Things You Do

Frank Frost

2004-06-22 TUE.




昨年 10月 8 日付でも採り上げました Frank Frost の(ワタシ思うところの)代表作でございます。
Frank Frost の味わい豊かなヴォーカルが入ってくる前に、Arthur Williams の伸び伸びとしたハープがまずココロよいのでございますが、ここで忘れてならないのはバックでインパクトのあるブーギを刻む Jack Johnson のギターなのですよ。

一応、ワタクシにとってブーギを刻む、となると理想は Eddie Taylor 師なのでございますが、このブーギはもっとシンプルかつストレートに「迫って」まいります。
まず最大の特徴は、トニックの時に(キーが E だとすると)、6 弦の開放と 5 弦の 2 フレット→ 4フレット→ 2フレット→ 4フレット(あ、Eddie Taylor だと 5弦が 2フレット→ 3フレット→ 2フレットとか、あるいはもっと凝ったことやるんですが)、この Things You Do の場合、6 弦の開放と 5 弦の 2フレットで固定したまま、リズムだけは「ガッガ、ガッガ」っちゅうシーンがみられ、それが実にもうエモーショナルな「熱」を感じさせてくれて実にいいっ!

このシンプルなパターン(とも言わないか?)はときおりセッションでも使わせていただくんですが、そん時にはベースもルート単音だけで(つまりブーギ・パターンやめて)リズムを合わせるとヨケー効果的で、「疾走感」つーより「ゴリ押し感(?)」が強まって、いっそうアーシィになるような気が・・・

ま、同じよにブーギといっても、ここで語ってるのはバンド・スタイルでの、ギターによるリズム・ワークのことで、ピアノ・ブーギとなるとまたちょっとハナシは違ってて、そちらは、まヘンな形容ですが、ジャズにつながってくようなファクターをかなり含んでるように思います。
それだけにジャズ系にも取り込まれやすいようで、例えば昨日の Sonny Harper みたく、アタマではピアノ低音弦によって一瞬ブーギ・ウーギ・パターンも出現するけど、それ以外のアレンジがもうドロドロ(?)でリズムらしいリズムが見えてこないなんてのもあるワケです。
そんなピアノ・ブーギってヤツ、ジョン・リーから Magic Sam へ、という系列のギターによる高速ブーギなんてのともまた「違った世界」っちゅう気がいたしますよね。
あの「せわしない」ブーギと、ジョージア州あたりのランバー・キャンプで労働者たちの娯楽としてのダンスを支えてた(とも言われてる)ピアノ・ブーギの間にはカンタンには埋め難いダンゼツがあるように思うのですが、ま、それは個人的な印象でしかありませんので(かつ、どっちがいい、とかゆーことでもおまへん)、あまりマに受けないでねん。

それからすると、Eddie Taylor の「それ自体で」ゲイジュツテキとすら言ってよい「自由自在なブーギ・パターン」ってのは、これはこれで「孤高の独立峰」みたいなものなのかもしれませんね。
な〜んて言うとドッチャリ反論が来るかもしれませんが、ワタクシのバヤイ、ちょと着眼点がズレとりますので、あまり気にしないでくださいませ。
たぶん、ブルースは好きだけど、それは「聴くの」が、であって、ご自分でもギターを弾いて「あんな」ブーギを目指し、他のとのビミョーな違いに気付いたなんて経験が無い方には、そこら、ワタクシのこだわってるとこは判っていただけないかもしれません。

とりあえず、Eddie Taylor の Ride 'Em On Down と、この Things You Do における、バッキング・ギターの微妙な違いなどを「ご鑑賞」くださいませ。

あ、このハープの Arthur Williams についても別に採り上げても良いくらいなんですが、やはり「ネ」がギターなもんで、そっちに傾いちゃいますねえ。
Arthur Williams についてはこちらをご参照ください。

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