Dust My Broom

Elmore James


2004-10-02 SAT.


この名曲はそもそも 1951 年の 8 月 5 日に Mississippi 州の州都 Jackson で Sonny Boy Williamson のハープ、Leonard Ware のベース、"Frock" O'Dell のドラムで吹き込まれ、Trumpet 146 として世に出たことから始まります。

つまり、最初はピアノ無しだったのですねえ。
その替わり、と言っちゃあなんですが、Sonny Boy のハープがのべつまくなしに吹きまくり、ワタシだったら、「歌にカブセんじゃねえ!」と、グーでイッパツ側頭部に喰らわしてやってるとこなんですが、ま、ケツロンから言えば、これはこれで「よろしいんじゃないでしょか」。
粗削りなテクスチュアでありながら、Elmore のヴォーカルを聴くと、別にそれほどリキんでるワケじゃないんですよね。
ところがバックの例のスライド・アップするギターがそれに和すると、あたかも錬金術の如くに反応し、独特な迫力が形成される、とゆーワケ。
いわゆる「ダスト・マイ・ブルーム調」なんてえコトバまで出来ちゃったんですからスゴい!
(ま、そのカップリングについちゃ、ちょっとしたミステリーがあるんですが⋯)

その 4 年後の 1955 年 8 月には、New Orleans で行われた Flair のセッションでも、Dust My Blues が録音され、Flair 1074(カップリングは、I Was A Fool )としてリリースされております。この時のバックはすでに全とっかえみたく違ってて、Edward Frank のピアノ、Frank Fields のベース、Earl Palmer のドラムですが、それでもそのバックには The Broom Dusters という名前がついてるんですねえ。
あ、ついでだから(?)歴代の The Broom Dusters のメンバーも判る範囲でおさらいしときましょ。

1951 年 8 月のオリジナル Dust My Broom セッションの時には、まだ The Broom Dusters っちゅう名前はございませんで、そのヒット以来、それにあやかってバックにその名を冠し始めたワケですね。
翌 1952 年 1 月、Mississippi 州 Canton で行われたセッションでは、すでに The Broom Dusters の名を使用しておりますが、その時のメンバーは Ike Turner のピアノあるいはギターだけしか判ってません。他にテナーとドラムがいたハズなんですが、そちらは氏名不詳、となってます。

それが、同じ 1952 年でも 11 月に Chicago で行われたセッションでは、ピアノに Johnny Jones、J.T.Brown のテナー・サックス、Ransom Knowling のベースに Odie Payne のドラム、という先日の Tampa Red のバックそのものなのよね〜。
そのヘンのいきさつは 8 月21日の When Things Go Wrong With You にも書いておりますのでよろしかったらどうぞ。
このメンバーでの The Broom Dusters はその後も 1953 年 1 月17日、また、同年 4 月のセッションでもバックを務めました。
それが、同年 8 月のセッションでは、これにアルト・サックスの Boyd Atkins も加わっております。
一応そこまでが「ワタシだったらいっちゃん指名したい The Broom Dusters のメンバー」でございますね。

1954 年に一度 Ike Turner と Odie Payne(他のメンバーは不明)などをバックに、Quater Past Nine を吹き込んでいますが、このバックには The Broom Dusters の名前は使っていないようです。
The Broom Dusters が次に登場するのは、1954 年の 3 月と 4 月に Chicago で行われたセッションで、そのメンバーはビミョーに異なり、Johnnie Jones と Odie Payne は残っているものの、他は IKe Turner のギター、Raymond Hill のテナーとなって(ベースは氏名不詳)おるのですよ。それがさらに 8 月から 9 月にかけて California 州 Culver City で録音した時にはまさに全とっかえ!
James Parr のトランペット(!)、Maxwell Davis のテナー、Jewel Grant のバリトン・サックス、Willard McDaniel のピアノ、Ralph "Chuck" Hamilton のベースに Jessie Sailes っちゅうドラムとなっておりまして、もしかすっと、これみんな Bihari Bros. による「現地調達組」なのかもしれませんね。

続いて 1955 年の 8 月には前述の通り、Dust My Blues を New Orleans で入れていますが、その時の The Broom Dusters は、Edward Frank のピアノ、Frank Fields のベース、Earl Palmer のドラムでした。
次の The Broom Dusters は Raymond Hill のサックス、そしてギターには我らが Eddie Taylor を迎え、他は「本来の」 Johnny Jones、Ransom Knowling に Odie Payne(あ、J.T.Brown だけはいませんけどね)っちゅう豪華布陣で臨んだ 1956 年 1 月 4 日、Chicago でのレコーディングで、この時のセッションは Modern 983 Wild About You / Long Tall Woman としてリリースされております。

1957 年になりますと、これも Chicago で Chief のためのセッションを行っていますが、この時の The Broom Dusters は J.T.Brown が復活し、替わりに Homesick James が Ransom Knowling に替わってベース、ギターは Eddie Taylor と Wayne Bennett っちゅうゴーカ二本立て!
で、そっから Eddie Taylor が抜けて、かわりに氏名不詳のサックスが( J.T.Brown 以外にもーひとり、ね)加わった体制で 1959 年の暮れ近く、Chicago で Dust My Broom が録音されてます( ELMORE JAMES : The Sky Is Crying : The Legendary FIRE/ENJOY Sessions PCD-2889/90/91 に収録。
おそらく、これが The Broom Dusters 名義のバックとしては最後だったようで、その後 1962 年の末から翌年にかけて New York でまたまた Dust My Broom を録音しているのですが、この時のバックにはその名を冠してはおりません。
その「最後の」 Dust My Broom で、やたら華麗に(ちとウルチャいくらい?)ころげ廻るピアノは Johnny "Big Moose" Walker となっており、それ以外のバッキングは不明でございます。

さて、みなさまは「どの」 Dust My Broom がお好みでございましょうか?
ワタクシはってえと、オリジナルもいーんですが、でも 1959 年の Chicago 録音がいいなあ。

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