Ain't Nobody's Business

Lowell Fulson


06-10-08 SUN.




先日の Every Day I Have the Blues 同様、とっても安く買えた CD、INTRO CD 2042、LOWELL FULSON : JUKE BOX SHUFFLE に収録されたナンバーです。 1949-03-03 Los Angeles Vernon

どちらかと言うと、この曲って、こう言っちゃなんだけど、自分の歌唱力に自信満々、実際巧いことは巧い、なんてえ「シンガー」が、こゆナンバーこそオレみたいのが唄わなきゃな!なんて感じで採り上げがちですよね。
でも、この Lowell Fulson のこの曲って、そんなシンギング・テクニックの見本市みたいなのじゃなくて、いえいえ、まったく逆、なんだかトツゼン身に降り掛かったシチュエーションを、戸惑いながらも折り合いをつけようとしてる、みたいな「もたもた」感(?)が、かえってライフサイズな情動を見せてくれているようで、私なんか、どんなウマい「シンガー」の Ain't Nobody's Business よりも心に滲み込んできますねえ。

前回の Everyday I Have the Blues よりちょっと前とされる 1949年 3月 3日の Los Angeles 録音で、バックはまるっきり違うメンバーで、弾き過ぎない、ちょっと訥々とした味のあるピアノは Jay McShann(ジャズ系のひとなら良く知ってるかも)で、バックでミューとをかましたトランペットをキュートに(?)決めてるのは Vernon "Geechie" Smith、サックス陣はアルトの Don Hill、テナーの Maxwell Davis。そしてギターに Tiny Webb、ベースが Ralph Hamilton、ドラムに Jesse Sailes となっています。

⋯と「やたら簡単に」終わってますが、そこら「やはり」この Lowell Fulson ちゅうブルースマンに一度も惚れ込んだことがないワタクシでございますから、つい淡白な(誰や?「冷淡なのマチガイじゃ?」ゆうたの!)扱いになってしまうのかもしれませんねえ。
そしてこれはまたフルソン君にはまったくカンケ〜ないハナシなのでございますが、ワタクシがいっちゃん最初に触れた Ain't Nobody's Business ってのが⋯誰の、とは言いませんが「ち〜っとも」いい曲だ!とは思えない仕上がりだったのでございますよ。
以来、この曲に触れる時はどうせコレもダメだろな、ちゅう予断を持って接してしまうのでございますねえ。
そこで「幸福な出会い」があれば捉え方も全然ちがってきたんでしょうけどね。



連日の雨と来ていますから、昨日は青森市の県立美術館、今日は弘前にある県立武道館で巡回の日展です。

日本画・洋画・彫塑・工芸・書を一カ所にまとめ(あ、各分野でブースは分けてありますが)その順番ですべてを見る、という会場設営になっています。
日曜、それも最終日目前とあって、かなりの入場者でしたが、昨日の県立美術館と違い、美術系(?)の雰囲気を漂わせた方はほとんど見当たらず、いずれも近隣の善男善女、てな感じでみなさまゾロゾロと会場へ。

やはり日展ではその作品の数だけ作者の個性が集まっているせいか、やはり(雑多な集合、という意味で)気煩い空間となっているように思われます。
なかには気に入った作品もあるのですが、なんだか展覧会というよりは即売会的な「場」の空気のせいか、どうもじっくりとは楽しめないような気がいたしました。
こんな狭い会場にところ狭しと並べちゃいけませんね。

それでも、あんまり人気が無いのか、「書」のブースは滞っているひとが少なく、ゆっくりと見ることが出来ます。
しかし、そこで感じたのは、これが現代を代表する「書」であるとするなら、やはり時代が病んでいるのでは?ということでした。
王羲之や顔真卿の書というものが、紛れも無く自らの中に「完結した世界」を持っていたがゆえに発露し得る「美」を湛えていた、とするならば、この現代というものは、もはや、そのような完結した世界観など持ちようがない「昏迷」のなかにある、ということでしょうか。

筆の流れの中で難渋し、滞留し、屈折した「流麗ならざる」書が横溢するのを見るにつけ、いかに、この現代というものが、複雑で陥穽に満ち、絶望的と言えるほどの乖離に覆われていることか⋯いささか暗澹たる思いにとらわれてしまいます。
今回の日展、少なくとも、この「書」の部門において、もっともよく 2006 年を表していた、と私は感じました。


さて、今日のデザートはこれ。宮野の「プルン・シュー」です。

仕掛け(?)がイッパイの楽しいシュークリーム!
え?食べてみたい、って?う〜ん、ザンネンですねえ。送ったら崩れちゃいますしねえ⋯

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