Sagefield Woman Blues

Kokomo Arnold


2004-04-20 TUE.


昨年の 9月16日に Gitfiddle Jim 名で吹き込まれた Paddlin' Blues を採り上げた James Arnold、いわゆる Kokomo Arnold のスライド・ギターによる弾き語りのブルースで、歌詞の中に登場する一節、Dust My Broom・・・が Robert Johnson の Dust My Broom を引き出した、ということも言われております。

確かに聴いてみても、この曲が Robert Johnson に与えた直接的な影響を容易に推量できるよな、「判りやすい」プロトタイプだ、ってえ感じはしますね。
ただ、イントロのあたりでは、まだノヴェルティ的な響きも嗅ぎとれるよな気がいたしますが、いかがでしょか?
曲中でのギターは変幻自在、シンプルなバッキングから一転して饒舌になったり、時には歌詞以上のことを語っているようにも思えます。
ギターの奏法上で、特にリズムを強調しているフシは見えないのに、曲全体としてはステディなビートが感じられるのが面白いですね。

Kokomo Arnold こと James Arnold の初レコーディング(前述の 2003-09-16 の日記で採り上げた Paddlin' Bluesです)は Gitfiddle Jim 名義で Victor になされているのですが、1934年には Decca に「あの」 Old Original Kokomo Blues(カップリングは Milk Cow Blues )を録音し、その曲は Robert Johnson を経て Sweet Home Chicago へと昇華し、最近じゃ江戸川スリムさんが発見した「シカゴ良いトコ一度はおいで」的ヒドい Sweet Home Chicago まであるくらいで、当時、今みたいな著作権なんてものがあったとしたら、彼は大富豪だな、きっと。あ、それとも Robert Johnson に行っちゃうか?ザンネンでしたねえ Arnold さん。

ま、それはともかく、その Old Original Kokomo Blues のヒットによって、彼の名前は Kokomo Arnold となったもののようで、今日のブルース、Sagefield Woman Blues も同じ 1934年( 9月10日 Chicago での録音)の吹き込みです。
おそらく Robert Johnson はこの時期の Kokomo Arnold をかなり意識していたことでしょう。彼のブルースには、この Kokomo Arnold 由来では?と思われるエレメントが存在しています。

その「ココモ」という言葉の語感の良さもあってか、多くのミュージシャンによってその名が唄われ(ご存知のように、その最近の例としては、まったく別な曲ではありますが The Beach Boys の Kokomo:アルバム Still Cruisin' に収録。1989 Capitol TOCP-3330、なんてのもありましたね)、かつ愛された Kokomo。その出発点ともなったこの James Arnold は、格別な栄光に包まれることもなく 1968年11月 8日に死亡しています。
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