Mistreatin' Blues Edith Wilson 2004-03-19 FRI. | どことなく懐かしい、ニュー・オーリンズのディキシーランド・スタイル、っちゅうもー見え見え(?)な仕上がりになったこの曲、当時の原盤がキセキテキに発見され・・・ なんてなワケはなく、1970年になってからの「新しい」録音なのですが、古き佳き日の香りタップリなノスタルジックな仕上がりを目指してみなさん一丸となって(?)マイシンドリョクの甲斐あって、なかなか「当時はかくや」と思わせる一曲となっておりますねえ。 1896 年 9 月 2 日生まれの Edith Goodall は、Kentucky 州 Louisville で、黒人ながら中流に属する家庭で育っています。その彼女が、どのような経緯でブルースに接近していったのか、その辺の軌跡はザンネンながら辿ることが出来ませんでした。 どうやら、いつのまにか(ってこれはワタクシの印象ねん。本人にしてみればとーぜん、それなりの必然性はあったと思うんですが、その辺を照らし出してくれる資料に出会うことが出来ませんでした)ショー・ビジネスの世界に身を置くことを決意し、それも基本的にはブルースをメインにショー・アップしたステージを志向していたらしく、Johnny Dunn And His Original Jazz Hounds という「楽団」をバックにしてのスタイルだったのではないでしょうか? 当時の画像では、彼女以外にトロンボーン、トランペット、クラリネット、フィドルにピアノ、という、いま見ると「かなり変則的な」バンドの構成となっていますが、それは写真撮影の都合で「来た」メンバーだけで写したものか、それとも、やはりこれで全員なのか?はちょっと判断しづらいところです。 こんだけのメンバーでやってたとしてもモチロン悪いことは無いし、世の中にゃあもっとヘンな構成のバンドだってあるでしょう。 でもねえ、ディキシーっぽいナンバーやるのに、まずリズム・パート出来るのがピアノだけ、ってことは無いよねえ? 最低でもバンジョーとか、はたまたドラム系のパートが居そうなもんなんですが⋯ ま、それはともかく、1921 年には(時期的には正確なことが判らないのですが、少なくとも、その吹きこみ時には Edith Wilson として歴史に名を残しているところをみると、1921年以前にピアニストの Danny Wilson と結婚し姓が変わっていたんでしょね)、Put And Take って曲でブレイクしたようですが、Columbia になされた初レコーディングでは、Nervous Blues、Vampin' Liza Jane などが吹きこまれたようでございます(もちろんバックは Johnny Dunn And His Original Jazz Hounds )。 この Mistreatin' Blues をお聴きになればみなさまもお感じになられるとは思うのですが、どーやらさほどキョーレツなインパクトのあるシンガーではなかったんではないか?っちゅー気がしません? 決して悪くはないんですが、さりとて一世を風靡する、ってほどの魅力つーか「決定打」に欠けてるよな気がいたします。 それは、その後の彼女の人生が辿った道筋にも反映されてるんじゃないでしょか。 むしろシンガーであるよりはアクトレスを、あるいはミュージカルなどの「より」ショー的なものへの傾倒など、そのあたりの「ブルージイ」じゃないとこ、が彼女の持ち味なのかもしれません。 そのイミで、この Delmark での彼女の録音ですが、これを「ありし日の」Lady sings the blues の時代を回顧する「ノスタルジック・トラヴェル」と感じてしまうワタクシの感性のほーが「よろしくない」んでしょうか? あ、案外ジャズのフィールドでは評価されてたりして。 詳しくは http://www.vh1.com/artists/az/wilson_edith/93422/album.jhtml でどうぞ。試聴もできます。 1981年 3 月30日永眠。 |
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