What makes your big head so hard?

Louis Jordan


2004-01-29 THU.
Decca を離れ、 Aladdin Records (1954 )、RCA の "X" レーベル( 1955 )そして Mercury Records (1956-1957 )へと変わっていった Louis Jordan でしたが、やはり 1940 年代後半の勢いとは比較にならなかったようです。
時代は、もっとアップ・テンポでストレート、騒々しい音を求めていたようですが、逆に彼のナンバーは Chuck Berry によって、1946 年の「Ain't That Just Like A Woman」、1948 年の「Run, Joe」などが新たな生命を吹き込まれています。
そして彼の曲たちが棲息し続けるのはむしろロックン・ロールよりもブルースの世界でしょう。
前にも書きましたが「Caldonia」など、ビル・ヘイリーからデール・ホーキンス、カール・パーキンスという「新」時代のミュージシャンもレコーディングはしていますが、むしろ印象に残っているのは James Cotton であったり、あるいは Blues Brothers、はたまた Albert Collins に Clarence Gatemouth Brown、B.B. に Memphis Slim、Clifton Chenier・・・ あ、Woody Herman や James Brown ってのもありますねえ。

そうそう、Woody Herman というと、世に出た(つまりリリースされた)最初の「Caldonia」らしいんですよ。モチロン、Louis Jordan がオリジナルで、彼は 1944 年の夏あたりに米軍の記念式典のアトラクションとして「Caldonia」を演奏した、という記録が残っているのですが、1945 年の 2 月には Woody Herman and His Thundering Herd が先に Columbia Records に吹き込み、そのためか、Woody Herman にとってもこの曲は特別なものとなったようで、1976 年にカーネギー・ホールで行われた楽団の 40 周年コンサートの最後を飾ったのは 12 分にも及ぶこの「Caldonia」のスペシャル・ヴァージョンでした。

その Woody Herman の Caldonia は 1945 年 5 月 5 日のポップス・チャートに登場しますが、それを追い掛けたのは、これも Louis Jordan ではなく、Erskine Hawkins が RCA Victor に吹き込んだヴァージョンでした。こちらはその一週間後にチャート・イン。ご本尊の Louis Jordan が Decca に吹き込んだ元祖(?)「Caldonia」がチャート上で前二者を追いはじめたのは 6 月になってからでした。そしてポップス・チャートの結果だけを見れば、Woody Herman が最高 2 位、Erskine Hawkins が12位、Louis Jordan が 6位、ただし Race records チャートでは Woody herman が 2 位どまりだったのに対し、Louis Jordan は 1 位となり、チャートに 6 ヶ月もとどまり続けたのです。この最初のタイミングのせいで、Caldonia といえば Woody Herman という印象を持ったひとも多かったかもしれません。

ところで、この Caldonia については、Sippie Wallace(★2003年 8月27日付 Women Be Wise / Sippie Wallace をご参照くださいませ)が、彼女の 1920 年代の作品「Caldonia Blues」からその想を得たものだ、として著作権侵害のかどで告訴していますが、最高裁はその著作を Louis Jordan(つまり Fleecie Moore に帰するものとして訴えを退けています。

Louis Jordan はやや安定しない健康状態の中で演奏を続け、時には Ray Charles の Tangerine Records や Paul Gayten の Pzazz、Johnny Otis の Blues Spectrum などのレーベルに吹き込みをするなどして晩年を過ごしました。
1973 年にはいまいちど「Caldonia」を吹き込んでいますが、彼のラスト・レコーディングはトランペッターの Wallace Davenport の『Sweet Georgia Brown 』に参加したものです。その後、健康状態が悪化し、1975 年 2 月 4 日、心臓発作により死亡しています。

ブルースとは?という枠が先にあって、それに当てはまるミュージシャンをブルースマンという ・・・そんな捉え方をしたのでは見落としてしまうものもあるのではないか?ってのがワタシの考えです。むしろひとりひとりのミュージシャンに「ワタシが」ブルースを感じたら、そのミュージシャンは「ブルースマン」だし、そんなブルース・マンの集合する確率波のゾーンみたいなものとして「ブルース」がある、と。

この Louis Jordan を「狭い」視点からブルースマンに入れない考え方もあるのは理解できます。でも、ワタシが好きなのは「ブルース」という概念なんかじゃなく、こちらの心を捉えるひとつひとつの楽曲だし、そのミュージシャンの「あり様」がいいワケでございますから、ブルースがどうこう言う前に、これを聴いてココロが踊るかどうかでしょ。
およそ、自分でもブルースをやってるひとだったら、一度は「Caldonia」をやりたい、と思ったことがあるんじゃないの?たとえ Louis Jordan のじゃないにしてもね。そんな風に彼が起こした波紋は今だって続いているし、これからだって続いて行きそうです。

Louis Jordan の音楽がなぜこれほどにミリョクがあるのか?
ミンストレルやジャズとの接触、ダンス・ミュージックの経験等々、分析すれば色々な要素が挙げられるとは思いますが、最後は分析のしようがない、それこそ「彼だから出来たんだ」という事実の前に行き着くような気がいたします。それはプロデュース能力なんていう「後天的」ものじゃなく、もっと根源的ななにか、そう、「生命力」に近いところから出てくるものじゃないでしょうか?ま、ここでなんだかんだ言うより、聴くほうが早いよね。
中でも、Decca で上げ潮に乗っていたころの作品あたり、いかがざんしょ?
1941 ; T-Bone Blues
1942 ; Knock Me A Kiss と I'm Gonna Leave You On The Outskirts Of Town
1943 ;
What's The Use Of Getting Sober
Ration Blues
Five Guys Named Moe
1944 ;
G.I. Jive
Is You Is Or Is You Ain't( Ma Baby)
1945 ;
Mop Mop
You Can't Get That No More
Caldonia
Somebody Done Changed The Lock On My Door

第二次世界大戦が終った 1946 年には
Buzz Me
Don't Worry 'Bout That Mule
Salt Pork, W. Va.
Reconversion Blues
Beware
Don't Let The Sun Catch You Cryin'
Stone Cold Dead In The Market( He Had It Coming
Petootie Pie
Choo Choo Ch'Boogie
That Chick's Too Young To Fry
Ain't That Just Like A Woman
Ain't Nobody Here But Us Chickens
Let The Good Times Roll
という大量のナンバーが送り出されています。
続く 1947 年は
Texas And Pacific
Open The Door, Richard
Jack, You're Dead
I Like 'Em Fat Like That
I Know What You're Putting Down
Boogie Woogie Blue Plate
Look Out
Early In The Morning
などなど。
1948 年が
Barnyard Boogie
How Long Must I Wait For You
Reet, Petite, And Gone
Run, Joe
Don't Burn The Candle At Both Ends
Daddy-O
Pettin' And Pokin'

1949 年には
Roamin' Blues
You Broke Your Promise
Cole Slaw
Every Man To His Own Profession
Baby, It's Cold Outside(この曲は Ella Fitzgerald と一緒に)
Beans And Corn Bread
Saturday Night Fish Fry

1950年
School Days
Blue Light Boogie
I'll Never Be Free(これも Ella Fitzgerald と一緒に)
Tamburitza Boogie

1951年の
Lemonade
Tear Drops From My Eyes
Weak Minded Blues
・・・

こうして見るとスゴいですねえ。壮観!
さて、もし、Louis Jordan を一枚もお持ちじゃなくて、買ってみたいな~って言うんでしたら、『Let The Good Times Roll: The Anthology 1938-1953』 MCA Records をおススメいたします。輸入盤ですが、アマゾンあたりでオーダーできますよ。

毎年いまごろがいっちゃん寒いんですが、今日はやや寒気がユルんで、日中は零度を超えました。
でもそのおかげで、なまじハンパに融けるから路面がヒドいデコボコ。だからどのクルマもユックリとしか走れないんですよ。だってフツーに走ったら振動で空中(地上?)分解しそうなヴァイヴレーションに襲われるんざます。
ところでこんな時は地上スレスレの出っ歯スポイラーつけた「族」車仕様のシルヴィアとかは自宅謹慎なのかしら?うっかり出て来たらマチガイ無く出っ歯スポイラーがバリバリ・・・ 雪国のボーソーゾクはクローが多いのねん。
あ、いっそ「超合金」の出っ歯スポイラーつけて路面の雪塊デコボコを命がけで削ってく!なんてのはどう?きっと道路管理省庁から「手当」もらえるんじゃない?がはははは~
permalink No.644

Search Form