが⋯なんてこと言ってるのワシだけだな、きっと。

この Slow Draggin'は前回の Scratch 'N' Twist とカップリングとなって 1961 年に EVERLAST 5017 としてリリースされたナンバーで、どちらかと言うとバリバリに弾きまくる曲が多い彼としては、ちょっと違ったスタンスの「聴かせる(?)」タイプのインスト・ナンバーを目指したんでしょか?

どっかで聴いたことあるよなフレーズと、これまたどっかで経験したよなメリハリのはっきりしたリズムは、しかし以後の the Shadows なんていうギター・ポップス(?)のバンドの音のようなスムースさとは縁遠く、なんとなくですが、ホントは暴れたらめっちゃコワいおっさんが「くつろいでる」ふうに聞こえますねえ。
てなことはさておき(?)、この Wild Jimmy Spruill の持ってるワケ判らんギター、これいったいなんなんでしょね?



昨年九月に採り上げた Scratch'n' Twist のジャケ写、切り抜きがヘタなせいか(?)ヘッドがワケ判らんカタチにされちゃってますけど、他の画像


見たらスグ判るでしょうけど Gibson なんですねえ。
Les Paul "Recording"ってえモデルをご覧のように、現代の Steinburger っぽくネックからエンド・ピンに至るまでを残して、その上下つうか、ギターをスタンドに立てた状態で言えば「左右」を切り去ったデザインになってますよ。
まず、あの特徴的なロー・インピーダンスの PU が、ストラトのリア PU と同じ方向に傾斜して前後に付けられてて、そのせいで、ネックもそれに合わせて斜めにカットされて終っております。
そして、ブリッジとエンド・ピンの間にも一見、件の PU によく似たカタチのもんが見えておるのですが、それがたぶんスイッチ・プレートを移植したものでございましょう。Gibson Les Paul で普通に使ってるトグル Sw.と、ストラトみたいなセレクター Sw.、さらに Jaguar みたいなスライド Sw. 2 個、というそのサーキットのスイッチ部分だけを独立させてんじゃないでしょうか。
円弧状に配置されたツマミの数も 4個で "Recording"と完全に合致してますしね。

あ、でも、この Slow Draggin'ではこのギターは使われていないハズです。
だって、その Gibson Les Paul "Recording"、資料によると、その出現が 1970 年よりも前に遡ることは無さそうですから、1961 年の、この曲に使われていたハズはおまへん。
とすると、ここでは例の Fender Jaguar 改(?)が使われてたのかも?


もっとも、Les Paul Recording でも、それに先行する非生産モデルとしてプロトタイプが存在してたかもしれませんが、この PU なんて、おそらくこのモデルが生産ラインに乗ることで初めて実現したタイプでしょうし、そこら勘案しても、おそらくこの画像そのものが 1970 年代以降のものだ、ってえ可能性のほーが高いですよね。
にしても、ここまでダイタンにギターをカットしちゃうっての、ずいぶん思い切ったことするもんですねえ。
ワタシはどっちかってえと、一見フツー。でも実は!ってのが好きなんで、すくなくとも前から見たぶんにゃあどっこもイジってないよーに見える改造(もっぱら「改悪」だ、っつうハナシも)を得意(?)としておりますが、こうゆう、もう誰が見たって判る「イカレてる」改造、ってのも、旗色鮮明にしてていさぎいいですよね。

え?じゃあ Black MOSES はどーなんだ!ってツッコまれると困るんですけどね。
アレはまずオリジナルのネックがイカレちまった、ってえそのちょーど、のタイミングにつけこんでアクマの囁きが⋯

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