Blue Walls

Matt Murphy


2004-03-08 MON.
しっとりとしたペースで進む、インストのブルースでございます。フツー、セッションなんぞで延々とインストのスロー・ブルースなんぞやられると、照明と PA の電源をいきなり落としてやりたくなるものでございますが、この演奏は途中ハープにもソロがまわり、さらに続いては、やや粗っぽいもののピアノのソロまでもフィーチャーして充分聴かせてくれます。さらに Matt Murphy のギター自体も、飽きさせないよに(?)手を変え品を変え、あれやこれやの秘術の限りを尽くして楽しませてくれるので意外と飽きが来まへん。
特にピッキング・ハーモニクス大会みたくなってる終盤なんぞ、ホント、ミョーな快感さえおぼえてしまいますよん。
さらに、バックのベースが実にステディでいい!ダンピングの効いた「締まった」タイトかつヘヴィーなベース・パターンは通常のスロー・ブルースのそれとは違うヒネリが利いてて、なかなかいい味を出しております。

どーしても、マットと来ると「弾きまくる」リズミックなブーギを思いだしちゃいますが、この手のスローもなかなかイケルでないの。収録アルバムは 1997年のアタマにリリースされた Way Down South Texas Music( Lone Star Records )。
ところで前回彼を採り上げた際には Fender → Gibson → Fender なんてギター遍歴を紹介いたしましたが、実はその前に Sears Roeback の通販で安いギターを買ったのが最初で、それはどうやら Harmony だったようなのですが、最初の Fender は Esquire(なんとケースが無くて紙袋に入れて持ち歩いてたんだって)、そして Jazzmaster に Telecaster、さらに Stratocaster というところで Gibson(インタビューによると、335 および 345。James Cotton 時代がそう。彼の最初の Fender アンプは 1950年代初頭の Tweed で、James Cotton Band 時代には Fender の Twin Reverb と、時によって Quad Reverb )にも手を出して、それ以来、どちらも使っていたようです。
Blues Brothers 以降では杢目の美しいサンバーストの Les Paul リイシューに Fender Blues de Ville か "The Twin"のアンプ、という組み合わせも多くなりました。
ところで、それとはちゃうメーカーに彼のシグネイチュアー・モデルがあるって知ってた?ワタクシも前回は知らなかったんだけど、どーやらオーストラリアのギター・メーカーで Cort Guitar Co.(どうやら Haworth ってのが親会社らしいんですが)っちゅうのが作ってる、一見 P.R.S.かいな?ってボディ・シェイプのアシメトリー(非対称)ダブル・カッタウェイのボディにハムバッキング PU を二つ、でもスイッチングは P.R.S.ほど凝ってなくて、フツーのレス・ポール・タイプのトグルみたいなギターがあるんですが、それに MGM-1(モチロン Metro Goldwyn Mayor なワケはなく、Matt Guitar Murphy の頭文字なのだ!)とゆーリッパなヴァリエーションがございました。
ただしヘッドには P.R.S.みたいな「ちゃんとした」コンセプトがあるワケじゃなさそで、旧来のデザインを踏襲してますねえ。おまけにネックはワタシの苦手なバインディングに、派手なブロック・インレィ。ま、その前にアームが無いんで「アウト!」なんでございますが( http://www.haworthguitars.com.au/guitars/cort/guitars/matt_murphy.htm )。
ただし、これもインタビューによると、そのギターの仕様などを詰めるのに際し、オーストラリアではなくコーリア、つまり韓国へ行った、と話しておりますから、実際には韓国で作ってるのでしょうね。

長い付き合いだった David "Lefty" Foster によると、ずいぶん健康に気を配った食事をし、バーベルを使ったエクササイズに、ゴルフにもいそしむ生活で、タバコも酒もクスリもやらず「とても健康そうに見えた」 Matt Murphy でしたが 2001年のクリスマス前に(卒中の?)発作を起こして倒れ、しかもなまじ健康に自信があったのか、一切保険というものに入っていなかったらしく、当然、療養の費用にも困ることとなったようです。
そこで前述の Cort Guitar Co.と、現在彼が所属している Roesch Records の Joe Roesch の共催で 2002年 1月 4日にチャリティ・ショウが開かれました。
この時の出演者は Luther "Guitar Jr." Johnson、David Finnegan、David "Lefty" Foster に Mohegan All-Stars などだったようですが、カンジンの Matt Murphy の病状はかなり深刻なもので、どうやら半身不随の状態となったらしく、おそらくふたたびギターを弾けるようになるかは「疑わしい」との所見が出ていたようです(その他にも、なんとか腕を動かせる程度にはなるのではないか?という情報もありましたが)。

彼の Biography については前述の 9月20日の「The Blues Don't Bother Me 」で紹介してありますので、興味のある方はそちらをどうぞ。
あ、そうそう、彼の最近の様子、どっかに載ってないか検索してたんですが、ザンネンながら発見出来ませんでした。で、オモシロかったのは、とあるサイトで彼をカンゼンに Actor として扱ってて、Filmography として Blues Brothers なんかは載ってるのに、CD が「ただの一枚も」紹介されてない!ううむ・・・
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