I'm Nuts About That Gal

Lonnie Johnson


2004-03-23 TUE.
昨年11月27日には He's A Jelly Roll Baker を採り上げました Lonnie Johnson の、これまた滑らかな、自らのギターに乗せて歌う案外しっとりとしたブルースでございます。

Now, she bakes the jelly roll・・・
とここでも Jelly Roll Baker と関連のある歌詞が登場いたします。もちろん俗語でございますが、イミその他、付随するモロモロは、どうかみなさま御自分でサイトの中をおサンポしつつお調べくださいませ。

しかし、それにしてもこのひとのギターって完成度が高いですよね。逆に言うと、あまりに滑らかに「当然のように」流れてっちゃうもんだから、良く出来たスタジオ・ミュージシャンのバッキングみたいに「耳障り無く」調和し(過ぎ?)ちゃって、それが意外と印象に残らない理由なのかもしれません。
そこら、彼のギターがブルース界でよりも、ジャズ畑のギター嗜好のマニアに評価されてる、ってのも同じ位相から来ているのでは?
確かに、このクォリテイは「フツーじゃない」。
まず、ブルースの世界で、ギターのプレイに「クォリテイ」が云々される、なんてこたあ稀でございます。ところが彼のプレイをじっくり聴いていると、インタープレイ時のみならず、ヴォーカルの背後にまわっている時ですら、手を抜いてないんですねえ。どんな音を散らしとくか、吟味され尽くしてる!

あるいは、そちらに意識をかなり配分しているためなのか、ヴォーカルのほーはチョットばかり平板な印象はありますね。良く言えば抑制の効いた滑らかな世界がここでも展開されてゆくワケですが、その分プレゼンスにはやや乏しい、と。
なんだかウマいことはウマいんだけど、あまり一般ウケしない、プロからは「あいつのギター、凄いよな」と言われつつもヒットはしない誰かさんみたいな存在なのかな?(あ、ここで、その「誰かさん」にはあなたが思いつくお名前を差し替えてお読みくださってケッコーですよん)
そのイミでウマ過ぎるのも考えものですね(ワタシゃあ、そのシンパイだけは無い)。
かって Robert Johnson がこの Lonnie Johnson の縁者をカタってまでハクをつけようとした、なんてえ記述にもとある資料で遭遇いたしましたが、今の我々にはちと想像しづらいものがあります。
やはり Robert Johnson にとっても、この Lonnie Johnson の存在は、それだけの「重さ」があったのでしょうね。
やはりミュージシャンだった父親のもとで、ギターだけじゃなくピアノ、バンジョー、フィドルなんて他の楽器にも親しんでいたことから来る音楽的フトコロの深さみたいなものが、これだけの洗練された奏法を生み出しているのかもしれません。
とあるサイトでは、「ブルース・ギターの発展に最も貢献したギターの名手」なんて紹介されてました。いえいえ、ワタクシなにも申し上げることはございませんですよ。「その方のブルース」にとっちゃそーなんだろなあ、ってだけで。
そもそも、そーゆう発想自体を「否定」してますんでね。「最も貢献した」だなんて、カンタンに言っちゃうそのシンケーが判りません。「ワタシにとっては最も重要なギタリストである」ならいいんだけどね。
Lonnie Johnson にツミは無いと思うんだけど、どーもこのヒトの周辺には「ぶるー」にこだわったり、これが本流だ!みたいな思い込みをしてるクルった「ごヒイキ筋」が多いよな気がしますが。

収録アルバムは Sony CSCS-5326 Steppin' On The Blues

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