The Thrill Is Gone

Freddie Roulette


2004-03-20 SAT.
過去にも(昨年の 9 月 4 日)この日記で、Little Milton のハイ・クォリテイながらややロマンティックすぎるネッチョリなのを紹介いたしておるのでございますが、うぷぷ、今日のは「モノ凄い」ざます。
もし、この世に The Thrill Is Gone 伝統保存会、なんてえものがあったら、必ずや「激烈な」抗議文やら、ヘタすっと刺客ぐらい放たれちゃうかもしんない、っつーカンゼンに「トンだ」 Thrill Is Gone なのでございます。

もしドライヴ中でしたら、あまりのことに思わず中央分離帯に乗り上げたり、牛乳なんぞを駅のホームで腰に手を当てて「男々しく」飲み干そうとしてたおりなんぞでしたら、白い液体がおよそ 5m ほどは迸り、間違いなくヒンシュクをかうことでございましょう。
え〜、ご自分でもこの曲をおやりになったことがおありでしたらお判りのことと思うのでございますが、この曲、マイナーのブルースでございます。
しかるに、Freddie Roulette センセ、とーぜん、スティール・ギターで弾いておるのでございますが、 いやあ、もうこれがむちゃむちゃキモチ悪い!
この録音じゃ、いったいどのよーなチューニングを採用しておったのか? など知る術もございませんが、ホントのイントロの 2小節くらいは、まあまだいいのでございますよ。
でも、歌のバックのギターは気が抜けてユダンしちゃったのか、まず、ピッチがシャキっとしないのでちょっと高速運転中はハンドルを取られちゃいそーです。
おまけにスティールの宿命か、ぜんぶポルタメントで移動すんですが、その途中、マイナーではあってはならないノートがバックとのからみで出現し、アヤしいメジャーの和音みたいなもんがなしくずしにフニョフニョ〜っと現れては消えるのでございます。もはや「言語道断」な仕上がりで、内容的な意味での Thrill は去ったかもしんないけど、一難去ってまた一難、彼のギター自体がちゃう Thrill を招いちゃってますよ。

間違いなく、この曲のスティール・ギターのトラックだけを再生したら、これなんてえ曲だか、ゼッタイ判んないぞ。いや、それどころか、コード進行だってとれるかどうか?キーだってアヤしいよね。
まったくもって空前絶後、前人未到、傍若無人、本末転倒(?)なモノ凄いギターでございます。これ、Freddie Roulette センセだからユルされちゃってますが、セッションなんかでこんなギター弾くヤツが現れたら、やってる間はみんなにバカウケして、でも最後に「次からは来ないでね」と言われるな、きっと。

あ、余談ではございますが、ワタクシこれでも Elmore センセのマネしてオープン・チューニングでのスライドなど齧ってはみましたが、ちゃんとした(?)スティール・ギターちゅうの?あの手のギターにはまったく入門すらままならないのでございますよ。
どうもワタクシには耳を頼りにミゴトに音程をコントロールする、てな精密な聴覚には「欠落」があるのかもしれませ〜ん。
で、まっこと畏れ多いことながら、この Freddie Roulette センセにも「同じよな(?)」ケッカンがおありになるんじゃないのか、なんてゆう不遜なこと、ほんのちょびっとですけど疑いたくなっちゃうんですねえ。
でもまあ、それがまたセンセの最大のミリョクでもあるような⋯
え?ミリョクってカタカナだ? なははははは
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