Jackson Town Gal

Robert Nighthawk


2004-12-21 TUE.


6 月 7 日の Blues Before Midnight 以来、という、久しぶりの Robert Nighthawk ですが、これは録音が 1964 年 6 月30日に Chicago で行ったものですから、彼の作品群の中では、比較的「新しい( 1964 年で「新しい」ってのもナンですけど)」吹き込みになりますね。

この時のパースネルは、Big Walter Horton のハープ、ピアノが Lafayette Leaks、そして音源がモノーラルなため、ヘッドフォンで検聴(おーげさな言い方!)してみても、どこでどんなバッキングをつけてるんだか、なかなか全貌が掴めないながらサイド・ギターには Buddy Guy です。ベースは Jack Meyers となっていますが、おそらくこの低音のこもり方に、音消えなどからすると、アップライト・ベース(コントラバス)でしょう。ドラムは Clifton James で、 Six Three O とのカップリングで Aristocrat 413 としてリリースされています。

やはり 1940年代末からの音を代表する名曲 Sweet Black Angel などに比べると、音質、それも特にピアノの「鮮明さ」などにかなり違いを感じますね。
そして、ウォーキング・ベースの「音高」が 1948 年の録音ではとり辛いものが、この録音ではなんだったらコピーだって出来そうなくらい、どの音で弾いてるのかが、少しは判るよな感じで、やはり、時代とともに録音技術も進歩してるのね、っちゅー当たり前っちゃあ当たり前な感慨にふけっておるワタクシでございました。

でもね、Robert Nighthawk センセご自身のギターの音はさほど変わってないんですよ。
やはり、「あの音」。
ま、それでこそ Robert Nighthawk、とも言えるワケで、むしろこれがミョーにクリアになっちゃってたりしたらファンは離れますね、きっと。

時折、ピアノの和音の手前でハンパなポルタメント気味に滑り込んで来たりして和音を濁らせてるの、これひょっとして Buddy Guy でしょか?ううむ、この曲調では、たしかに Buddy Guy 向き(?)じゃないもんね。

さて、この曲ですが、Sweet Black Angel よりも、やや気楽に、そして明るく、ドライに仕上がってるよな気がしませんか?(って、なんでも Sweet Black Angel を引き合いに出すのはどうかと思うんだけど⋯)
ま、なんだかんだ言ってますが、ワタシゃ、この音が「無条件に」好き、ってとこがあるから、あまりれーせーな(って、そんなの読んでもつまらないんじゃないか?ってえ口実で)インプレッションってのは(いつも?)期待しないでちょーだい。

ナイトホークの子供である Sam Carr はインタビューで、まだ 1才半の彼をおいて両親がいなくなり、それで Carr 家で育てられた、と言っていますが、彼が父と会ったのは 7 才になった 1933 年のことだったそうで、真っ赤な T 型フォードに Henry Townsend を伴って乗って来た Nighthawk は「信じるかどうかはお前の勝手だが、俺がお前の父ちゃんだ。お前がもう少し大きくなったら俺のところに来い。俺は KFFA で演奏してるからそこに連れて行く」と言い残して、次は 1937年までは再会することがなかった⋯

しかし、このエピソードには異説もあり、それによるとまだ 4・5 才のころに Nighthawk のギグにしょっちゅう連れていかれたそうで、ステージの前あたりでずっと踊ってたとか。
7 才で初めて父に会った、ってのとは矛盾してますが、もしかすると母、あるいは Carr 家の親がわりの誰かが Sam Carr を父の演奏しているところへ連れて行っていたのが 4・5 才のころで、それを初めて Nighthawk から息子として「話しかけられた」のが 7 才のとき、と解釈することも出来るかもしれません。

それとは別に「クルマにはウルサいかた」から、1933 年の真っ赤なフォードったら、それは T 型フォードじゃなく、塗装にヴァリエーションがあった A 型フォードじゃないのか?ちゅうツッコミがありましたが、それワタクシに言われてもねえ。Sam Carr に言ってちょ!てなものでございます。

まあ、たしかに T 型フォードが生産停止になったのは 1927-05-26 で、いっぽうの A 型フォードの販売が開始されたのが 1927-12-02 のことでございました。
ナイトホークがイバりを効かせるために選んだクルマだったら、旧態依然たる T 型フォードじゃなく、1932 年の春に生産が終了したばかり(で値崩れしてた?)A 型フォードではないのか?ってのセットクリョクはあります。
しかも 7 才のコドモにとっちゃ T 型と A 型の区別はつかないんじゃないの?言われると⋯ん〜、それもそうだな、と。

あ、実際はどうだったのかは判りませんよ、つ〜より「ここ」ブルースの世界ではそのクルマが T 型だったのか A 型だったのか?なんてのは「使ってたギターはなんだったか」てなのに比べたら「ど〜だっていいこと」っちゅうものでしょうね。

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